皆さん、こんばんは。

「この1年の働くを振り返ろう」をテーマに、アドベントカレンダー形式でwaseisaronメンバーが毎日一人ずつブログを更新していくこちらの企画。https://adventar.org/calendars/4693

本日12月22日を担当します、藤山茜と申します。https://twitter.com/akane941

とてつもない長文になってしまったのですが、どうかお付き合いいただければ幸いです。
それでは、宜しくお願いいたします。


***


◼はじめに

新卒で就活をしていた頃、私は、何がやりたくて何が大切でどう生きたくて何が譲れないのか、一体この先どこへ向かいたいのか、自分のことを何もわかっていない学生でした。

ただ漠然とした社会に対する不安と、大人になったらお先真っ暗なんだという絶望感だけを抱えて、いくつか内定をいただいた会社から「この中だとここかな」と半ば強引に決めて社会人生活をスタートさせました。

そんな私が社会に出て3年が経ち、紆余曲折を経て、いろんな人たちと出会い、「働く」を経験していく中で、気づいたことがありました。

今日は、その辺りの話をしていきたいと思います。



◼私の仕事について

私は、求人広告の制作ディレクターとして働いています。

日々いろんな業界の企業へ取材に行き、社長や人事や現場社員にお話を伺い、ライターやカメラマンなどと協力して一つの求人原稿を作り上げて、クライアントに初稿を提出し、あれやこれやと修正などのやり取りをして、入稿する。

掲載開始後は、PV数や応募数などの進捗を管理して、必要に応じて修正案を作成し、クライアントの求める人材が原稿を見て応募してくれるように、できる限りの有効応募数を集めて採用成功できるように、いろいろ仕掛けていくのが主な仕事内容です。

すべては、企業の採用成功のため。求職者が自分に合った仕事を見つけるため。

企業は自社の利益をあげてくれる人や圧倒的な成果を出せる人、どの職種や働き方であれ自社の発展・未来にプラスに動いてくれる人が欲しいし、求職者は自分が持ついろいろな希望に沿った会社を見つけたい。

求人メディアという巨大な媒体を通して、お互いにとって必要な存在を惹き合わせるようなきっかけをつくることが、この仕事の本質だと自分なりに解釈しています。


***


私はこの仕事が結構好きでした。

毎日違う企業へ足を運んでいろんな人たちに会って話を聞けることは、私の好奇心旺盛な性格にはとても合っていたし、総合求人メディアだから取材対象も本当にさまざまで毎日が新鮮で飽きなかった。

商社、メーカー、広告、IT、小売、サービス、運送、建設、医療、製造、公共団体、と言い出したらキリがないほどの業界、業種。

新卒の就活時には知らなかった仕事の数々、初めて聞く言葉、見たことのない景色、どこまでいっても知らない世界が奥の奥まで広がっている、すべてを知るには人生は一度じゃ足りなさすぎる。


「世界は誰かの仕事でできている。」


某CMの言葉が、心に深く刺さりました。本当にその通りだなあ、と。

働く動機も理由もなんであれ、そこには一生懸命に働いている人たちがいる。それは直接的もしくは間接的に、きっと世の中のどこかの誰かに役立っている。日々いろんな「働く人」の話を聞くと、百人百様それぞれのストーリーがあり、想いがあることを知る。

私はその人たちの言葉を、想いを、きちんと汲み取って素直に世の中に伝えていきたいなあと思いました。

それを丁寧に伝えることが、きっと企業と求職者の双方にとって良い結果に成り得るんじゃないかなあと。求職者にとって転職は今後の人生を左右する一大行事で、企業にとって採用は今後の会社を左右する大切な出会いかつ大きなお買いもの。

お互いがはっぴーになるためには、悲しいミスマッチが起こらないように、ただただ誠実にクライアントと向き合って、必要な要素を引き出して「より良い求人原稿」をつくること。

