僕は地方に行く機会が多く、その町の商店街やショッピングモールを散歩するのが大好きです。

そうすると、商店街の変遷とインターネットの変遷ってそっくりだなあと思わされます。

具体的には、まず寄せ集めの資材で、その土地の暮らしに根付いた商売を始めるひとたちがポツポツと現れ始める。このときに儲けようとする意識は、ほぼゼロです。

そこに個人の商店が増えてくれば、次第にひとも集まってくるため、そこに小さな商圏ができあがってきます。

日本の戦後闇市なんかは、ものすごくわかりやすい例かと思います。闇市のあとが、商店街化しているエリアも多いですよね。

その後、個性豊かなお店が立ち並ぶ商店街が活況を呈して、そのエリアが儲かるということがわかってくる。すると、その商圏自体に目をつけて、大手の資本がイオンモールのような大きなショッピングモールをつくるようになります。

そして、そのエリア一帯がショッピングモール一色となる。

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インターネットにおいても、この流れは完全に同様だと思います。

たとえば、ブログ文化なんかは非常にわかりやすい。まずはじめに、寄せ集めの技術を用いてテキストサイトやブログを始めるひとたちが現れてくる。

そこで、ある程度盛り上がりをみせてくると、多くのブログサービスが現れてきて、PV数に応じた広告モデルが誕生してくる。

最終的には、非常にわかりやすいUIやUXによって多くの書き手を集めて、読者から直接課金をすることができるようになったnoteのようなプラットフォームが現れて、「ブログの商店街文化」に終止符が打たれたことは間違いありません。

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この変遷自体が良い悪いなどと議論したいわけではなく、これが文化における栄枯盛衰の流れなのだろうなあと思うのです。

そして今、「音声」においても全く同じようなことが起き始めているように思います。

何か伝えたいことがあるひとたちが、寄せ集めの技術を用いて、それぞれの独自色を強めたPodcast番組などをつくってきたのが、過去15年間ほど。

テクノロジーの発展などにより、次第にそこに商圏が誕生しつつあり、いま音声業界が徐々に盛り上がりはじめています。

VoicyやSpotifyのような大きなプラットフォームも誕生しつつある。

ここからどのように変化をしていくのか、本当におもしろいフェーズに入ってきたように感じます。

音声業界がここからさらなる盛り上がりを見せることは間違いないと思いつつ、いつどのタイミングでプラットフォームが席巻し、「音声の商店街文化」が廃れていくのか。

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余談ですが、「ほぼ日」のすごさは、一貫してこのプラットフォーム文化に参入することをずっと拒み続けてきたことだと思います。

「ほぼ日の學校」でさえ、You Tubeのような動画プラットフォームは使わずに、自分たちの独自システムで動画配信を行っています。

もちろんリアル店舗においても、決してショッピングモール的なところには出店しようとはしません。ほぼ日をベンチマークにしたであろう生活雑貨を扱うお店(ブランド)が後発でたくさん出てきては、すべてショッピングモールの論理に飲み込まれていったのにも関わらず、です。

これは本当にすごいことだと思います。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんが、今日のお話がご自身の活動において何かしらの参考となったら幸いです。