F太さんと一緒に配信をしていたPodcast番組『オーディオブックカフェ』が定期配信を再開することになりました!



前回の配信は、2024年年末の特別編。

それから半年以上の月日が流れ、満を持しての再開となります。これからは2週間に1回のペースでお届けしていきます。

この決断をしてくださった配信元・オトバンクさんには本当に感謝です。番組の価値を改めて汲み取ってくださり、再開を後押ししていただけたことは、心の底からありがたい限りです。

今日は、この復活にあたり、番組に込めている想いを改めて書き残しておきたいと思います。

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僕自身、この番組の正式な復活が決まったことを受けて、過去の配信回をすべてあらためて聴き返してみました。

正直、コロナ真っ只中に始まった番組なので、時代の影響が色濃く残っていて、内容も古びているかもしれない…と少し覚悟していました。

でも、パーソナリティ側である自分がこんなふうに語るのも変かもしれないのですが、内容が一切古びていないなと思ったことが、本当に嬉しかったです。

いま聴いてみても、配信当時と変わらぬ価値がそこにあったことに、嬉しさと共に大きな驚きもありました。

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じゃあ、その古びていない普遍性はどこからやってきて、一体何によって支えられているのか。

それはやっぱり「本」というコンテンツ、そのパッケージの力強さであり普遍性なんだろうなあと思いました。

優れた書籍や名著の持つ価値なんだろうなあと。

逆にコロナ禍でもあったからこそ、時代の変遷と名著の交差点のようなものも深く理解することができた気がします。

名著が持つ懐の深さ、これは実際に自分たちで配信してみて、そしてその配信が一昔前のものとなって、改めて気づけることだなと実感しました。

収録する前には必ず「いま一体何のオーディオブックを紹介すればいいのか」とオトバンクのスタッフの皆さんとも喧々諤々の議論をし、本当に自分たちにとって納得感がある書籍をご紹介してきて本当に良かったなあと思います。

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実際、 この番組自体は、すでに配信が止まっていたにも関わらず、検索や関連番組の欄から新たに発見してくれる方も多くて、番組休止中に第1回目から聴き返してくれる方々も多かった印象です。

そこで、配信をすべて聴き返してれたあとに「次の配信はいつですか?」と聴いてくれる方々も多かった。

そのおかげもあってか、配信が止まっていても、読書カテゴリーの中では常にランクインされ続けていて、こちらもPodcastという媒体の強みでもあるなと思います。

Voicyよりもストック性がありつつ、オーディオブックよりもフロー性は高い。

また、オーディオブックを扱うPodcast番組の特殊性もあって、この番組のリスナーのみなさん、つまり耳で聞く習慣がすでに一定程度身についている人たちに対して、適切にオーディオブック本編にも導くこともできたなあとも思っています。

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この点、もう今の時代は、みんながあまりにも忙しすぎて、落ち着いて本を読んでいる暇なんて存在しない。

動画や音声で日々の情報収集を行わざるを得ない。その中で、ファストなコンテンツ消費する流れは避けられないと思っています。

僕自身も、普段の生活のなかで、そんな動画や音声コンテンツには触れています。

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だとしたら、せっかくなら、その中でも良いものを聴こう!ということを提案したい。

紙の本を読んだほうが良いとわかっている人に対して、紙の本を提案して、読んでいないことを罪悪感に感じられてしまうよりも、「オーディオブックならどうですか?意外と今の生活習慣の中でも、取り入れやすいですよ!」という提案がしたい。

そのなかで、本当に良い作品を味わって欲しい。

時代の中で生き残ってきた作品を聴こうと促せるような、そんな良い意味でエンタメ的な立ち位置でありたいと思っています。

ファストコンテンツが主流になる中でも決して諦めたくはない。

この番組の中で、そんな「嘘も方便」的なことが行えたら良いなあと改めて思うんですよね。

これぞまさに「理想を忘れない現実主義」ですし、それゆえにラジオ的な明るさを保ちつつ、正直、親切、愉快に届けていきたいなあと。

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この点、今回の復活第1弾でご紹介した児童小説『ガラスのうさぎ』もまさにそうです。

この作品は、戦時中の一人の少女のドキュメンタリー作品でもあるのですが、戦争を考えるときに、とても普遍性を持つ作品だと思います。

これはぜひ実際に、多くの方に聴いてみて欲しい作品。

「戦争とは何か?自分たちの生活にどんな影響を及ぼすのか?」そんなことを忙しい毎日の中でも、オーディオブックで聴いてみて、その問いをお子さんたちと一緒に考えるきっかけにして欲しい。

