一年前の今頃、何となく気になる会社のインターンに行ってみたり、説明会に出てみたり、とりあえず受けてみるかくらいの気持ちで選考に進んだりしていた。自己PRを求められれば、画面越しで等身大以上を取り繕う自分自身に気持ち悪さを感じ、かといって謙遜しすぎると面接に落とされ、何をどうしたらいいかわからなかった。

期限内にエントリーシートが提出できなかった日には、「何で私が社会に合わせないといけないの?」と社会に対してささやかな反抗期を経験した。

夜な夜なエントリーシートを書いたり企業研究をしたりしている同級生を見ては、「はい出ました頑張ってるアピール」と軽蔑の目で彼らを見たこともあった。

みんなが頑張っている時期に頑張れない自分がもう嫌だと思って、全てを投げ出して一人で小旅行に出かけた時もあった。結局スーツを着ている人を目で追いかけてしまってあまり楽しめなかった。

それでも何か前に進まなきゃと思って、進路に関係しそうなオンライン教室に通ったり、求人で良さそうなところがないか探し続けた。会社員以外の働き方も知ってみたくて、地域おこし協力隊に応募したり、実際に協力隊として働かれている方のお話を伺ったりした。これまでの自分の視野の狭さを痛感した。

内定をいただいて落ち着いていた時期もあった。でも、その業界で得られる力よりも長時間労働に耐えられず心身疲弊している自分の未来が見えてしまって、辞退した。もう一度自分のやりたいことと向き合ったけれど、私には考える時間よりも行動する時間の方に価値があると思った。

もういっそのこと留学してしまおうかと思い立ち、周囲に留学宣言をしたこともあった。あいなは卒業後に就職しないらしいと噂になり、後になってから取り消すのに苦労した。

自分の守りたいことや大切にしたいことがはっきりと見えてからは早かった。公的な成功よりも私的な成功を優先したいと思う出来事があったからだ。それがわかってから、納得して進路を決めることができた。私はこの春から、人材会社に勤めることになる。

振り返るとおぼつかない足取りだったけれど、確かにここまで着地することができた自分に拍手したいと思う。きっとこの先も同じような足取りで、でも確かに前へ進んでいくんだと思う。一休さんの「慌てない慌てない。一休み一休み。」を思い出しながら。