今日は家族と実家の近所の子が来てくれて、我が家で味噌作りをしました。

10年くらい前福岡で学生をしていた頃、大学で講演をしていた方が登壇するトークイベントのトーク相手として小倉ヒラクさんがお話しされていました。
小倉ヒラクさんのユニークなキャラと共に「え!発酵って面白い!!」と思ったのを覚えています。
それが発酵に興味を持った最初だったかは忘れてしまいましたが、そのイベントのあとヒラクさんの本でもふれられていた「もやしもん」のアニメをみて、「菌ってすごすぎる」と感動し、自分の生活をとりまく目に見えない存在に思いを馳せたものでした。

話は味噌に戻りますが、スーパーの常温コーナーに並んでいる味噌、殺菌・滅菌処理をされた状態で並んでいると聞いたことがあります。味噌は菌によって発酵しているので、菌が存在している状態で常温のまま置いてしまうと発酵が進んでしまうからです。

それを知ってから冷蔵庫で売っている味噌を探してみるも、意外と見つからない。
菌があるからこそつくれる味噌なのに、最後に菌を殺した状態で売るのが一般的になっている、というのもなんだか不思議な話だなぁ、と思いました。
もちろん常温で管理できる方がコストが低いので、その方が売る方として合理性が高いというのは理解できるのですが。

それ以降可能な範囲で冷蔵販売の味噌を探して買っていたのですが、一社目の先輩が雑談の中で毎年味噌をつくっていると教えてくれました。
還暦をすぎたその方が味噌のことを聞くと生き生きしながら色々教えてくださるので、味噌には麦麹、米麹、合わせ麹など色々作り方があるらしいこと、大豆と同じくらい塩選びが大事らしいこと、など毎度会社の実験室からその方が運転する車で帰るたびに少しずつ知っていきました。

その会社を私自身が退職するタイミングが3年前の1月だったのですが、退職したあとその方に改めて味噌作りについてメールで質問したら、パワーポイント付き(写真に矢印がついてて矢印の先に解説コメントが付いている!)でかなりの長文に丁寧に説明をしてくださいました。
流石にこのメールもらったら作らないわけにはいかないか…というのもあり、次の職場に行く前のタイミングではじめた味噌作り、最初はうまく行くか不安に思いながらつくったのですが、思ったよりつくるのが難しくなかったこと、半年後につくった味噌が本当に美味しかったこと、そんなこんなで味噌づくりって面白いかも!と思ったのが数年前、そこから何回かつくっています。

ここからは数日前の新鮮な記憶が消えないうちにメモがてら、味噌づくりのプロセスと感想を書いてみたいと思います。

まず材料ですが、大豆と麹と塩の3つと大変シンプル。
写真は4家庭分の材料なので結構多いですが、全部ネットで手に入ります。
*我が家のお味噌の塩は、その方オススメの「海の精」。曰く天然粗塩系がいいらしいです。麹や大豆はその時のフィーリングで決めています。
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配合もネットで調べると色々出てきますが、今回はシンプルに、大豆:麹:塩 = 1:1:0.5の割合で作りました。
私は割と甘いお味噌が好きなので、味が丸くなりやすい麦麹と米麹を半々ずつで配合。
参考にしたのは、小倉ヒラクさんの本にも出てくる小泉武夫さんのブログ。


材料を集まって前日になったら大豆を大豆の量の3倍くらいの水で浸します。
乾燥大豆、買った時はまん丸なのですが、18時間か24時間くらい浸すと、横長のいわゆる大豆の形になります。
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これが水に浸した大豆を火にかけて沸騰する直前。
上の写真と比べて、すでに豆が横長なのがわかるでしょうか。
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今回は茹でる量が多かったので、カセットコンロも含め総動員。
お昼過ぎ集合予定だったので、なんとか8時台に起きて、起きて早々大豆を火にかけました。
圧力鍋がないので、3-4時間かかるのですが、なんとも言えないいい香りがして、意外とこの待っている時間も楽しかったりします。
本を読んで待とうかなと思っていたのですが、灰汁をとったり掃除したりあれこれしていたら、そこまで読書は進みませんでした。
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2年前は妹と一緒につくったのですが、その時大豆を潰すのが大変だったという話を妹がしたら母が「うどんみたいにポリ袋に入れて潰したらどうかな?」と言い、ちょうどその会話をしていたときにみんなを迎えにいった車の中からクリエイトが見えたので、クリエイトで大きなゴミ袋を購入し、お昼過ぎに家にみんな集合。

