「地方には興味があるけれど、とりあえず東京オリンピックが終わるまでは、東京にいようと思っています。」

2010年代に、東京で開催される地方関連のイベントで、参加者の多くの方々から本当に何度も見聞きした言葉です。

そして、いま実際にその「東京オリンピック」は終了しました。

もちろん、この宣言通り、年内に移住を実行しようと具体的に行動している人たちは、一定数いるかと思います。

しかし、きっとこの宣言をした半数以上の方々は、そのまま東京に留まる選択肢を選んでいるような気がしています。

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きっと、その方々は今、「コロナが落ち着いたら地方に移住しよう」と言っているはず。

本当は、そのコロナが及ぼしてくれた影響のおかげで、どこでも仕事ができる環境が以前にも増して充実してきてはいるのだけれど。

そして来年あたりに実際にコロナが落ち着いたら、今度は「やっぱりzoomのオンライン会議では意思疎通が難しいから、メタバース(仮想空間)が普及してきたら移住しよう」に変わっているはず。

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決して、この判断が悪いと言いたいわけではありません。

タイミングは、完全に本人の自由です。

ただ、そうやって必ず将来に訪れるわかりやすい期日や、他者も説得しやすい基準を設けながら、ひとは決断を先延ばしにしていく傾向にあるということです。

あくまで「東京オリンピック」や「コロナ」、「メタバース」は方便に過ぎない。

方便に過ぎないのだけれども、その納得感に対して、自分自身も納得させられてしまう。

そのうち、家庭や仕事の重圧がドンドン重たくなってきて「もう自分の適齢期は過ぎたから」という言い訳に変わり、地方移住が「老後の楽しみ」へと変化していくのでしょう。

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「人の振り見て我が振り直せ」というように、こっちだろうなと薄々感じながらも、そっちには進まずに、誰にでも納得してもらいやすい理由をもとに現状維持してしまっているもの。

そうやって、必ずやってくる未来を言い訳にしながら、先延ばししてしまっているものが自分の中には存在しないか、常に自己点検していきたいものです。

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