先日、星野リゾートの代表・星野佳路さんにインタビューさせてもらいました。そのときに聞かせていただいて、非常に印象に残っているお話があります。

星野さんは、スキーが大好きで「年間60日間」を滑走日数として設定し、その数値目標を毎年死守しているそうです。

その理由は「人生最後の瞬間に何を後悔するかと考えたときに、仕事ではなく、もっとスキーを滑っておけばよかったと思うはずだから」だと。

そして、なるべく若いうちのほうが、体力的にもスキーを満喫できると思ったからこそ、その日数を今から徹底的にこだわっているというお話を聞かせてくださって、なんだかものすごくハッとさせられました。

詳しくはぜひ、インタビューの本編を聴いてみてください。

‎オーディオブックカフェ:ゲスト・星野リゾート代表 星野佳路さんが来店!

ーーー

このお話を聞かせてもらったとき、僕は直感的に「とっても信頼できる方だなあ」と思いました。

一見すると、仕事よりも自分の趣味を優先していて、従来の価値観だったら否定されてしまいそうなお話です。

しかし、なぜか僕はそんな星野さんの姿をみて、素直に信頼できる方だなと感じた。

今日はその理由について少し考えてみたいと思います。

ーーー

思うに、これまでの時代は「組織で定めた目標に向かって、自己犠牲ができるひと」が尊ばれていた時代でした。

だから、バブル期には「24時間戦えますか」というキャッチコピーが流行り、それがカッコいい姿(生き方)として、CMでもバンバン流れていたのだと思います。

でも一方で、現代においては「嘘のない人生」を送っているひとのほうが信頼できる時代に移り変わってきた。

死ぬ瞬間に後悔することが既にわかっているにも関わらず、そんな自分の感情に嘘をつきながら組織のために働き続けている姿が、もう理想的だとは思えないようになったのだと思います。

むしろ、後悔するであろうことに対して嘘のない人生を送っている姿のほうに惹かれるし、結果的に「このリーダーについていこう」と感じてしまうのだと思います。

ーーー

現代において「人生の嘘」はすぐにバレてしまう。

それはきっと、人生に嘘をつかないように生きるひとたちが世の中に少しずつ増えてきていて、彼らと比べたときに一目瞭然になったからだと思います。

真剣に自己の人生と向き合って、徹底的に考えて抜いた結果、そこで導き出された答えに対し、真摯に向き合う姿が非常に魅力的なのだと思います。

その結果として、世間からどんな批判が飛んでこようとも、他者(他社の経営者など)と違う決断ができるかどうか。

その他人とは違う決断ができてしまうところに、現代の若いひとは強く惹かれるのではないでしょうか。

僕よりも上の世代はわからないけれど、少なくとも僕よりも若い世代は、もう組織を通じてもたらされる富や名声のための自己犠牲を良しとはしない。

それは、戦前と戦後で「お国のために」という理由で自己犠牲する姿が、国民にとって理想的な姿から、一気に転じて絶対に真似してはいけない生き方だという価値観に変わったような話に非常に近いかと思います。

ーーー

もし自分だったら、死ぬ瞬間に後悔しないために一年の60日間を何をするために使うのか。

もちろん、この意思決定をすることで、残りの300日間で他の人間が365日を費やしてやっと実現できている成果をあげなければいけなくなるわけですから、より一層仕事にも真剣に向き合い、その生産性を高める必要も出てくるはずです。

だけれども、毎日休みなくダラダラと仕事をし続けているひとよりも、その2ヶ月を使って嘘のない人生を送っているひとのほうが結果的に、仕事でも趣味でも後悔のない人生をおくることができる。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。

ーーー

5月に開催されるWasei Salonの体験会はこちら。
https://wasei.salon/events/1f49e80368e8