Wasei Salonの中で「トークンエコノミーについて考える会」というグループが作成されました。

サロンメンバーであれば誰でも参加できるグループです。

https://wasei.salon/groups/7c318ee83faa

今年に入ってFiNANCiEが盛り上がりはじめたタイミングで、有志のメンバーのみを招待した場として最初は実験的に始めていましたが、今後はWasei Salonのひとつのグループとして正式に耕していきたいと思います。

早速、このグループにまつわるメンバー同士でのオンライン対話会イベントも開催されて、そこで語られている内容自体も本当におもしろかったです。

参加してくださったみなさんが、Wasei Salonの対話会イベントらしく正直に本音ベースでお話してくださって、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

https://wasei.salon/events/e4952691b44e

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今回このイベントには、僕はあえて参加はしませんでした。

僕が参加してしまうと、どうしても僕への質疑応答みたいな形になってしまうだろうなあと想像したからです。

きっと今のこのフェーズ感で本当に大事な機会というのは、参加者ひとりひとりが抱えている疑問やモヤモヤをそれぞれに持ち寄って、対等にそして対話会形式で話し合うことだと思っています。

その場に有識者やNFTのファウンダー、その運営に近いコミュマネのような人間ばかりがいてしまうと、どうしてもその人達の強い意見に流されてしまい、すぐにQ&A形式になってしまって、正直あまり意味がない気がしています。

というか、それはすでに、Twitterスペースのような場所で散々行われている。

そうではなくて、もっともっとコミュニティに参加しているひとたちが、自分の意見や疑問を正直に安心して話せる場をつくりたかったなあと。

web3みたいに、まだ誰も答えを持ち合わせていないジャンルだからこそ、哲学対話形式のように「なんでだろうね?」とか「ぶっちゃけあれどうなのよ?」と正直に安心して話せる場所をつくることが、いま何よりも大事だなあと僕は確信しているんですよね。

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この点、良くも悪くも、今のNFTやトークンエコノミーの世界って、プロジェクトや進め方、もしくは業界全体に対して何かしらの違和感があったとしても、そのことについて言及できない構造にあります。

それが間違っているという話ではなく、どうしてもまだそういう構造になってしまいがちで、それ自体は仕方のないこと。

なぜなら、何度も語ってきたように「ご贔屓」されることが、この世界における正攻法だから。

もし何かしらのネガティブな発言がファウンダーの耳に入り、その意見が自分が意図しない形で受け取られて誤解されてしまったら、今後は優先購入権を与えてもらえなくなるかもしれない。

最悪、BANされてしまい、コミュニティから追い出されてしまうかもしれない。

だったら、全然ピンときてない話であったとしても「なんとなく、そんなものなのかな…」とわかったフリをして、ポジティブな発信をしていたほうが、どう考えても合理的です。

実際、すでにそのような状況に対して違和感を感じているという話もイベントの中ではいくつか挙がっていました。

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こうなってくると、ドンドンと自分で考えることをしなくなってしまいます。考えても無駄だから、です。

むしろ、考えれば考えるほど引き裂かれる感覚となって、自分を苦しめるだけになるので、健全なマインドの持ち主はあえて考えないというムーブを無意識に取ると思うのです。

ただし、そこでグッと踏みとどまって「なんか違和感あるよね」と自らの考えを深められるひとになって欲しい。

なぜなら、それが「問い続ける」ということそのものだから、です。

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もしこれが一般的な仕事にまつわることなんかであれば、自分の仕事の業界外のひとに相談してみることも、ひとつ有効な手段だとは思います。

ただ、NFTやトークンエコノミーに関することっていうのは、私生活の中で周囲にいる家族や友人に相談できるような話でもない。

まだ、その仕組を理解しているひとが、国内で1万人もいるかどうかわからないものに対して、仕組みさえも理解していない人間に、自分が抱えている悩みや不安みたいなものを相談してみても、トンチンカンな答えが返ってくるだけ、です。

「悩むぐらいだったら、そんな怪しいものから早く足を洗って、真っ当な副業でもはじめれば?」って言われるのがオチです。

別にそんな答えが欲しくて相談したわけではないよ!ってより一層落ち込んでしまうのは、相談する前から目に見えていますよね。

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僕は、影でコソコソ悪口を言おうと誘っているわけではなく、その違和感をちゃんと言語化して、自らの中で価値ある問いへと昇華させようよ、と提案したいのです。

