先日、このブログで「オーディオブックラボ(仮)」という取り組みを始めたことを書きました。
参照:オーディオブック制作を始めてみて、いま強く思うこと。
改めて軽く説明しておくと、学生時代から20年ほどオーディオブックを聴き続けてきた僕が、AIと一緒に、ひとりでオーディオブックをつくり始めた、というお話です。
「この本も、オーディオブックになったらいいのに」
そうやって何度も思ってきたものを、ほんとうに今は自分でカンタンにつくれるようになった。
これは、20年分の「聴きたい」に、ようやく手段が追いついてきた感覚なんですよね。
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ちなみに冒頭から少し余談ですが、いま、その20年分の真の欲求不満が爆発している感覚があります。
AIの基礎を耳だけで学べる教材をつくっているかと思えば、青空文庫の名作を朗読にしてみたり、自分で書いた小説に登場人物ごとの声をあててみたり、やりたいことが無限に溢れてくる。
しかも、名作朗読ひとつとっても、『注文の多い料理店』をつくったら、次は『羅生門』も聴いてみたいし、そういえば『山月記』も聴きたかったし、『なめとこ山の熊』もいいよなあ、と、ひとつの作品をつくるたびに、つくりたいものが芋づる式に増えていく。
人間、20年も「誰かつくってくれないかな…」と思いながら聴いていると、いざ自分でつくれるようになったときに、こんなことになってしまうんだなと、我ながら驚いています。
あのとき、やりたかったけれど、できなかったこと、そんな人生の伏線回収が、AIで、しかもこんな形で起きるとは思ってもみませんでした。
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で、本題に戻ると、一昨日の朝、そんなふうに試しにつくってきた動画を、YouTubeで実際に公開してみました。
とはいえ、どこにも告知はしていません。チャンネル名にも、まだ「(仮)」がついたままです。
それなのに、気づけば15人の方が既にチャンネル登録をしてくれていて、驚きました。一体どこから見つけてくれたんだろうかと。
なかでも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』は、公開から24時間経過しないタイミングで300回以上も再生されていました。すでに、僕のVoicyの1日分の再生回数を超えているということになります。
僕のことを知っているひとに届くのが、Voicyやこのサロン内のブログだとすれば、YouTubeは、僕のことをまったく知らないひとにも、作品のほうから勝手に自動的に届いていく場所なんだなあと改めて強く実感します。
きっと、今後はこんなふうに『注文の多い料理店』を聴きにきたひとが「ほかにはどんな作品があるんだろう?」とチャンネル内をのぞいてくれて、そのうち次第に、このブログやVoicyの存在を知るようになるかもしれない。
そんな順番で、いつかWasei Salonにたどり着いてくれるひとがいたら、ほんとうに嬉しいなあと思っています。
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そして、さらに嬉しかったのは、Wasei SalonメンバーのRyotaroさんが、この『注文の多い料理店』をさっそく聴いてくれて、以下のような感想をくれたことです。
「学校で使われているICT教材の読み上げよりも、全然いいです。先生方に使ってもらえないかな」と。
この視点は、自分にはなかったものなので、ほんとうにありがたかった。
そして、そのまま「では教科書の作品で」と、新美南吉の『ごんぎつね』と、宮沢賢治の『やまなし』をリクエストしてくれました。
これはもう、すぐにつくるしかないと思い、
AIと一緒に台本をつくって、声を選び、場面ごとの絵を描いてもらって、午前中のうちに2本とも公開することができました。
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ちなみに、『やまなし』をつくっていて、どうしても気になったのが、冒頭の「一、五月」でした。
この「いち」のイントネーションが、どうしても少し気持ち悪かったんですよね。
そこで、このひと言だけ何パターンもバリエーションをつくってもらって、聴き比べてみました。
結局、文字にしたときに「いち。ごがつ」と、はっきりと区切ってイレブンラボに読ませるのが、いちばんしっくりきました。
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AIの場合、その日のうちに二作品もつくれてしまうし、冒頭のこの「いち」ひとつに、何度でも付き合ってもらえるわけです。
僕はむしろ、こっちのほうにAIと一緒につくるおもしろさを感じてしまいます。現実のナレーターさんだと、ここがかなりむずかしいと思います。あとから気づいても収録し直すこともむずかしい。
しかも、こうやって試してわかったことを、そのまま制作の「スキル」として、ドンドン溜めていけるんですよね。
次の作品で同じような箇所が出てきたときには、今回たどり着いた読み方から試すことができる。
Ryotaroさんが「では教科書の作品で」と言ってくれたから、僕は『やまなし』の「いち」の読み方を考えることになったし、そこでわかったことは、次に誰かがリクエストしてくれた作品にも必ず生きてくる。
こういうところが、まさにラボというか、みなさんと一緒に朗読のつくり方を共に育てているような感覚があります。
