最近、朝ドラの代表作『おしん』を観るようになりました。

https://www.nhk-ondemand.jp/program/P200800003800000/

きっかけは、橋田壽賀子さんのドキュメンタリー番組を観たから。(記事末にリンクあり)

まだ観ている途中ではあるのですが、『おしん』は良くも悪くも日本人の義理人情など「道理」を学ぶうえで、これ以上ない作品だなあと思ったので、今日このブログでもご紹介してみたいと思います。

参照 https://wasei.salon/blogs/fd205aadb1c0

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改めてここで紹介する必要もないくらい、『おしん』は言わずと知れた名作かと思います。

このブログを読んでくださっている方の中で、この作品を知らないという方はまずいないでしょう。

当時の平均視聴率は52.6%。で、最高視聴率は62.9%。これはいまだ打ち破られないテレビドラマの最高視聴率記録となっているそうです。

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そんな作品を僕が、いま改めてこのブログで紹介しようと思った理由は、

この作品をお涙頂戴系の「人間ドラマ」として観るのではなく、文化人類学的な視点で観るとすごくおもしろいなあと思ったからです。

宮本常一の『忘れられた日本人』や、イザベラ・バードの『日本奥地紀行』の中で描かれているような明治〜大正時代の農民達の姿が、見事に映像化されているように感じます。

ちなみに、主役のおしんは昭和天皇と同い年という設定でのようです。

ここは橋田壽賀子さんがどうしてもこだわりたかったポイントらしく、上述したドキュメンタリー番組内でも力強く語っていました。

明治、大正、昭和という時代を懸命に生きたひとりの女性の一生を客観的に眺めることができる、そんな優れた作品だと思います。

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とはいえ、「なんだかやっぱり観る気が起きない…」という方も多いのではないでしょうか。

僕自身も、これまでなんとなく避けてきた作品だったので、その気持ちは痛いほどよくわかります。

僕が避けてきた理由は、なんだかとても辛気臭くて、観ていられなかったから。

自分自身がこの時代に生きてきた人間ではないのですが、やはり祖父母や両親の人生の地続きのような気がして、なんだか直視できなかった…。

でも今なら、いい意味で客観的に観られるかなあと。

上述した名著と呼ばれる書籍と同様、歴史資料を観るような感じで眺めることができて、令和という今の時代に観るのに、ちょうどいい作品だなあと感じます。

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また、『おしん』は1983年に放送されていた朝ドラなので、現代のNHKでは絶対に削られてしまいそうな生々しい表現もたくさん出てきます。

一方で全く古びてもいない。

それゆえ、歴史資料を観ている気持ちで観ているにも関わらず、ついつい感情移入してしまい、涙を流してしまうシーンも多々あります。

ただし、そんなときこそ、

「あぁ、これが日本人の道理なのか」

「自分の中にも、こんな不合理な話に肩入れできてしまう日本人的な価値観が備わっていたのか」

と客観視できる。

いい意味で、自分のなかにある無意識下の日本人的な価値観がドンドン浮き彫りになってくるんですよね。

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それらを棚卸しして、断捨離することができる。

令和という時代を生きていくにあたり、今この場においていきたい価値観と、これからも大切にしていきたい価値観、それらを自分の中で峻別することができる。

そんな意味でも、本当に優れた作品だなあと思います。

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これまで避けてきた方にこそ、令和3年のいま観ることをぜひともオススメしたい。

まずは、下記のドキュメンタリー番組からどうぞ。

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2021113767SA000/

いつもこのブログを読んでくださっている皆さんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。

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https://twitter.com/WaseiSalon/status/1387223421008760834