突然ですが、「神話の構造」ってご存知でしょうか。

古今東西、ありとあらゆる神話を研究したジョーゼフ・キャンベルという方が提唱されたもので、具体的には以下のとおりです。

(1)「セパレーション」(分離・旅立ち)
(2)「イニシエーション」(通過儀礼)
(3)「リターン」(帰還)。

世界中に存在する多くの神話や物語(ストーリー)はほぼこの構造で作られていて、『スター・ウォーズ』も、この構造を参考にして作られたというのは、あまりにも有名な話です。

より詳しく知りたい方は、下記の松岡正剛さんのブログ及びジョーゼフ・キャンベルの書籍をお読みになってみてください。

参照:松岡正剛の千夜千冊

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さて最近、僕の観測範囲で 30〜40代ぐらいの方々が、心から愛している会社から転職したり、心から愛着のある地域から都心部に移住したりするひとが増えてきました。

僕からすると、その組織のことを一番真剣に考えているように見えていて「ずっとその中にいると思っていたのに、なんで!」というタイプのひとほど、組織の外に出ていく現象が起きているのです。

その理由はみなさん様々で、僕はこの一連の現象を最初はかなり寂しく見ていました。

でも、最近よく理解したのは、これってきっと「神話の始まり」をなのだろうなあと。

そう考えてみると、なんだかすべての事例がスッと腑に落ちたのです。

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今は何者でもない少年が、英雄になって最初にいた場所に戻ってくるみたいな物語がまさにいま始まろうとしているのだ、と。

将来このひとが、この組織(地域)を救う英雄になるんだろうなあと素直に信じられるようになったのです。

そう考えると、神話が生まれるための第一ステップは、組織側の送り出す勇気が必要になってくるのかもしれない。

この点、出入りが不可能な組織は、そもそも神話(英雄)を生み出すことさえできません。

もしかしたら、今は組織内でパッとしなくても、送り出せば必ず帰還して、組織に大きな大きな影響を及ぼしてくれる英雄になって帰ってくる可能性があるとしても、そもそも送り出されなければ、その物語は始まらない。

ワンピースのルフィも、ハンターハンターのゴンも、彼らの生まれ育った土地から送り出したのは、マキノさんであり、ミトさんです。

彼女たちが、あの物語の最初の賽(サイ)を振ったのは間違いない。もし、彼女たちが意固地になり、内側に留めおこうとしていたら、ルフィもゴンも、未だにただの村人です。

だとすれば、一番最初に求められるのは、送り出す側の勇気なのかもしれないなあと。

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どれだけ組織や私にとって、彼(彼女)がその支柱だったとしても、そのほうが組織全体、社会全体にとっては必ずメリットがあるはずで、その意志は必ず継がれることになると確信を持てたのなら、スパッと送り出す勇気も必要になってくる。

目の前の小賢しい継続性にとらわれすぎることなく、「広義の継続性」のほうにしっかりと目を向けていきたい。

参照:スタジオジブリが企業として継承できなかったことの何がいけないのだろう? 

そんなことを考える今日このごろです。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても何かしらの参考となったら幸いです。