みなさんから巡ってきたWasei Salonの10万ポイントを通じて、鳥井さんにご招待いただき、他郷阿部家に宿泊してきました。
取材でもなく、イベントでもなく、ただそこに身を置く時間。何のタスクも背負わず、家族でくつろぐことができました。息子は不思議な大きなおうちと優しいスタッフさんに大喜び。鳥井さん、改めて素敵な時間のプレゼントをありがとうございました。
この時間をやっぱり書き残しておきたい。
ガーゼの部屋着に袖を通したときの感触。歯ブラシが違うだけで、こんなにも息子が歯磨きを喜ぶことへの驚き。広い屋敷の至るところにそっと飾られた花やおひなさまの佇まい。
もの柄の良いものに囲まれた暮らしが素敵だったのはもちろんなのだけれど、それだけではなく、ここにいるからこそ思うこと。これからの、わたしのものづくりに活かしたい、備忘録。
生きている家で
阿部家は、生きていた。
古民家を改装したただの箱ではなく、家の真ん中には台所があり、そこでは火が使われる。台所の中心には神棚があり、家のあちこちに神様が宿っているような気がした。
人と家が相互に作用し、対話をするように暮らす場所。
ものが、ただの「もの」ではなく、長い年月を経てもなお役目を持ち、まるで命があるかのようにそこに在る。
家が生きている。
土地の気がある。
思わず笑みがこぼれる
あたたかい素朴なごちそう。
気さくなスタッフの素晴らしい気遣い。
一緒に食卓を囲んだ松場登美さんは
「家をつくっていくおもしろさ」
「この家から次の世代へ伝えていきたいこと」
そんな話を生き生きとされていた。
特別な空間で、特別な時間を過ごす中で「わたしはこれからどう生きたいのか」を問われているような気がした。
土地に根を張る暮らし
これまでの私は、転勤族として各地を転々としてきた。その環境に適応しながら、自分のアイデンティティの一部として受け入れてきた。
また、エチオピアに行ったときも、教育からものづくりの道へ舵を切ったときも、頼りにしていたのは直感とインスピレーション。振り返ってみると空から降ってくるメッセージを感じながら、自分の道をつくってきたような気がする。
でも、本当の意味でものづくりをするためには、
「上とつながる」だけでなく、「地に根を張る」ことも必要なのかもしれない。
ひとつの土地に留まり、大地のエネルギーを受けながら、降り注ぐひかりを浴びて、自分の手で作品を生み出す。
そんな生き方をしたいという気持ちが、強く湧いている。
本当の、つくるを中心に据えた暮らし
── 家のようなアトリエがほしい。
愛するものに囲まれた場で
つくるを中心に据えた暮らしを土台に
心に静かに届くものを生み出していく。
そこに集う人たちをあたたかく迎える。
そんな場所をもちたい。
30代半ばでここに導かれた意味。
いつ、どこで、どんな場所でーまだ何にも具体的に決まっていることはないのだけれど、今回の宿泊が、私の次の一歩の起点になるような気がしています。
さて、私はここから何を。
心で何を想い、どんな事を成していこうか。
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町民もびっくり。
雪がこんもり積もった
美しい石見銀山・大森町にて。