誰もが、メディアをつくることができるようになって、工場なんかとも連携して受注販売もカンタンにできる時代となりました。

結果として、万人が自らのビジネスのアクセルをいくらでも踏めるようになった。

ビジネスを始めたいと思ったら、今すぐにでも始められてしまうのが現代社会です。起業する必要さえなく、複業の延長で片手間にでも始められてしまう。

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この点、従来の社会においては、「メディア」や「工場」「販路」を持つことが一番むずかしかったはずです。

だからこそ、そのような発信媒体を持ち、工場や販路に投資することがビジネスを成功させるために必要不可欠で、それを力技で実現させることがプロが担う重要な役割だったわけですよね。

でも繰り返しますが、今は誰でもそんなアクセルを簡単に踏めるような状態にあるわけです。

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全員がアクセルを踏める時代には、誰でもカンタンに「スピード」を出すことができます。

その中で、価値観が従来のままだと暴走する姿のほうが勇敢だと思われがち。

そうなれば、チキンレースとなっていくのは当然です。だからこそ今は、各所で実際にそんなチキンレースが日々開催されてしまっている。だれがどこまで踏み込んでくれるのか、と。

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さて、ここで歴史を振り返れば、昔はこれが「暴力」でした。

時代が進むにつれて、次第に「暴力」も民主化されていきます。

最初は自身の肉体を鍛えて戦う肉弾戦だったものが、そのうちに刀や弓など道具を用いた武術になり、最終的には誰でも用いることができる銃や戦車・核兵器を用いた武力へと変わっていく。

たぶんそんな中でも「強いやつが一番偉い」という従来の誤った価値観を捨てきれずに、時の為政者たちがドンドン他国に侵略していって、結果的に第二次世界大戦まで進んでしまったのでしょう。

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現代において、武力を司るプロに求められていることは、「武力」をどうすれば用いずに、その「武力」を封印し続けることができるか、です。

なりふり構わず他者を服従させるために発動される武力は、ただの暴力です。

つまり、武力を司るプロに求められる役割が第二次世界大戦を境にして、180度反転したわけですよね。

「ビジネス」が民主化されていく世の中で、プロに求められるスキルも同様に、適切なブレーキを踏めることに間違いなくシフトしつつあると思います。

しかし、一方で何でもかんでもブレーキを踏めばいいのかと言えば、もちろんそうではありません。適切なアクセルだってときには重要です。

武力で言えば「抑止力」や「自己防衛」としての武力は必ず必要になってくる。

つまり、本当に必要なのことは、ここからは決して踏み込んではいけないという「歯止め」の部分なのだと思います。

国家で言えば「憲法」を定めることに該当するかと思います。

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自分たちが目指したい世界観や価値観を明確に提示して、そのうえで適切な「歯止め」をつくり出していくことができるひとが、これからの時代のプロとなるのでしょう。

中長期的な視座で物事を判断し、適切な歯止めを構築できる人材が、ビジネスの世界でも非常に重要になってくるのかなと思います。

法の抜け道を見つけ出してチートやハックを繰り返し、莫大な結果を出せることがプロなのではなく、適切な法体系を新たに作り出し、そこに平和的な秩序をつくりだすこと。

その場に集う者同士が安心してそれぞれの道を歩めるように。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。