一方で、同じくリクエストをとある作品は、まだ著作権が残っているので、今回は見送りました。
こういう作品の権利まわりのリーガルチェックなんかも、AIに手伝ってもらいながら一作ずつ確認できるのもまた素晴らしいところ。
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で、このように今回の反応を見ていて、「大人の名作朗読」は、オーディオブックラボの柱のひとつとして、これからも必ず育てていきたいと思いました。
いまは芥川龍之介の『羅生門』をつくっていますし、このあとも『山月記』や『杜子春』と、僕自身が好きな作品が、まだまだ控えています。
ただ、せっかくなら、僕ひとりで次の作品を決めてしまうのは、ちょっともったいない。
今回の『ごんぎつね』や『やまなし』みたいに、サロンメンバーのみなさんや、Voicyのリスナーさんからも、「この作品を耳で聴いてみたい」「あの場面をYouTubeで、紙芝居形式で見てみたい」という声をいただけたらほんとうに嬉しいです。
そうすれば、僕自身も、まだちゃんと触れていなかった普及の名作にも出会うことができるわけですから。
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あと、最後にもう少しだけ。さっきの『やまなし』の「いち」の話ともつながるのですが、僕がAIと一緒に何かをつくりながら、最近よく思うことがあります。
これだけAIを使っていても、世の中で「AIを使えば、こんなに簡単にコンテンツを量産できますよ」と言われているのを見ると、僕自身、かなり強い違和感を覚えるんですよね。
ラクに稼ぐために、中身の薄いものを大量にばらまく、そのためなら、子どもたちがドパガキになるものを、いくらつくっても構わない。そんな魂胆が透けて見えるときには、やっぱり心底、虫唾が走ります。
だから、AIに対して嫌悪感を抱くひとの気持ちも、僕にもとてもよくわかる。
どちらかと言えば、僕も安易なAI活用には否定的な立場です。
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でも、だからこそ、「アンチAI」のポジションだけは取らないほうがいいと、僕は思っています。
そこに居続けてしまうと、2010年代に「スマホなんていらない」と言い続けていたガラケーおじさんと同じになってしまう。
ここはちゃんと「裏の裏」まで取りに行きたいんですよね。なんなら、そうやって裏の裏を探るのが自分の責務だと思っているフシさえあります。
僕が嫌だと感じたのは、その道具を手にしたひとの魂胆のほう。そこをちゃんと丁寧に見極めて、腑分けをし、自分はそれに染まらないようにしたい。
そのうえで、自分がほんとうに見てみたいと思うものに、同じ道具を使って、実際につくってみればいい。
僕の場合は、それがたまたま、20年間聴き続けてきた「オーディオブック」というジャンルでした。
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誰かが「この作品を聴いてみたい」と言ってくれたら、その日のうちに朗読をつくってこうやって贈り物をするように、贈与することができる。
しかも、長年聴いてきた自分の耳が「この『いち』は、なんか気持ち悪い」と感じて、そこにいくらでも手間をかけられるわけです。
僕は、こういうAIの使い方だったら、次の世代にも喜んで見せていきたいなと思うんです。
この時代に生まれた以上、正直・親切・愉快に、次の時代で一般化することが間違いない最先端の道具を「人と人とのつながりを耕すために」、ただしく使っていきたい。
そして「君たちはどう生きるか」と次世代に言葉で問うだけで終わらせずに、その道具を使って何をつくっていきたいのかを、自分の背中でちゃんとみせていきたい。
それは、いまの30〜40代の僕らが引き受けられる、大事な役目のひとつだと思っています。
僕にとって「オーディオブックラボ」は、それを手探りで自分なりに実践・実験してみる場所でもあります。
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もし、みなさんにも、僕のオーディオブックのように、長年「こういうものがあったらいいのに…」と思い続けているものがあれば、そこにAIという新しい道具をあてがって実際に実験してみて欲しいです。
案外、自分でも驚くぐらい、つくりたいものが突如、洪水のように溢れてくるかもしれません。
そして最後に改めてお願いですが、僕は、みなさんが子どものころに読んで、大人になったいま、もう一度耳で聴いてみたい作品を知りたいです。
今回、オーディオブックラボで朗読するのは、著作権の保護期間が終わっている作品のみなのですが、そのあたりはこちら確認するので、リクエストの段階で細かく調べてもらわなくても大丈夫です。
国語の教科書で読んだときには、よくわからなかったのに、なぜかいまもひとつの場面だけを鮮明に覚えている、そんな作品があったら、ぜひこのブログのコメント欄やVoicyのコメント欄で教えてください。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。
2026/11/05 15:29
オーディオブックラボの「大人のための名作朗読」のリクエスト、募集します。
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