それが、求人広告の制作ディレクターである私にできる、最大限の価値提供なんだと思っていました。



◼これって誰のための仕事?違和感のはじまり

‥‥‥‥‥

「本当は新規営業がメインだけど、それだと応募数が期待できないからルート営業として打ち出しましょう」

「過度な長時間労働が常態化しているけど、原稿内では触れずにいきましょう」

「母集団形成を図るために、仕事内容は誰でもできるような簡単な内容に見せましょう」

「待遇も福利厚生も労働環境も他社に劣るので、最低限のみ記載して、あとはひたすらにやりがい押しでいきましょう」

「細かいことは、面接で詳しく説明していただければ大丈夫なんで」

‥‥‥‥‥

「売れないものを売るのが広告の仕事」なんて話もありますが、私はどうにも、この見栄えだけをよく見せる手法に違和感がありました。

そんな原稿をつくって、採用できたという報告を聞いても、一番に思い浮かぶのは内定者と企業のその後のこと。

面接でちゃんと詳細聞けたかな。やっぱり違うってミスマッチになってないかな。納得して働けてたらいいな。企業側も、合わない人を採用してすぐに辞められちゃったら大きな損害になるだろうな。大丈夫かな。

そんなことがいちいち気になっている自分がいて、もやもやする。

それでも量産されていく求人広告、初稿ではわりとありのままに記載していたとしても、応募進捗が悪ければどんどん表現を変えて、見せ方を変えていく。


それって小手先じゃない?キラキラした求人原稿をつくるよりも、まずは会社自体を見直した方がよくない?なんて、私の素朴な疑問はヒュンッとどこかへかき消されてしまうほどに、その手法は事業部全体で確実に常態化されていました。


「そこは、面接時にちゃんと双方話し合っているでしょう」「求人メディアはあくまでもきっかけなんだから、そこまで考える必要はない」

ーーそう言われると、そうなのかもしれません。


それにもしかしたら、どんどん変えていった先の原稿を見て応募した人が、それきっかけにどんぴしゃな企業に出会えて、はっぴー最高な素晴らしい展開がこの世のどこかで起きているのかもしれない。

だから一概にその手法が悪いとか良いとかは、私には判断できないし、わからない。


***


けれど私は、自分の携わっているメディアを友人に自信を持って「良いよ」って勧められないことがやっぱり悲しかった。嘘はついてないけど、いいことしか書いてないし過度な表現も多くて、鵜呑みにされると怖い。

「今はまだ自信を持って勧められないけど、将来的にはこんな風にしていきたいから今まさに頑張ってる最中なんだよ」ならまだしも。


一体このメディアはどこに向かっているのか?誰のための仕事なのか?求人広告ってこんなもんだと割り切るしかないのか?

‥‥‥‥‥


「売れない奴はゴミだ」と罵る上層部、それに疲弊していつも誰かが心を壊す寸前もしくは愚痴だらけな営業社員たち、

仕事中に震えが止まらなくなって冷や汗ばかりかいていて、GW明けにぱたりと音信不通になり噂の退職代行をつかって退職した同僚、大好きな先輩はいつしか笑顔がなくなり、もう誰にも会いたくないし家から出たくないと言って去っていた。

そういうのが日常的で感覚が麻痺するようなカオスな空間でも、なんとか少しずつでも良い方向に向いてほしいと願っていました。


私はどうせ働くのなら、自分の携わるメディアやサービスには誇りを持って働きたい。そこにこだわりを持って、とことん追求していくような、愛のある人たちと一緒に助け合いながら切磋琢磨しながら働いていきたい。


(私はもしかして、とんでもない綺麗事を言っているのでしょうか...)