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あとは、古典作品に限らず、そんな先人たちの言葉を真摯に受け止めて、それを現代に必死でちゃんと落とし込もうとしている作品なんかも、引き続きご紹介していきたい。

実は、すでに次回収録も終えていて、次回紹介する作品は飲茶さんの『あした死ぬ幸福の王子 ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」』になります。

こちらは1年ほど前に出版されたばかりの新しい本ではあるけれど、ハイデガー哲学の解説書でもあります。

骨太な哲学の素晴らしい入口でもあり、「面白くて役に立つ」という素晴らしいエンタメ作品でもあります。

僕らはさらに、その入口の入口になりたいなと思うんですよね。

やっぱり本を手に取るまでは、お金がかかることだから及び腰になりがちだけれど、二人の感想を聴いてみて「それだったら聴いてみようかな!」と自然と思えてもらえたら本望だなあと。

それこそが無料で届けられるPodcastの強みでもあるなと思うんですよね。

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このように、名著や素晴らしい新刊に、ドンドンとバトンを渡していきたいなあと思う。

自分たちで刺激の強いコンテンツを提供して、そこだけでお腹いっぱいになってもらって、囲い込むわけではなくて、です。

そうやって、素晴らしい本質、その読書体験へと送り届けていけば、また結局、自分たちのところにも戻ってきてくれるという確信もある。

「あのとき紹介してもらった読書体験が素晴らしくて、また紹介してもらってもよいですか?」というふうになってもらえるんじゃないのかなと。

そうやって、贈与の循環を起こして、中長期的な信頼関係を構築していくことが、いちばん大切なことだと感じています。

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今日述べてきたように、僕がオーディオブックカフェで行いたいことは、普遍的なコンテンツにふれるためのきっかけづくりでありたいなあと思っています。

そのための良き入口、よき伴走者、何かを上から教えるわけでもなく、共に探求する仲間として存在したい。

本当に文字通りカフェのように、みなさんと共に出入りが自由な空間で、フラッと訪れて、対話をしながら考えていける空間を、再び構築していきたいなと感じています。

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あと最近、宮崎駿さんのインタビュー集を読み終えたからも大きいとは思いつつも、僕にとってF太さんは宮崎駿みたいなところがあるなと思っています。

クリエイターとして心の底から尊敬をするし、いつも本当に面白いこと考えているなとついつい感動してしまう。

それぐらい僕にとって、F太さんは視点が独創的な方なんですよね。

そして、僕だけではなく、実際に世間にもその独創性は受け入れられて、未だにXでは鬼バズしている。2000万インプを超えるようなツイートも叩き出していて、それは数字でも証明されています。

また何よりも、F太さんの感想やそこから得られた思考、そういうものをしっかりと世界に対して残していかないと相方役として嘘だなと思うのです。

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こういう言い方をしても、もう許される関係性だと思うから、あえてこういう書き方をしてしまうけれど、かなり一般的な感覚とズレているのが、F太さんなんです。

そして、世の天才たちが遍くそうであるように、F太さんご自身は、自分が至って普通の人間だと完全に思い込んでいる。

でも僕からすると、相当変わっているし、人間界に普通に混じっているふりをしていても、その尻尾だけが完全に出てしまっているタイプの生きものです。(平成狸合戦ぽんぽこみたいに)

視点が変態的で、それが本当に素晴らしい。でも、その引き出し方にいつも迷っている。それがまた、僕からすると新鮮なんですよね。

そういうひとの変態性を引き出すのが、僕の役割だなあと思っています。

F太さんとであれば、一緒に何時間でも話せるし、連続収録をしていても「疲れた」と感じたことも一度もありません。本当に素晴らしい仲間だなあと思っています。

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歴史の中で残ってきたキラッと輝く書籍、そのオーディオブック版を軸にしながら、F太さん、そしてオトバンクのみなさんと共に、これからも価値ある番組をつくりつづけていきたいなあと思います。

先人たちが指さしてくれた「月」を眺めながら、今の時代にあった価値観を構築して、現代にあったエンタメコンテンツをつくっていきたい。

それを行うことが現代を生きる僕らの責務でもあり、次の時代にバトンを渡していく役割でもあると思っています。

そして、なによりもそれこそが本当の意味での生きる楽しみにも直結するだろうなと感じています。

ぜひみなさんにも、引き続きこの番組をお楽しみいただけると嬉しいです。


いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。