最近、web3関連の勉強を本格的に始めています。
日本のNFT業界をつぶさに観察していると、これまでのネット上のコミュニティと、圧倒的に異なる点がありました。
それが「音声コンテンツ」との掛け合わせであるということ。
これは、VoicyとNFTの成長時期がたまたま重なったから自然とそうなったということなのだとは思いますが、ものすごく大きな変化だと思います。
なぜなら、音声コンテンツによって話し手の「思考過程」をしっかりと共有できるようになったから、です。
今日はこの気付きについて、ブログにも書き残しておきたいと思います。
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この点、多くの方は「You Tubeのような動画コンテンツであっても、思考過程は共有できるのでは?」と思うかもしれません。
でも、動画は音声コンテンツとは異なり、2つの意味において不適切なのです。
ひとつは、つくり手側の問題です。
せっかくの含みのある音声を収録できたとしても、ガンガン編集してしまう。極端に言えば「要約」の部分だけが、つなげられていくのです。再生数を稼ぐために。
そして、もうひとつは受け手側の問題です。
動画の場合はドンドン飛ばして観てしまいます。発信者の結論だけを理解しようとするひとたちが大半なのです。
でも、音声コンテンツの場合は「ながら聴き」が基本ですから、早送りしたりしながら、自分の欲しい情報だけを摂取して早々に立ち去るということはまずありません。
とりあえず一度聴き始めたら、最後まで一通り聴き終えて、「事実→問い→仮説→具体例→結論」のような話し手の一連の思考過程をたどることになります。
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このように、音声を聴く余裕のあるひとたちが集まっているコミュニティというのは本当に強いなあと思います。
じゃあ、どうやったら音声で共有されている状態かどうかを見分けることができるのか?
ひとつの要素として、そのコミュニティに参加しているひとたちの「歩数」に着目してみるというのは、かなりおもしろい方法だなあと思いました。
というのも、イケダハヤトさんがファウンダーを務める「Ninja DAO」、そのプロジェクトのひとつである「CNP」というNFTプロジェクトでは、このNFTの保有者だけが使えるスマートフォン用のアプリが開発されていて、最近このアプリ内にメンバー同士で歩数を共有できるランキング機能がつきました。
そこで可視化されたのは、このコミュニティに集まる人達の歩数が、ものすごく多いのです。僕も毎日相当な歩数を歩いているほうだとは思いますが、そんな僕でも普通にランキング圏外です。
これは、このコミュニティに参加している人々が日常的に散歩しまくっている証であり、散歩している間には間違いなく、Voicyを筆頭に音声コンテンツを聴いて学びを深めている時間なのだと思うのです。
だからこそ、ここに集まる人たちは今のこのタイミングであっても、ちゃんとNFTのことを理解して、積極的に新しい技術にも触れられているわけですよね。
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「思考過程を共有していると、一体何がいいのか?」それも改めてちゃんと言語化しておくと、メンバーが自律分散的に動くことができるようになるのです。
ここが非常に重要な点だなと僕は思います。
自分で問いや課題を見つけて、その問いに対して自らで仮説を立てて、その仮説をもとに動いていくことができる。
端的にいえば、ファウンダー(創始者)の指示待ちじゃなくなっていくのです。
指示を与えられなくても、このコミュニティの中の世界観や価値観を自ら理解して、「今の自分が他者に貢献できる行動というのは、これだよな」と自分で考えて結論を出すことができる。
だから、ひとりひとりが自分の意志で行動できるようになるのです。
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この思考過程の共有が、これからの時代の「組織」においては本当に重要なことだと感じます。
近い現象は、2000年代初頭のネットバブルの時代、社長の朝礼ブログ(朝礼メール)が一般的になったときに似たような変化が生まれました。
それまでは、社員全員が一箇所に集まり、社長の話を聞かなければいかなかったのを、非同期型のブログやメールのテキストに置き換えたことにより、いつでもどこでもその思考過程を読めるようになり、その結果として、社員の働き方が大きく変化しました。
また、インターネット上でもそのブログが公開されることにより、一般の人たちにも理解されるようになった結果、株価がドンドン上がっていったのはとても懐かしい光景です。
今はそれが、完全に音声コンテンツ(Voicy)に置き換わっているということなのだと思います。
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ブログやメールのようなテキストでは共有できない「間」や「沈黙」なども含めて、ものすごく繊細な情報まで含めて、非同期で共有できるということ。
これがものすごく重要な要素になってきているなあと感じます。
具体的には、先日配信したTwitterスペース「ゆる合説Radio」のアーカイブを聴いてみてください。
その意味するところを、少しでも理解していただけるかと思います。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。
2022/10/17 11:18