旅の魅力とは一般的に、有名な観光地に訪れたりその土地のグルメを味わったりすることが主な魅力かと思います。

一方で近年は、少しずつではありましたが着実に「現地に暮らすひとに会いにいく旅」も人気になってきました。

僕自身も公私ともに、これまで日本全国さまざまな土地を訪れてきましたが、おもしろい旅だったなあと思うのは、その土地でその土地らしいひとに出会えた旅。

そんな旅先での出会いは、日常での出会いとはまったく異なり、そのあともずっと長いあいだ記憶に残り、その後の人生の糧にもなっています。

ただし、このコロナ禍のご時世では、なかなかひとに直接会いにいくことは難しいかと思います。

そこで、今日はタイトルにもあるように「死者に会いにいく旅」をご提案できたらなあと。

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ここで言う「死者」とは、既にこの世から去ったその土地の偉人たちのことを指しています。

たしかに、いま生きている人に直接会いにいくことは難しい。

しかし、そこを逆手に取って、死者にだったら直接会いにいくことができます。

その土地に根ざした人間であれば、必ずいまもその土地にしっかりと生きているのです。

これはとっても不思議なことですが、本当です。

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たとえば僕は、先日まで島根・鳥取県に1ヶ月程度滞在していて、

そのあいだに、出雲ではオオクニヌシに、松江では小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に、そして、境港では水木しげるに会いに行ってきました。

もちろん彼らとは直接、会話をすることはできません。死人に口なし、です。

しかし、あの土地に残る彼らの足跡がものすごく雄弁に僕に語ってくれるのです。

当然、記念館の類いはどこもガラガラで、今こそじっくりと彼らと向き合うことができる。

また、その土地の図書館には「郷土資料」のコーナーが必ずあり、その土地の偉人の著作や関連図書がズラッと並んでいます。

それらを通じて、思う存分、心のゆくまで過去の偉人たちといつまでも対話し続けることができる。

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これが、こんなご時世に、ひとりで静かに旅をする意味だと僕は思っています。

ふたり以上で訪れても、決して彼らと出会うことはできません。

時間を忘れてひとりで真剣に向き合い、死者と直接つながることで、はじめて時空を越えられる。

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平時は、どうしても現代に生きているおもしろいひとの方に惹きつけられてしまうからこそ、まさに100年に1度しか訪れないチャンスと言えるのではないでしょうか。

ひとり、死者に会いにいく旅、本当にオススメです。

いつもこのブログを読んでくださっている方々にとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。

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