社会人10年目にして、いまの僕がこれからの時代において本当に大切なスキルだと思うのは、「読み、書き、対話」の3つです。

具体的には、「読んで考える、書いて(表現して)考える、他者と対話して考える」。

このように、自らの頭で考えることを決して放棄しないこと。

考えるために必要な三原則が、まさにこの3つのスキルの中に集約されているなあと思うのです。

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一方で、これからの時代において一番やってはいけないことが「まず発信、まず行動、まず発表」だと思います。

たしかに、2010年代のインターネットには、そのような若者たち対して明確なチャンスが存在していました。

2020年代に入った今でも、当時よりはだいぶ狭き門となった感はありますが、まだまだチャンスは山ほど転がっているかと思います。

そのチャンスになんとか乗り遅れないようにと躍起になってしまうと、どうしても盲目的になってしまい、結果的にわかりやすいノウハウや単純なテクニックに流されてしまいがち。

そうすると、既存のインフルエンサーたちにとって一番都合の良いカモに成り下がってしまいます。

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やっぱり、中身がないものに、どれだけネットの力や最新のガジェットの力を用いて掛け算しようとしてみても、ゼロには何を掛けてもゼロにしかなりません。

たとえ運良くチャンスを掴み取ったとしても、その掴み取ったチャンスの先に、実現していきたい未来像が描けていなければ、

結局似たようなインフルエンサービジネスに手を出して、二番煎じの列に連なっていくだけです。

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ここで少し歴史を振り返ってみると、そんな若者たちによる「革命」や「下剋上」のようなものは、決して珍しいことではありませんでした。

科学技術の変化や、地域(国際)情勢の変化によって、いくらでも似たような出来事が過去に起きてきたことは、歴史を学ぶと非常によくわかる。

そんな過去の革命運動が犯してきた過ちが、今の僕らに教えてくれるのは、年長者たちの既得権益を奪って、自分たちの鬱憤を晴らしてみたところで、ちゃんとその先を見据えていなければ何の意味もないということ。

むしろ、自分たちにとって本当に必要なものさえも壊してしまうことになりかねない。

オルテガは『大衆の反逆』の中で、「食料が不足して起こる暴動のさいに、一般大衆はパンを求めるのだが、なんと、そのやり方はパン屋を破壊するのが常である」という言葉を用いてこのことをわかりやすく表現していました。

「造反有理」を掲げて、伝統文化や保守的なものを何でもかんでも破壊してしまった中国の文化大革命なんかもまさにそうだと思います。

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いつの時代も、今の状況さえ打破すれば、そこに何か理想郷的なものが勝手に立ち現れてくると、若者たちは信じてしまいます。

しかし、その更地に何か新たなものを創り出すのも、やっぱり紛れもなく自分たち自身なのです。

だとしたら、ちゃんと自分たちで考えていかないと。少なくとも、自分で考えることだけは決して放棄してはいけません。

さもなければ、奪い取って壊した先に、今よりもさらなる悲惨な未来が待ち受けていることになってしまいます。

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「インフルエンサーになって、FIREして、場所にとらわれない生き方で、悠々自適な人生!」のウソに騙されないこと。

世界にも人生にも、もっともっと大事なことが沢山あります。

自分にとって、本当に何が大切なことなのかをしっかりと自分の頭で考えてみる。

そのために必要なスキルが、現代においては「読み、書き、対話」なのではないでしょうか。

このWasei Salonも、そんな風に自らの頭で「考える」という煩わしさから決して逃げない人たちが、集う場にしていきたい。

「何か行動したい…!」と息巻く血気盛んな若者たちに、この言葉が少しでも届いてくれたら嬉しいです。

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