先日、佐々木俊尚さんの新刊『読む力    最新スキル大全』を読み終えました。

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僕が本書で特に刺さったのは、以下の「散漫力」のお話です。

そして、この散漫力を活かした読書法についても、本書では語られていました。

それがタイトルにもある通り「ミニマリスト読書」というものです。

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これは、「どんな場所でも暮らせるし、どんな場所でもくつろげる」というミニマリストのスピリットを読書にも活かしてみようというものです。

佐々木さんは、これからの読書は「ここでなければ本が読めない」「この時間じゃないと本が読めない」という呪縛から自分を解き放ち、いつでもどこでも本を読めるように自分を改造していくことが必要だと説きます。

読書の本質は「文字と文章に自分が向き合うこと」であって、それ以外のことは全部、余計な夾雑物である、と。

これはとっても同意です。

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どうしても僕らは、外形的なスタイルばかりに終始してしまいがち。

具体的には、綺麗なお家、快適なオフィス、お気に入りのカフェ、今だったらワーケーション先なんかもそうかもしれません。

現にコロナ以降、「おうち時間」や「リモートワーク環境」を整えるために、多大な設備投資が各家庭において行われたことがそれを顕著に物語っています。

でも、それらはあくまで手段に過ぎません。

本当に大事なのことは、佐々木さんが書かれているように「文字と文章にちゃんと向き合うこと」ができているか。

でも僕らは、世間で良しとされている「スタイルの実現」のばかりに目を奪われて、その大事な部分を見落としてしまう。

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このスタイルばかり追ってしまうバカバカしさは、たとえば今、神保町などに行って70年代〜80年代の雑誌を見つけてきて、それらをパラパラとめくってみればすぐに理解できるはずです。

現代を生きる僕らが、そこに表現されているスタイルを再現したいとは決して思わないでしょう。

しかし、それが2020年代に出版された雑誌やInstagramの世界観だったら再現したいと欲してしまう。

70年代〜80年代のひとたちもきっと全く同じ感情を抱いて、当時の理想とされるスタイルの完成を必死で目指していたはずなのです。

しかも現代は、そのスタイルをSNSでみせびらかすこともできてしまい、安易に承認欲求まで満たせてしまう。

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でも、本当に大切なことは、自らの中に問いを持ち、その問いの探求のために最適な心身の状態を保ち続けているかどうか。

スタイルは、あくまで補助的な役割に過ぎません。

スタイルの実現に必要なお金を稼ぐために、毎日好きでもない仕事に明け暮れ、本来であれば読書にあてられたはずの時間を浪費するのは、本末転倒です。

読書スタイルにとらわれず、どうすればこんな時代の中でも読書時間を捻出することができるのか。

そう問い続ければ、「散漫力を活かす」という、一見すると読書とは一番相性が悪そうな答えが見つかるはず。

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このように読書に限らず、企業にとって都合の良いCMに騙されず、自分が欲している状態に辿り着くためにはどうすればいいのかを、しっかりと自分の頭で考えていきたい。

大抵の場合は、世間とは反対の方向に進むことがその答えとして導かれるはずです。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。