※補足※

これは、とある支社の中のとある部署のたった数年間だけを見た、完全なる私主観の話です。この内容が正しいわけでも、すべてでもありません。


バカな私には見えていない部分も、たくさんあるんだろうなと思っています。決して、白黒つけたり会社批判がしたいわけではないので、予めご了承いただければ幸いです。



◼働くうえで大切にしたいことは、人それぞれ違う

もやもやとした違和感を抱える中、隣の席に座る先輩にふわっと軽く、この会社についてどう思うか聞いてみました。すると、
‥‥‥‥‥

「俺はこんなに良い会社、他にないと思ってる」

「大手で安定してるし、知名度もあるからローン審査も通りやすい。福利厚生もちゃんとしてる。ボーナスの金額も良い。残業も法定ギリギリまでできるから稼げるし、何より大人数の中で目立たずにコツコツ働けるから心地良い」

‥‥‥‥‥

なるほどなあ、と思いました。

私が、この会社は一体どこへ向かっているんだと、このままでいいのかと、企業と求職者にとって本当に価値あるサービスとは何なのかともやもやしている中、隣に座る先輩は今の現状にとっても満足しているようでした。

‥‥‥‥‥

「俺、仕事にやりがいとかは一切求めてなくて。完全に割り切ってる。その点この会社はすごく良い、ずっと続けていきたい」


たしかに、そう考える人たちにとっては、この会社は最高なのかもしれない。

‥‥‥‥‥

他の人たちにも聞いてみると、皆それぞれの考え方があって、なんとなくで働いてる人もいて、ここは嫌だけどこれがあるから頑張れると折り合いをつけている人もいて、

自分にとっては最悪で変えたい環境でも、他の誰かにとっては最高で変えたくない環境でもある。

本当に、人それぞれ価値観も、大切にしたいことも、仕事に求めることも、違うんだなと実感しました。



◼私が、働くうえで大切にしたいことって?


その企業は(組織は、チームは)なんのために存在しているのか。何を目指していて、どんなことを実現したいのか。どんな世界を理想としているのか。

いわば理念やビジョンや文化というものに、どれだけ共感できるかどうかが、私にとってかなり大切なことなんだと気づきました。


働くとは、誰かの役に立っていること。誰かの人生をほんの少しでも豊かにしたり、喜んでもらえたりすることなんだと思う。


そしてそれに対して、私はどこまでも誠実でありたい。違和感に対して敏感でいたい。


一方で、目指す世界や理想さえ納得しているのならば、それに至るまでの過程におけるしんどいことや辛いことは有無を言わず乗り越えていきたい。わりとストレスや負荷やプレッシャーがかかっても、それに燃えるタイプ。

たとえば、自分の力不足とか経験がないとか環境がよくないとか予算が足りないとかチームがうまくいかないとかとにかく無謀だとか。そこに言い訳したくないし、やると決めたことには成果を出せる自分でありたい。

その理想と現実のギャップをいかに埋めていくのかが頑張りどころで、それをどうにかこうにかしていくことが、働くということなのかもしれない。

そういうスタンスでこれまで生きてきたこと、これからも大切にしていきたいと思っていることに気がつきました。


その他にも大切にしたいと思うことはあれど、まずは自分自身が働くうえでの「原動力」はここにあるんだなあと思いました。


***


思い返せば私は小さい頃から、自分が納得できないことはとことんやらない子どもでした。

たとえば、なんで毎日学校に行かなきゃいけないのかがわからなくて、皆勤賞が偉いってのが全然理解できなくて、サボってばかりいた小学生時代。

中学生の時はよく終わりの会から登校して部活だけ参加してたし、義務教育を終えた高校生の時には、出席日数が足りなくて留年の危機に見舞われて、結局なんとか仮進学で上がってストレートに卒業できたというギリギリ生活。

教室にいた記憶があんまりなくて、いつもUSJかマクドか本屋にばかりいた女子高生でした。


***


その反面、やると決めたことにはとことん成果を出したい負けず嫌いな性格。

小学生の時は周りより3年遅れて始めた器械体操でトップのAランク大会に出たい一心で猛練習して出場して、中学生の時は超体育会系な吹奏楽部でオーディションに合格してチーム全体で府大会銀賞を受賞したし、

高校生の時はマクドナルドで5年ほどバイトしてドリンカートップの座を獲得したし、大学生の時はキッチンカーで全国各地に唐揚げを売るアルバイトで社長に死ぬほど気に入られてNo.1受付嬢と絶賛された。

