これまでのありとあらゆる「商品」は、市場のニーズドリブンや、マネタイズドリブンでつくられることが多かったです。

それはなぜか?

そうしないと、お金(経済)が回らないからです。

でも約10年ほど前、ブログやYou Tubeや生まれてきて、その構造が大きく変化しました。

具体的には「好きがこうじて、無償でも発信したい!それこそが私の生きがいである!」というひとたちがドンドン無償で発信・製作し、それが結果的に「商品」になったのです。

つまり、エモーション(感情)ドリブンみたいなことが起きました。

まさに「上手い素人」全盛期の時代の到来です。

参照:「上手い素人」と「ヘタなプロ」の違い。

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だからこそ、「好きなことで生きていく」というキャッチコピーも広く一般化していきましたよね。

じゃあ、その結果として今の世界はどうなったのか?

みなさんご存知のとおり、完全に「好き」が洪水を起こしてしまっている状態です。

みんなが自己のチャンネルやアカウントに我田引水しようと躍起になってしまって、市場の「水」が完全に枯渇しまっているような状態。

そのような状況下でも、アテンションを獲得できるようにと各人が躍起になった結果、またニーズやマネタイズドリブンに逆戻りしている状態が、まさに今だと思います。

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ただし、ここに来て「DAO(自律分散型組織)」という新しい組織形態が生まれてきて、あたらしい共創の芽が徐々に生まれ始めてきています。

「今はもう『個人の時代』ではなく『集落の時代』なんだ」とよく言われるけれど、まさにそのような集落のなかでの共創が少しずつ始まっている。

「それは、会社と一体何が違うんだ?」と思うかもしれませんが、会社の場合は、徹頭徹尾「収益化」が目的です。

小難しく言えば「資本の増殖」が目的だと言ってもいい。それが株式会社の存在意義そのものだからです。

でも、新たに生まれてきたDAOの場合は、まず共通する価値観でつながり、その中でお互いの「得意」を提供し合って、共創することができる。

リアルの社会であれば絶対に出会わなかった者同士が、そうやってひとつの価値観のもとに集い、お互いの「好き」をつなげて、何かまったく新しい制作物をつくることができるようになったのです。

もちろん、それはニーズやマネタイズドリブンから生まれる制作物ではありません。

売れても売れなくても「つくること」や「他者と共にはたらくこと」それ自体に純粋な楽しみを見出して、この世にうまれてくる制作物たちです。

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で、実はこのような流れは、5年以上前から「オンラインサロン」の普及と同時に少しずつ浸透し始めてはいました。

ただし、そこで生まれた制作物の「収益の分配」が非常にむずかしかったのです。もちろん、何か事業を始めるためにはそのための原資も必要になります。

「金の切れ目が、縁の切れ目」と言われるように「お金」の問題でうまく前に進まない…。

サロンの場合は、メンバーの入れ替わりも激しいですから、会社のような強制力も働きません。

でも、DAOであればNFTという「価値が変動する参加券」のようなものを絡めることで、ここがものすごく「なめらか」になります。

これが、最近しつこいくらいブログに書いている「スタートアップの民主化」の真の意味だと僕は思っています。

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ほぼ半自動的に収益の分配が行われるわけですから、「お金」の問題で悩むこともなくなる。

DAOの参加メンバーは、純粋な共創活動に専念できるわけです。

さらに、そのコミュニティのNFTを所有している全員が、その価値の恩恵を受けることができるようにもなるわけだから、コミュニティに属している全員で、本当に価値のある「共創の神輿」を全力で担ぐこともできるようになるわけです。

そうすると、これまでとは全く異なる、あたらしい経済圏が生まれてくる。

この革新性に、まだ多くのひとは気づいていません。

今までも、You Tubeならyoutuber同士の、VoicyならVoicyパーソナリティ同士の、プラットフォーム上でのそういったコラボは存在したけれど、まったく関係性を持たなかった人間同士が、価値観や思想ベースで先につながり、お互いの職能を活かし合うことができる世界は存在しなかった。

それが、本当の意味でいま実現し始めているわけです。

これがいかに画期的なことなのか。今までは生まれてこなかった異業種コラボの制作物が、これから世の中にドンドン生まれてくるようになるでしょう。

これが世界に与える影響は計り知れないと僕は思います。きっとブログの誕生や各種SNS、You Tubeなんかの比じゃない。

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それぞれの人間の「得意」を本当の意味で活かすことができる空間、各人が心の底から「貢献感」を感じられる空間が生まれてくる。

それは、手触り感のある「共同体意識」を抱くことにもつながっていくでしょう。

しかも、新興宗教や村社会、ブラック企業のような共同体への出入りに対して厳しい規制や罰則が存在するわけでもなく、何度だって繰り返し出入りしたって構わないし、緩やかなつながりもNFTを所有し続けることで、半永久的に継続することができる。

理論上は未来永劫、孫の代でも簡単にその関係性を受け継いでいくことができてしまいます。

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DAOのような新しいタイプのコミュニティが生まれてこなければ、絶対に生まれてこなかった新たな世界がいま着実に生まれつつある。

もちろん、この新たな世界に向けて、Wasei Salonでも積極的にさまざまな実験を繰り返していきたいと思っています。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。

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今日の記事と合わせて聴いてみて欲しい音声配信はこちら。