先日、振り返りをしていきたいなと呟いていたのですが、そもそも振り返りの方法論って色々ありそうだなと思い、まずは、本で振り返ってみます。
📚今月読んだ本
①美味しいコーヒーって何だ?
②センス・オブ・ワンダー
③頁をめくる音で息をする
④珈琲の世界史
⑤言葉を失ったあとで
⑥震災と行方不明
⑦質的社会調査の方法
⑧研究者の子育て
※読み切った本のみを並べているので、読みかけ、パラパラ読んだ本、再読のために一部を読んだものは含んでいない。
📝雑感
全体のジャンルをざっくり分けると、コーヒー、本、心理学、社会学、研究関係といったような感じだろうか。
こうして、1ヶ月の興味を本で振り返るのは、とてもいいかもしれないとこの時点で思う。なんとなく、興味のある分野はいつも一定あるけれど、最近、心理学系は全く読んでいなかったので、なぜ、今月、これが気になったのか、興味深い。
①美味しいコーヒーって何だ? / オオヤミノル
今月は、コーヒーをもうちょっと歴史から、あるいは先人から学ぼうと、感覚的に知っていたコーヒーという存在を深めようと思った。
最近、深煎りコーヒーにハマっているから、深煎りといえばネルドリップだなということで、ずっと存在が気になっていたオオヤさんの本を読んでみた。たまたま、年末にdenim hostel floatで見つけて気になったので借りたのがきっかけだった。
本の内容はもちろん、いろんな流派の話が書かれていておもしろかったのだけれど、この本を読んだ話をいつものコーヒー屋さんの店長に話すと、「オオヤさん、和歌山に店出したよ、行ってみて。」とまさか、和歌山にお店があるなんて、偶然のような、必然のような、奇跡的なつながりに驚いた。
📚:https://magazineworld.jp/books/paper/2540/
☕️:
②センス・オブ・ワンダー / レイチェル・カーソン
お散歩がてら、森に行くようになってから、ますます、自然に興味を持った。積読していたこの一冊は必読だろうと思い、お風呂に入りながらさくっと読んだ。
なぜ『沈黙の春』と共に、この本が称賛されたのかについて、正直、今の時代に読むと新鮮さはないが、1996年に出版されていることに注目したい。
個人的な変化として、この本を読んでから、自然について問いを持つことが増えた。「木って何者なんだろう」「枯れるということは、死ではないのかもしれない」など、今までは、見過ごしていた、当たり前だと受け入れていたことが、実は、まだ解明されていない事柄もたくさんあるということが分かった。
そして、何よりも、スマホレス生活のきっかけになったといっても、過言ではない。ディスプレイを通して見る情報よりも、花や木々そのものに触れていたいと思った。
③頁をめくる音で息をする / 藤井基二
こちらは、よく行く本屋さん、弐拾dBの店主の初の著書。ちょっと疲れたなという日に一気読みした。気分が少し暗い日の方が本はよく進む。
まさか、本の中に、わたしが誕生日にお店を訪れた日のエピソードが載っていて、泣くほど嬉しかった。
弱る日も雨の日も、淡々と日々を見つめる藤井さんの文章に何度か涙がこぼれそうになった。
📚:https://20db.stores.jp/items/61869c960548e03fb98a95ac
🕊:https://twitter.com/1924DADA
④珈琲の世界史
解説系はじっくりメモしながら読みたいので、なかなか進まずにいたのだけれど、スマホレスの効能で、電車の移動時間に一気に読むことができた。
「カフェー」と「カフェ」の違いや、情報でコーヒーはおいしくなる話、スタバとピーツコーヒーの関係など、総合的なコーヒーの歴史が中世から現代のサードウェーブに至るまで分かりやすく網羅されていた。
これを読んでからというもの、日々のコーヒーがおいしくなったことは間違いなく、さらに、お店を訪れる時にも、そこに歴史が伴って、1杯のコーヒーがとても楽しい時間になった。カッピングなど、コーヒーの味そのものの飲み比べは何度かしたことがあり、豆の違いについては学んだことがあったけど、歴史をしっかり学んだことはなかったので、とてもいい時間になった。
定期的に読み返したい一冊。
📚:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210931
⑤言葉を失ったあとで / 信田さよ子・上間陽子
こちらは、Twitterで見かけていて、何となく気になっていた一冊。信田さんの本は、何冊か読んだことがあり、過去に何度も救われたことがある。
とはいえ、この一年くらいは、心理学領域から離れていたので、ふとこれを手にした自分に驚きもあった。たまたま本屋で見つけたということもあるのだけれど、なんとなく、家族のしんどさが解消されていない、というか、解消されたと思い込みたかったけど、これは一生ものなのかもしれないと思い、手にとった。