学生団体では副代表に就任したけどとにかくうまくいかなくて辛い時期を過ごしたり、プレゼン大会で賞を取ったり、就活塾では優秀学生に選ばれたり。



いつだって、やると決めたことには全力で、やらないと決めたことには無関心。

物事に対する違和感や納得できないことには、正直すぎるほど正直に、反応を示していた学生時代でした。(今思い返せば、自分の見えている範囲でしか判断してなくてほんとバカだなあと思います)


***


自分は何を大切にしたいのか。

言葉にしてみると、日々どこかで聞いたことのあるように思えることでも、

自分自身で考えて、体感して、気づいて、すとんと腹落ちした言葉に辿り着いたことがこの1年の大きな収穫でした。


それから私は自分の幼少期から今に至るまでのことをとことん振り返り、自分用に書いたその文章はなんと2万字を超えて、いろんな気づきがあったのですが、それをここに書くともう収拾がつかないので割愛します。


一旦社会に出てみて働いたからこそ、そして仕事として合計1000社以上の企業を担当して、さらにwaseisaronなど社外でもいろんな「働く人」に出会ってきたからこそ、気づけたこともあるんだろうなと思います。

新卒就活の時に感じていた社会に対する漠然とした不安も、大人ってお先真っ暗なんだという絶望感も、今やほとんどなくなりました。


「他者との対話を通じて自分なりの納得感を見つけ出すこと」

waseisaronの真髄に触れられた気がします。ありがとうございます。



◼今後について

そんなこんなで、実は先月で会社を辞めました。

もう少しこの会社で働く選択肢もあったのですが、ここまでは必ず続けると決めていた「期間」と「担当案件数」の両方の目標を達成して、

それと同時期に、同棲して6年目になる同居人の東京転勤が決まって、前に約1年の遠距離を経ての2度目の選択に迫られた今。

‥‥これも何かの縁とタイミングかなあと思い、会社を辞めて一緒に東京へ引っ越すことを決めました。

決まっているのは、東京の新居だけ。仕事はこれからです。

東京在住の皆さま、これから宜しくお願いしますー!



◼終わりに

とまあ、ここまで長々と書いてきましたが、本当になが〜〜い。すみません。

「藤山な〜にを言ってんの」「わかってないねえ」なんて思われるのかもしれません。けどまあ、それでもいいかなあと思います。

ぜひ皆さんの「働くうえで大切にしたいこと」も教えてください。


あといろいろと、たくさん書いてしまったのですが、私は根本的には周りの大切な人たちと一緒に美味しいものを食べてお酒を愉しんで健康的にわいわい過ごせればそれだけではっぴーな人間です。

働くってなんだろう、を考えながらも、結局は友だちと美味しいお酒を飲めれば幸せやねん、くらいのゆるさをこれからも持ち合わせて生きていきたいです。


***


最後に、私の大好きな歌詞をここに置いておきます。


「大事にすべきものは探せばいくらでもあるんだけど、本当はそんなにいくつものものは守れなくて、だから選ぶんだよ、僕も君も」

「最近の幸せといえば、美味しいものを食べることで、確か前はもっと大それたことを語ってたはずなのにな」

「たとえアイドルと付き合えなくたって、外車に乗れなくたって、君がここにいるなら幸福な人生だろう」

「たとえ世界を救えなくたって有名になれなくたって、君を守るために生きられたら後悔しないだろう」


***


今回は、働くうえでの大切にしたいことを振り返りましたが、もっと大きく人生においてと考えると、何より大切にしたいのは「家族や友だちとの関係性」です。

自分にとって何が大切なのかがわかっていれば、むやみやたらに焦ることも、自由や成長を訳なく求めることも、自暴自棄に陥ることも、避けられるのかなあなんて思ったりします。


***


では、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
2019年は気づきの年、2020年は変化の年になりそうです。



明日は、ちゃんゆみさんが担当です〜!
https://twitter.com/brown_yu3