昨夜、Wasei Salon内でメンバーそれぞれの「今年の一冊」を語る会がオンラインで開催されました。

参加メンバーひとりひとりが「私にとって今年の一冊だと思う本」を持ち寄って、お互いに語り合うような企画です。

このイベントの中で、とっても驚いたことがあります。

大手出版社から出されたような商業出版の本ではない、インディペンデントのレーベルのような本を紹介してくれた方が複数人いたのです。

これがものすごくおもしろい傾向だなあと思ったので、今日はそこから考えたことを少し書いてみようかなと思います。

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この点、最近強く思うことは、スケールを目指してしまうと、多かれ少なかれ必ず「欺瞞」が混ざってしまうということです。

言っていることと、やっていることがチグハグになってしまう。

「SDGs」や「持続可能」という言葉を大きく掲げてそれを喧伝してみても、一番変えたくないのは自分達の組織や売り上げのほうだということは、すぐに理解できてしまう。

そんな自己欺瞞を、多く読者(消費者)すぐに見抜いてしまうのでしょう。

「内容がおもしろいから、言っていることは正しいから、この商品は役に立つから、これぐらいの矛盾は許されるよね」という許容範囲がドンドン狭くなってきている。

それよりも、小さな規模感でも構わないから、ちゃんと信念を掲げて、それを忠実に再現し、実行していることを評価する風潮が存在しています。

今年は、国内でオリンピックのいざこざもあったので、その勢いがさらに加速した印象です。

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とはいえ、一昔前は「ある程度スケールしていないと信頼できない」や「ニッチすぎて、そもそも継続すらできない」という課題もありました。

だからこそ、本音と建前を上手に使い分けて拡大成長してきたひとたちが持て囃されていたのだと思います。

しかし現代においては、大小さまざまな届け方がありますし、小さな商売であっても人々が信頼して受け入れてくれる土壌もしっかりと醸成されてきた。

僕は、ここにささやかな希望を見出したいと思っています。

なぜなら、実際にそのような手法で丁寧に思いを込めてつくられた本たちが、年間何十冊、何百冊と本を読んでいる読書家の方たちの「今年の一冊」として選ばれるほど、心を打つようになったのだから。

もちろん、書籍に限らず、どんなビジネスにおいても言えることだと思います。

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そして、これは一見すると大変難しいようで、今から誰でも始められることだと思います。

決して選ばれた人間だけができることではありません。

些細な約束を掲げて、淡々とそれを守り続けて、積み重ねていくだけなのですから。

言い換えれば、自分にとって本当に大切にしたい価値観とは何か、そのことに徹底的に向き合って、たとえ小さくても、その世界観を忠実に再現しているひとや会社がちゃんと生き残れるようになってきた証でもある。

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その時に大切なことは、何度でも繰り返しますが、過剰なスケールを求めて自己欺瞞を伴わないこと。

「社員を守るために」とか「家族を守るために」とか、そんな耳障りの良い言葉はいくらでも口にできてしまいますが、それを隠れ蓑にしてしまわないこと。

必要なのは、ほんの少しの勇気と、次の時代に歩み出そうとする小さな一歩。

少しずつだけど、世界は着実に変わりつつあります。2022年は間違いなく、この流れがさらに加速していきそう。

いつもこのブログを読んでくださっている方々にとっても今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。