ネガティブだ、否定的だではなくて、あくまでモヤモヤしていることをお互いに言葉にして対話のキャッチボールをしてみること。

そのような問いを共有し合って「私もそう思っていた!」や「それはこういう見方もできるんじゃない?」と建設的な議論ができる場が、いま本当に大事だなあと思います。

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そもそも投資というのは、自らが自らの頭の中で「未来のストーリー」をどれぐらい描けるかどうか、なんですよね。

最近、僕がAudibleで聴き終えたエコノミストのエミン・ユルマズさんの『一生使える投資脳のつくり方』という本の中にも、似たような話が書かれてありました。

物語形式で、今年から投資を始めた人向けのものすごく初歩的な話がメインの本なのですが、子供だましのような内容なのか言えばまったくそんなことはなくて、基礎の基礎で、投資でいちばん大事なポイントがまさに描かれているなあと思いました。

具体的には、自分の頭で企業の成長の「ストーリー」を描いて、そのストーリーに沿っているかどうかを自ら比較検証することができるようになること。

そのうえで、企業動向をチェックしながら、これからも投資をし続けるかどうかを見定められる力を身につけられることが大切だ、と。

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そのためには批判的な視点を自分のなかに持ち合わせることは、ものすごく重要なポイントだと僕は思います。

言い方を変えると、自問自答できることが何よりも重要なんですよね。

自分の中でモヤモヤとしていることも含めて仮説を立てて、それを検証していく必要があるわけですから。

それができるようになれば、自然と投資で損をせずにする回数を減らせるようになりますし、多少の下落局面であっても、長く握っていられるようになる。

また、たとえ大きく損をしたとしても、その損自体が、大きな大きな学びになる。

「誰々が言っていたから、こういうムーブをしました」では一生学びにつながらない。損したらそれが、そのまま本当にただの損となって、そのせっかくの体験が、全く人生にいかされない。

たまたまビギナーズラックで大金を手にすることがあっても、自らの知見や経験値は深まっていかないんです。

自分が一体何を見誤ったから、このような結果になってしまったのかをちゃんと理解すること。それを反省をすること。

それは逆もまた然りです。なぜうまくいったのかを検証してみること。

投資に限らず、人生というのはその連続だと僕は思います。

それはもちろん、仕事や「はたらく」においても一切変わらないことです。

その実体験の学び自体が一番の実りであり、自らのかけがえのない「資産」となっていくはずなんですよね。

お金が儲かるなんて、その学びの有益さに比べれば本当に絞りカスで、おまけみたいなもんなのです。

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だからこそ、自分の中にあるモヤモヤや違和感みたいなものも曖昧にせず、勇気を持って他者に説明できるように言語化し、お互いに対話できる空間が、いま本当に大事だなあと。

最初から自問自答ができるわけがないのですから。

影や盲点みたいなところは誰にだって存在する。新しいものであればあるほど、そう。

一人で懐中電灯をもってうろうろと彷徨うのではなく、お互いに懐中電灯を持って相手の死角や影を照らし合うこと。

そのような助け合いが人間には間違いなく必要だというのは、Wasei Salonという空間を5年以上続けてきて本当に強く実感しているところです。

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他者が抱えている違和感や、納得感を持ちにくい場所、もしくは一体何を全力で信じているのか、それを声の大きい人たちだけでなく、自分と同じようなフェーズ感にあるひとたちと共に考えてみて、お互いの意見に、しっかりと耳を傾け合うこと。

今その空間をクローズドの場として真に提供できるのは、Wasei Salonだけだろうなあと思っています。

どこのコミュニティも、あくまでNFTプロジェクトやFiNANCiEのコミュニティであって、良くも悪くもファウンダーや運営者の監視下のもとにある。

でも、ここだけは「アジール」みたいな空間です。現状、誰も何も利害関係がある者同士ではないはずです。

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もし今後、本当の意味でweb3やNFT、トークンエコノミーが産業として拡大していくのであれば、ひとりひとりのそんな問い続ける姿勢から生まれてくる、腹落ち感や納得感が一番の原動力になると思います。

Web3の世界はまだまだ黎明期にあります。このような対話の場を通じて、一人一人が主体的に考えて実践をし、そこで得られた知見を学び合うことが、これからの健全なエコシステムを作っていく上で必要不可欠だと僕は信じています。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、何かしらの形で有益な場になることを祈っています。