昨夜、こちらのツイートで告知した勉強会が、Wasei Salon内で開催されました。

最近一気にバズワード化してきて玉石混交の議論が至るところで繰り返されていますが、「Web3」の登場によって何が大きく変わるのかと言えば、

けんすうさんのこのツイートにもあるように「金銭的利害関係に巻き込めるようになること」が一番わかりやすく大きな変化なのかなと。


「Web3」という概念の浸透によって、これから世の中において「お金の流れ」が一気に変わってしまう可能性が秘められている。

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そもそも「富の再配分」の機能は、これまでは政府や自治体が一括して担っていた部分でした。それが今後は、コミュニティごとに行うことが可能となっていくかもしれないわけです。

近代の歴史の中で、このような変化は過去に存在しなかった。それゆえに、ここから何が起きるのかは誰にも予測できない状況にあるのだと思います。

日本に特化して言えば、明治以前の江戸時代のように、それぞれの国(藩)ごとの独自の経済圏へと変化していく可能性だってあります。

しかも、その経済圏への参加・不参加を、個人一人ひとりが自分の意思決定で選べるようになるはずなのです。

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僕らは歴史を学ぶなかで「昔の人々は、自分の暮らす場所や仕事を自分の意思で選べなかったんだって。マジ有り得ないよね」と軽々しく語ってしまいますが、

未来の人々から現代の僕らを眺めたときに「昔の人々は、自分の属する経済圏を自分の意思で選べなかったんだって。マジ有り得ないよね」と言われているかもしれない。

そうなると、非常に重要になってくる概念は「どんな人達と一緒に、どんな思想のもとに集いたいのか」ということであって、その「設計思想」や「ビジョン」のようなものが非常に重要になってくるはずです。この点は現代の会社組織と同様。

現代社会は「経済圏」のあり方に関して、国家の方針によって良くも悪くも大きな影響を受けてしまいます。

これからの時代においても、簡単に国家がなくなることはないはずですから、もちろん国家から影響を受け続けることは間違いないとは思いつつ、そのリスクや影響割合は自分自身で調整することができるようにはなるはずなのです。

それは、国営企業や行政職員として働くことから一般企業で働くことになるようになるぐらい、自由度が異なるはずです。

暮らしに喩えると、東京一極集中から「多拠点居住」を選べるようになったことを想像してみてもらえると、少しはわかりやすくなるかもしれません。

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ただ、現在の課題は「Web3」関連のキーワードがすべてバズワード化してしまっているがゆえに、目指したい理想的な世界観やコミュニティの理想的な在り方を語ってしまうと、どうしてもそれがポンジ・スキーム(ネズミ講)のように変形させられてしまうことです。

NFTやDAOの起案者が、目指したい世界観を純粋に語れば語るほど、その思想(将来価値)にタダ乗りするひとたちが現れて、「これには価値がある!」と騒ぎ立てて、それをポンジ・スキームのように活用しようとするズル賢い資産家たちが群がってしまうというジレンマ。

そこで価値がドンドン釣り上げられていくと、最終的には一番最後にやってきた社会的立場が弱いひとたちがババ(負債)を掴まされてしまうことになる。彼らの負担が最初から見込まれているからこそ、ソレを担保に価格上昇していくわけですからね。これは人類が何度も何度も何度も繰り返してきた詐欺システムそのものです。

その負債は「学ばない人間の自己責任」として、弱肉強食の世界観で捉えてきたのがアメリカ的な金融システムであり、リーマンショックなんかもそのように引き起こされたものだと思います。そして、これが貧富の差が拡大していく大きな理由のひとつでもある。(このあたりの詳しい背景が知りたい方は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』という映画を観てみてください)

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このジレンマを乗り越えて、あえてそんなズル賢い投資家たちさえも養分として取り込んで、肥大化していこうとすることは可能だとは思いつつも、個人的にはやっぱりそれは諸刃の剣だと思っています。

というか、それをしてしまうと結局これまでの資本主義の仕組みと大して変わらない。

そのスリルやどっちに転ぶのかがわからないということ自体が楽しいと感じるひとたちも一定数いることは理解しているけれど、それで手に入るのは本当に数十億円単位の「お金」だけなのです。

僕は、そうやって手に入れたお金を用いて、他者を差し置いて自分だけが悠々自適に暮らしたいわけではない。

それよりも、自分たちにとって理想的な経済圏とは何かをしっかりと考えを深めながら、コミュニティに参加してくれている方々と対話する中で、自分たちの暮らしが本当の意味で「心身ともに豊かさを獲得するためにはどうすればいいのか」それを小さな実験繰り返しながら、みんなで一緒に過程から共有していきたい。

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そして、そもそもここで思い描いた理想が、自分たちの世代だけで完成するとも思ってません。もっともっと長期的に捉える必要があると思っています。

そして、いつの日かこの経済圏に所属していることで子育てが楽になったという親御さんたちが現れて、このコミュニティの中で育った子供たちが成人し、彼らがその意志を継いでくれたら最高だと思います。

そもそも子育てというのは、コミュニティ単位で行うものですからね。国家によって支配・統率されるものではない。

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さて、Wasei Salon内ではそんな世界観の実現に向けて、これからもWeb3に関連した勉強会を毎月定期的に開催していきたいと思っています。

まずは、このWasei SalonにDAOの要素を組み込んでいくことを第一目標に取り組んでいきます。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんも、もしこのような経済圏のつくり方に興味関心があればぜひ参加してみてもらえると嬉しいです。