過去のことを鮮明に思い出してしまい辛かったし、夜中に涙をこぼしながら読んでしまったけれど、今、このタイミングで読んで良かったと思った。なかったことにせず、でも、悲観的になりすぎず、必要なタイミングでは、辛かったことを辛かったままに思い出していい、そう思えた。
本に関して、印象的だったエピソードは、男性がカウンセリングに来る時は、女性に比べて、抽象的な言葉しか出てこないというものだった。わたしの父や弟は、日常を語る語彙力がめっぽう少ないと思っていたけれど、もしかすると、これは割と多くの人に当てはまるのかもしれない。
📚:https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480843227/
⑥震災と行方不明―曖昧な喪失と受容の物語 / 金菱清(ゼミナール) 東北学院大学震災の記録プロジェクト
こちらは、積読していた一冊。副題の曖昧な喪失と受容という言葉に惹かれるように、またページを開いた。
阪神大震災の話がニュースで流れていたことをきっかけに、この本の存在を思い出して読んでみたのだけれど、これまで知らなかった震災の様子が見てとれた。ただ、わたしが読みながら考えたのは、現代、お葬式などが縮小していくなかで、迷子になっている、喪失感というのはあらゆるところで起きているのかもしれないなと思った。
昨年、はとこを自死で亡くしたことから、時折、死にまつわる本を読んでいる。喪失という感覚があまりないことが不思議だったけれど、もしかすると、お葬式まで済ませていたとしても、喪失感が曖昧になっていることは、芸能人の死などにも言えることなのではないだろうかと思った。死が辛いことはもちろん、喪失が曖昧であることについて、考えさせられた。死を遠くすればするほど、曖昧な喪失が増えていくのではないかと思った。
📚:https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b505370.html
⑦質的社会調査の方法 / 岸政彦・石岡丈昇・丸山里美
卒論執筆、その後の院進に向けて、仕事と同じくらい考えているのが、研究について。そもそも、社会調査とは何か、どうやって進めればいいのか、あまり分からなかったけれど、たまたま手にとったこの本がとても分かりやすく解説してくれている。
岸政彦さんの本がとても好きなのだけど、この本の存在は知らず、たまたま本屋で手に取り、うーんと棚に戻そうとした時、岸さんの名前が見えて、即買いした一冊(笑)これは運命の出会いだったと言ってもいいのではないだろうか。
文体も読みやすく、章立ても適切で、大学など関係なく、個人的な興味として、調査をしてみたい人も参考になる。
📚:http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641150379
⑧研究者の子育て / 日本の研究者出版
これは、待ってました、こういうのが読みたかったと盛大な拍手を送りたい本だった。わたしは、経営と研究、二足の草鞋をこれから履いて生きていくつもりだけれど、前例があまりなく、特に、日本人、そして女性に絞ると、本当に数が少ない。
どうやってやりくりしていけばいいんだろうと模索していたところ、さおりさんという方のツイートをきっかけに、この本の存在を知った。
研究者でありながら子育てをするノウハウは、もちろん、人それぞれ、なかなか体系的にまとめられるものではないので、すぐに参考にできるものではないが、全体を通して、「なんとかなりそう」感を得られた。
個人的には、この感覚こそが大事だと思っている。これとこれとこれをやってと並べられると、全部クリアできそうにないから弱腰になってしまうということが起きるけれど、皆さんの悪戦苦闘が、手探りな日々が具体的な事例で紹介されていて、とてもおもしろく読むことができた。
これで、研究者への道を進みたいという気持ちにゆらぎがなくなった。
📚:https://www.amazon.co.jp/dp/B08P3C6GCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_N8N1N7AHEK2JQRHXKR81
✍️️️️️️️️️️️️️️️️編集後記
これを書くまでは、あっという間に過ぎた1ヶ月だったなと思っていたけれど、書き出して見ると、とても濃い日々を過ごしていた。思考のアップデートも感じられたし、今の自分が何に興味があって、悩んでいるのか、考えているのかということも垣間見られた。
来月は、どんな振り返りにするのか、はたまた本で振り返るが習慣化されるのかは未知数だけれど、こうして振り返ると日々が濃くなり、自分って意外と頑張って生きてるなと思える。