「これからの地方は、人口が減ってしまい、人が住めなくなるエリアが続出していく」という話は、近年広く一般的に語られるようになりました。
いわゆる、2017年頃に流行した講談社現代新書から出ている『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 』の本に出てきたような話です。
僕も当時、地方創生文脈のお仕事を多く手掛けていたので、真っ先に読んだ本でしたが、当時はどこかSFの世界というか、まさかそんな未来が訪れるなんて、と僕も半信半疑でその内容を捉えていました。
でも、過去10年近く日本のローカルを行ったり来たりしながら、日本各地を比較しながら見ていると、あの本の中で描かれていた話がドンドン現実味を帯びてきて、最近は本当に強い確信に変わってきています。
特に、ここ数年は本当に一気にその変化が激しくなってきているなあと思います。
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商業施設であるスーパーマーケットやモールはもちろんのこと、インフラさえままならない可能性が高いという話を地方で本当にたくさん見聞きします。
ここから先は、団塊の世代の人々がこの世を去る人が増えていくことを考えると、本当に一気にシュリンクしていくフェーズに入っていくんだろうなあと思います。
これは喩えるなら、遠くに見えていた津波は、最初はなんだかゆっくりに見えていたけれど、近くに来てみたら、全速力で走って逃げても追いつかれてしまうぐらいに、めちゃくちゃスピードが早かったというような感覚にも近いのかなあと。
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これからは、過疎エリアが直面していた課題が地方都市でもドンドン現実味を帯びていく。
ゆえに、各地域の都市計画はちゃんと見ておいたほうがいいと思います。
移住する際に、ちゃんとハザードマップを見るひとはかなり増えてきて一般的になったけれど、意外と都市計画を見ないひとは多い。
でも、コンパクトシティ構想ではないけれど、これから行政がどのようなエリアに人口を集中させていこうとしているのかは、しっかりと確認しておいた方がいい。
もうハッキリと、行政が救わないと決めているエリアは、明確に存在している。
もちろん文字に書かれていなくても、修繕改築の補助金の出し方なんかでも、行政側の意図が理解できたりもします。僕の地元、北海道函館市でも補助金を出すエリアは、明確に区切られていたりもする。
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で、今このタイミングでこれを書こうと思ったきっかけというのは、東京という街自体も一気に縮小フェーズに入ってきたなあと思うからです。
東京は一見すると、今も毎日のように新しいビルが乱立していて、いつまでも人口過密都市であることは変わらないのではないかと思われがち。特に住んでいない人にはそう見えるはずなのです。
実際、今日から開業の森ビルが開発した「麻布台ヒルズ」なんかもまさにそのひとつのように思える。
でも実際には、麻布台ヒルズのようにドンドン中心地の開発ばかりに集中するようになっているわけですよね。
逆に言うと、中心部から離れれば離れるほど、完全に手つかずの状態です。もはや誰も何も手掛けようとはしない。
一軒家が集中する世田谷区などでも、空き家はかなり増加しているようです。
このように、東京の街の全体像が一気に縮小している印象を、僕は東京に戻ってくるたびに強く受けます。
そして、そのたびに格差が明確に広がり、西高東低と言われますが、東京の都市自体もここからのシュリンクのスピードはきっとえげつないだろうなと。
だから、主要都市から比較的近い郊外みたいな場所は、今以上にますます需要がなくなってくる可能性も非常に高い。
交通の便が良く、比較的アクセスもしやすくて、子育てもしやすいからという理由で、郊外を選ぶひとも最近では多いですが、きっとそれはあまり賢い選択ではないのだろうなあと。
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この点、東京23区、山手線の内側という表現をよくしますが、その山手線の内側であっても、これからは駅によっては滅びていくということなんだろうなあと。
これは確かに、今の東京の規模感からすると、まったく想像がつかないかと思います。
どうしても僕らは、数十年前から今の状態の東京を見てしまっているから「まさかそんなことがあるかよ」思ってしまいますが、5〜10年後は一気に廃墟と化している可能性は非常に高い。
少なくとも、今とはまったく異なる町並みになっていくはずです。
それぐらい、この国において団塊の世代の存在というのは大きいんだなあと日本全国を巡っていると、本当に痛いほど強く感じます。
これは喩えるなら、強豪校の強い理由は全員3年生の生徒のおかげであって、2年生以下だとチームさえ組めないみたいな状態なんだろうなあと。まさに団塊の世代が、この世から卒業する日が間近に迫ってきている。
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で、今から主要都市の一等地を求めること自体は、若い世代には到底不可能なことだと思うので、若いひとはなるべく各地方都市の必ず残るであろう一等地に住んでおいたほうが良いのだと思います。
特に、インバウンドの需要がありそうなところは、今はかなり狙い目だと思います。
人口は明らかに減ったとしても、観光客が循環してくれることによって、経済が活性化していく可能性はこれからかなり高いから。
一方で、過疎エリアが明確に見捨てられて、さらに地方都市の一等地に集中してきて、誰の目にもその現実が明らかになったときには、もはや地方都市の一等地はそのタイミングでは奪い合いという状況になるはず。
つまり逆に言うと、地方都市の一等地は、むしろ今よりもさらに地価が上がる可能性もある気がしています。周辺都市から人が、ワラワラと集まってくるわけですから。
だから、これまでとはまったく異なる文脈で盛り上がる可能性も意外と高い。
福岡とかは、九州において明らかにそれを完全に狙っている印象です。人口が変化し、都市に集中するとは、つまりそういうことなんだろうなあと。
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こんなにも、自然豊かで暮らしやすい場所が見捨てられるわけがない!と思う方もいるかもしれないですが、それはバブル期のリゾートマンション開発みたいなものと大して変わらない。
どれだけ環境がいいところであっても、人間は一人では生きられません。
「行政が見捨てたら、自分たちで自治するんだ!」というようなことを語る言説は、最近よく耳にしますが、それはあまり信用しないほうが良いと思っています。
そのようなノウハウなんて、たぶん彼らにはないですから。
相当な開拓者精神がある、本当に物好きな人間だけが住めるようなエリアになっていくはずです。
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最後に、移住っていうのは日本や世界の未来をどのように眺めているのか、その認識表明でもあったりするなあと最近はよく思います。
「ここに住んでいるということは、そういう未来予測をしているんですね」というお互いの暗黙の認識にもつながっていく。
つまり、目の前の相手の未来志向がどのように描かれているのかが、ハッキリとするわけです。
現代は、もう昔みたいに地縁に縛られるような時代ではなくなり、人もかなり流動的になっていくことは間違いないので、そうなると当然、地域ごとに集まる人も大きく明確に変わってくるので、まちづくりに対しての熱意や、熱量なんかも全く異なってくることは間違いない。
そうすると、地域は、最初からその土地に暮らしていたひとたちの共同体というよりも、その理念に共感する人々が集まってくる会社みたいな存在に近く、なることは間違いない。
だとすれば、そういった意味でも地域の変化はこれからより一層、生き残る場所とそうではない場所は、激しくなると思います。
過去10年も相当な変化だったけれども、ここからの地方都市の勝ち負けの様子はたぶん過去10年とは比べものにならないだろうなあと思っています。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。
2023/11/24 15:08