結論から先に書くと、iPhoneの進化が完全に頭打ちしているからだと思います。

ひとが、世界の刺激に対しておもしろいと感じる要因というのは「現実の解像度 × 私の解像度」によって決定されている。

決して発信機のクオリティだけで決まるわけではなく、受信機のクオリティも同時に求められるわけですよね。

iPhone(スマホ)が発信機だとしたら、人間がその受信機となるのでしょう。

そうなると、世界をより一層おもしろがるためには、iPhoneのような世界を眺める端末(道具)の解像度をあげていくか、自らの解像度をあげていくか、その二通りしかない。

2022年現在のように、テクノロジーが完全に頭打ちしているときには、自己の解像度を高めたほうが、世界をより面白く感じられることは間違いない。

ゆえに現代は、リベラル・アーツのほうに注目が集まっているのだと思います。

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たとえば、ビジネス界隈でリベラル・アーツの立役者と言えば、山口周さんがその筆頭です。

山口さんの代表作でもある『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書) 』は、2017年に出版されているそうです。

そして、iPhoneXが発売されたのも、2017年。

昨夜、新たに発表されたiPhone14シリーズも、このiPhoneXのマイナーアップデートに過ぎないことを考えると、これは決して偶然ではないと思います。

この5年間、テクノロジー側が完全に頭打ちしている動かぬ証拠でもある。

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「だったら、私のほうの解像度や見立て力を高めたほうが、世界をより一層楽しむことができて、それには教養がいるよね」という流れなのでしょう。

つまり、端末(道具)が世界を「すごい!」と思わせてくれないのであれば、私のほうの解像度を高めるしか、もう世界をおもしろがるための成長の余白がないのが実情なのだと思います。

もちろん、このコロナ渦による「学び直しブーム」みたいなものも大きな原因のひとつだと思いますが、これも家から外に出られず外部的な刺激を得られないなら、内発的な刺激を高めようとするものといえるでしょう。

これはリベラル・アーツのトレンドだけではなく、もっと大衆文化寄りのトレンドで言えば「推し活」なんかもまったく同じ理由で流行っているように感じます。

こちらは、自分の「推し」のアイドルやタレントを明確に定めて、その生い立ちから現代に至るまでのコンテキストを共有して、そのハイコンテキストを楽しもう!という流れです。

自らの解像度のほうを高めて世界を面白がる方法という意味では、全く同様の背景から生まれてきているはずです。

参照:親近感というハイコンテクストの可能性。

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しかし、このリベラル・アーツや推し活が有利な流れも、そう長くは続かないと思います。

道具を高めるか、人間を高めるかは、いつの時代も振り子のようになっている。江戸時代(人間)のあとには明治維新(道具)がやってきたように。

きっとメタバース業界におけるiPhoneのようなブレイクスルーが誕生すれば、今度はまたそちら側に大きく振り子がふれるのでしょう。

「人」も「お金」も常に成長の余白がある方向に流れるわけだから。

「こっちだ!」という社会の大筋が定まれば(2011年震災後のiPhoneとTwitterのような状況が起これば)、一気にまたテクノロジーのほうへと回帰していくのは間違いない。

今は、完全にその夜明け前のような雰囲気にもなってきている。

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だからこそ、いま自己の教養を深めておく絶好の機会と言えるのでしょう。ある種、最高の凪のタイミングでもあると思います。

これは、誰にも邪魔されない深夜〜早朝の時間帯にもとてもよく似ている。

僕らが生きている間の、最後の凪のタイミングと言ってもいいのかもしれない。

どうしても、世間では大きな波のほうばかりが注目されがちですが、実は社会全体の凪のタイミングのほうが、人生においては貴重な時期なんじゃないかと思います。

ここで何を自分の中で醸成することができるかによって、その後の人生がまったく変わってくるはずだから。

なぜなら、大きな波がやってきたときに、自らが生み出すことができるアウトプットというのは全て、自己の教養や経験によって裏打ちされているからです。

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日本人は、水墨画や枯山水を見て、その奥に無限に広がる大自然を見立てる力を自然と持ち合わせています。

それは、僕らにその素養が備わっているからできること。幼いころから様々な文化的な体験を通じて、西洋人には感じられないその圧倒的なダイナミズムを、そこに感じとられるように仕向けられてきました。

次にあらわれるテクノロジー(表現方法)の中で、自分が何をつくりだすことができるかは、今この凪のタイミングでどのような感覚を醸成しておくかにかかっている。

きっと残り時間は少ないです、できることは今のうちに。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。