家を少し開けていたので、大豆をあたため直してお皿にあげました。
これはザルにあげる直前。この頃には大豆を手で押さえると、そんなに力を入れずに潰れるくらいの柔らかさになっています。
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とお皿にあげた直後の写真。まだ湯気がたっています。
これも全量ではないというのが驚きです。
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大豆がさわれる温度になったら、母アイディアのゴミ袋に入れて足で潰す作業を開始します。しっかりゆでているからか、かなり簡単に潰れていきます。母ナイス。
そして大豆のあたたかさを足で感じながら潰していく感触がとっても面白くて、なんだか少しクセになります。
ほぼ参加していなかった夫も、大豆を潰す工程に少しだけ参加しました。
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潰している間に、手があいている人が塩と麹を混ぜていきます。
麹も塩も意外と固まっているのでしっかりほぐして均等に混ぜるのは、意外と時間がかかります。写真は鍋ですが、寿司桶に広げて混ぜるのが一番楽でした。
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塩と麹がしっかり混ざり塩きり麹になって、大豆もつぶれたら、その二つを袋の中で混ぜていきます。
ぎゅっぎゅっぎゅっ、手のひらで力を入れながらしっかり混ぜていきます。
だんだん見た目も味噌っぽくなるので、やっているとおおおとちょっとテンションが上がります笑
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しっかり混ざったら最終工程、樽に味噌を詰めていきます。
樽はプラスチック、木の樽、色々ありますが、我が家はホーローの容器を使っています。
何と言っても他の容器と違ってそのまま火にかけられる!最初は大豆を水につけるボウルとして使って、そのあと水を差し替えてそのまま鍋がわりに火にかけて、同じ容器を洗って消毒したら入れ物に早変わりするので、大変便利。

味噌玉といって、ハンバーグみたいに空気を抜いて丸くしたものを、さらに空気を抜きながら詰めていきます。写真のような感じ。
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これを繰り返していくと、徐々に樽が味噌でいっぱいになってきます。
これで量としては4kgくらい。
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空気が入らないようにラップをして重石を乗せて、さらに容器もラップをして完成。
この樽はこれから半年間発酵させるのですが、うちでそのまま保存する人、引越し先に送ってという人、どこで保存したいか、発酵させたいかというのが様々で、それもなんだか興味深かったです。
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集まったのが13時くらいで、第一弾が完成したのが15時半くらい。
その間全身を使うので、結構疲れた〜という感覚になります。

パソコンを使って仕事している面々が集まっていたので、普段使わない体力使って疲れた〜、でも楽しかった〜と口々に言いながら、お菓子タイム。
労働の後の甘いもの、沁みました。
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にしても味噌づくり、なんでこんなに楽しいんだろう、と思います。
まずはまん丸の乾燥大豆から、発酵前の味噌の状態までの変化がとても面白いこと、そこから発酵という形で自分たちの手を離れて味噌になる不思議。
そもそもこんなことどうやって思いついたのだろう、というのもとても不思議だなぁ、と思います。
単発のアクティビティなのに(頑張るのは前日水につけるのと当日だけ!)、その後の日々の生活に直結しているのが、なんだかしみじみすごいことだなぁ、と思います。

もう一つ今回味噌づくりの準備をしていて感じたのは、プロセスの最後の部分だけではなく手前側から自分の手でやってみるのは、なんというかじわっと幸せな感覚があるなぁということ。
プロセスの手前側から自分の手でやってみると、何かが作られるまでに色々なストーリーがあること、例えば味噌であれば菌が関与してはじめて完成するということ、に気づきます。大げさかもしれませんが、今まで見えていなかった世界の広がりのようなものを感じられるのかもしれない、そんなことを思ったりします。
忙しない日々の中で効率を追求することでともすると断絶する感覚になってしまうときもある世界との関係性、そんな繋がりをゆるく結びなおし、繋がっていたことを思い出させてくれる、そんな機会にもなるのかもしれません。

さて、味噌が一旦完成するのは半年後。
美味しくできるといいなぁ。我が家や各家庭の菌たち、頑張れ!