昨日「灯台もと暮らし」編集部の編集会議がありました。
そこで語られた内容のひとつに「住まい方だけが、未だにあまり変わっていない」という話題があがり、それがとても興味深かったです。
いまコロナの影響により、少しずつ住まい方に対する新しいチャレンジが増えてきているような気がします。
でもやっぱり、それも緊急避難的な施策が主で、そもそものライフスタイルの抜本的な変化や価値観の変化に対して提示されているものではなく、住まい方だけがかなり出遅れている印象があります。
とはいえ、この緊急避難的に行われている今の住まい方の変化が、これからの私たちの行動や性格さえも方向づけていくと思うのです。
今日はそんなお話を少しだけ。
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この点、多くのひとは自分の住まい方を決める際、まず自分の中に明確にやりたいことがあって、その願望を叶えるために今の自分の住まいを選んでいると思いがち。
でも実際のところは、住まい方のほうがあなたの活動を決めていると、僕は思うのです。
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長い歴史を振り返ってみても、人間の活動はすべて地政学的な影響を受けてきました。
いま住んでいる場所から港が近いから、鉱山が近いから、平野が広がっているから、その上で適した産業が決まり、交易の仕方も定まる。
その産業に必要な建物や集落が自然と作られて、その土地に住む人々の社交性や性格も傾向づいていく。
このように考えるとき、まず「人ありき」ではなく、まず「山ありき、海ありき」だったことが非常によくわかると思います。
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これまで何度もこのブログに書いてきましたが、人間は「媒介物」に過ぎないのだと思います。
「これは自分の意思だ」と感じていることさえも、結局のところは外的環境の中で育まれた産物に過ぎない。
だとすれば、より一層ワクワクする方向に住まい方の舵をまず切ってしまい、その住まい方から導かれる自己を純粋に楽しんだほうがいい。
いい意味で、媒介物としての自分を、泳がせる感覚です。
そうすることで、新しい働き方や生き方は自然と生まれてくるのだと思います。
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とはいえ「あのひとは従来型の住まい方(例えば持ち家や、2年縛り賃貸)でも、新しい働き方や生き方を体現しているじゃないか!」
そんなふうに思われる方もいるかもしれません。
でも、そういうひとであっても大抵の場合は、ほとんど家にいないことのほうが多かったりします。
頻繁に国内外に出張にいく機会があったり、短期で移住していたり、かなり変わったライフスタイルを送っているはずです。
だからこそ、そういった人たちはいつも他の人とは異なった発想や事業を生み出していくのだと思います。
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何か新しいことを始めたければ、まず住まい方をガラッと変えてしまったほうがいい。
自分の意思でザックリとした方向性だけを定めたら、あとは住まい方が自己を導いてくれます。
だからこそ、コロナのこのピンチは意外チャンスだなとも思うのです。
そして、そこに暮らす自分が何に目覚めるのか、自分で自分のことをつぶさに観察してみる。
これはルール(制約)があるからこそ、クリエイティビティが発揮されるスポーツなどとも、非常によく似ているなと思います。
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ここまで書いてきて、いま思い出しましたが、以前このブログに書いたような話にも近いかもしれません。
参照:隙間があると埋めたくなる。富の象徴ではなく、クリエイティブ欲を発揮するための広い家。 http://inkyodanshi21.com/lifestyle/11513/
まずは、住まい方のアップデートから始めましょう。
2021年の今このタイミングで、地味にとても重要なことのように思います。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考になったら幸いです。