「役に立つと、意味がある」の話は、このブログを読んでいる方であれば、もう知らないひとはいない話だと思います。
どれだけ頑張って役に立つものをつくってみても、役に立つものはすぐにコモディティ化してしまう。
「じゃあ、意味があものをつくろう!」と大きく舵を切り、意味の最大化に向けて積極的に取り組み始めているひとは多いと思います。
そうすると、現代の場合、多くのひとが行き着く先は個人がインフルエンサー化して、
ただの水や粉、Tシャツなどに自分の印を貼って、スキンケア商品やサプリメント、アパレルブランドをつくろうといった短絡的な発想になってしまう。
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このように、手段の目的化を放っておけば、どうしても無秩序に意味の最大化(利益の最大化)に向かってしまいます。
それを意図的に防ぎ、長期で繁栄するための根源的な価値を創り出そうとすると、
信念や美意識を同時に鍛え上げ、意識的に「歯止め」をつくりだすことが重要になってくる。
言い換えると、「一体何のために自分はそれを実践しているのか」をセットで考えて、あらかじめ「やらないこと」を決めない限り、
手段の最大化に向かおうとする強い力のベクトルには抗うことができません。
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この点、武道や茶道など日本人が好む「道」という概念の中には、必ず厳しいお作法や制限、制約が多く存在し、礼節を重んじる文化があります。
その理由もきっとここにあって、昔のひとは「手段」が暴走することをよく理解していたのでしょう。
だからこそ、あらかじめ歯止めを設けておいた。
信念や美意識も同時に鍛えるために(むしろそれが一番の目的)、歯止めの必要性に対して常に自覚的だったのだと思います。
それは師匠から弟子に受け継がれる贈与という形で伝えられてきたのだと思います。
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ただし、現代においては、社会の変化と手段の進化が早すぎて、まったく精神面が追いついていない状況です。
創始者のトライアンドエラーが作法として受け継がれるまえに、世界がガラッと変わってしまう。
そうなるともう、それぞれが自発的に自分の中に強い信念や美意識を持ち合わせるしかなくなる。
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そして、そんな個々人の信念や美意識がぶつかり合った結果として生まれてくる集合体が、その時代の倫理観を形成していきます。
この新たな時代の倫理観の部分に対して、しっかりと議論できる仲間がいること、それがとても重要になってくる。
なぜなら、倫理観のアップデートには必ず一定のモヤモヤがつきまとうから。
自分の中に存在する従来の固定観念が必ず邪魔をしてきます。
それぞれの信念や美意識を持ち寄り、新たな時代の倫理観を共に議論し鍛え合う仲間がいることは、現代のような時代の転換期においては、とっても重要なことだと思ういます。
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これは到底ひとりの力では腑に落ちることは不可能。
無意識下にあるものは、他者を鏡のように見立てて理解していくほかない。
そんなときに、このWasei Salonのような場が世間の役に立つことができればとっても嬉しいです。
腹を割って議論し、新たな倫理観を共にブラッシュアップしていく空間、そのときに生まれるモヤモヤを共に晴らしていくための空間。
そんな場としての価値も、みなさんと一緒に高めていきたいなあと思う今日このごろです。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。
ーーイベント告知ーー
3月に開催されるWasei Salonの外部向けイベント及びサロン説明会はこちら。
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