先日、大阪万博に行って来ました。
まず最初に驚いたのは、外国人の多さ。さすがに「半分」は言い過ぎかもしれませんが、体感的にはそれくらい多い印象でした。
あと、幼稚園児から高校生まで、学生の数も驚くほど多かった。周辺地域や、中高生は修学旅行で訪れているんだろうなあという印象。
逆に、大人の日本人は関西弁ばかりが聞こえてきたから、日本人の来場者の8割ぐらいが、まだまだ周辺地域に住む人達が中心なんだろうなあと。(もちろん、僕が平日に行ったということも大きいと思うけれど)
本当に文字通り、平和の祭典、平和の博覧会という様子で、国籍や立場・身分など関係なく、みんな目がキラキラしていて、とっても楽しそうでした。
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それぞれに万博の楽しさを見つけている感じが非常に良かったし、それがすごくいい眺めだなあと。
そんな意味でも、意外と印象に残ったのがスタンプラリーの存在です。
各国のパビリオンやブースの前には必ずスタンプが置かれていて、そのスタンプを集めるために短い行列が常にできている。まさに“文字通りのスタンプラリー”。
揶揄的に「スタンプラリーみたいな旅」と言われることもありますが、実際のところ、それを楽しんでいる人たちの表情は、本当にすごく楽しそう。
何か他人に用意された目的があるからこそ、初めて思う存分楽しめるというひとにとっては、あれは素晴らしい仕掛けだなと思いました。
自分にとっては興味がないものでも、それがあるからこそ楽しめている人がいる。そんな「誰かにとって必要なもの」がちゃんと用意されているのが、なんだかとてもいいなと思ったんですよね。
本当に、いろいろな立場のひとが楽しめる仕掛けが随所に設けられているし、もちろん、遊びや食の要素なんかもいっぱいあるし、本当に万人にオススメできる万博だなあと思います。
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で、僕が実際に現地へ行ってみて、これは自分が行く前に想像していたことと全く異なっていたなということが、大きく分けて3つあります。ここからが今日の本題。
まず1つ目として、何よりも意外でいちばん感動してしまったのは、「興味がないどころか、全く存在することも知らなかった国と出会う楽しさ」です。
一般的には、メディアの事前情報で注目をしていた目当ての国や、シグニチャーパビリオン、大屋根リングを見に行くことを楽しみに現場へ行くと思うのです。
もちろん、それはそれで期待通り素晴らしいのですが、目当てではなかったどころか、国名も知らなかった国の展示を見に行くことが、とっても楽しかったということ。
特に複数の国が集まって展示しているコモンズ館がとっても良かったです。
屋内のブースをぐるっと一周、順繰りと巡ることになるから、知らない国であっても基本的には自然と見学することになる。
そして、こんなにも自分の知らない国々の展示をみながら「万博来てよかったなあ」としみじみ思うんだなあと、自分でも本当にビックリしました。
言い換えると、知らない国に出会うことの根源的な面白さ、近年体験したことのなかったワクワク感なんかを味わうことができた。
昔の雑誌を読むような感覚にも近いのかもしれないけれど、それともちょっと違う不思議な感覚です。
まったく想定や眼中になかったものが、突如自分の目の前に現れる高揚感。
雑誌が持っていた「偶然の出会い」というのは、今の情報消費ではなかなか得られないんだなあと改めて強く認識しました。
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逆に言えば、いかに僕らは、最初から知っているものだけに惹きつけられてしまっているのか。
万博会場に行こうとしている自分でさえも、目的意識が強すぎたんだなあと深く反省してしまいました。なんだか頭をガツンと殴られた気がします。
でも、そうやって大屋根リングのような目玉に釣られて行ったからこそ、知らないものに出会えることの豊かさ。これは本当に、万博というリアルイベントならではだなあと思います。
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さて、2つ目は、その中でも強く感じたのが「物体の迫力、物質が持つ力強さ」です。
どの国も、「映像」は素晴らしいものを用意している。
特に、コモンズ館であってもヨーロッパのほうの国々はものすごく先進的なデザインで見せている。
たとえば、イタリアの中にある小さな国、サンマリノとかはひときわオシャレなブースで映像の使い方も非常に上手でした。実際、とても記憶に残っている。
ドローンで撮影したような美しい映像を、各ブースごとに大画面TVモニターやタブレットで流しているんです。でも、不思議なことに、それを観てもあまり感動はしなかった。むしろ「これは家のタブレットで観たほうがいいな」と思ってしまうほど。
そのほうが画質も良いし、好きな部分を好きなように観ることができる。
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一方で、その国の工芸品や民族衣装、布や置物のような“物”は、圧倒的でした。
たとえば、アフリカ系の名前も知らない国の小さな像や置物、そして祭りで使うようなお面、あとテキスタイルなど、実際に現地から持ってきて展示されているものが、多数ありました。
アフリカの国々のやる気のない感じと「現地から特に何も意識せず持ってきました」風の置物が、勝手に現地で放ってしまうオーラ、その異物感。
あと、アジア地域で言えば、キルギスのブースなんかも非常に印象的で、キルトの生地や民芸的なぬいぐるみが、狭い空間にぎゅっと詰まっていて、強烈な存在感を放っていた。
実際、ほとんどのコモンズ館を巡り、数え切れないほど多くの国の展示を観たけれど、ここでこうやって特筆して紹介したくなるほど、です。
やっぱり、”もの”の持つ力なんだなあと思った。
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映像や技術、工業製品は、よく悪くも修練されていく。その中心にはiPhoneとSNSがあって、どこの国も正解は大体同じ。そこに大差はない。みんな似たような未来像を描いている。
でも、工芸品は一瞬で“ど・ローカル”になる。そのギャップがとっても良かったです。
大型パビリオンで言えば、サウジアラビアが大人気で、これも意外だと思われると感じるのですが、でもそれも現地に行くと深く納得で、いちばん異国情緒溢れる感じで唯一無二な感じがして、あの場にいた人なら、ついつい惹きつけられてしまうような魅力を放っていました。
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あと、3つ目として、意外だったのが”匂い”です。これも現地にいかないとわからなかった。
コモンズ館の各ブースでさえも、それぞれの国ごとの独特な匂いがあった。
現地から来ているスタッフの方々の香水や食べ物、あるいは持ち込んだ品々の匂いかもしれないけれど、それが強烈に印象に残っています。それぞれのローカルの匂いが自然と持ち込まれているんだなと驚いた。
また、パビリオンやコモンズ館のブースではないけれど、京都のおみやげだけが集められたショップとかもあって、そこに入った途端に「あれ、京都駅に降り立ったのかな!?」って勘違いするほど、あの京都特有のお線香でもないし、神社仏閣でもないし、独特の匂いが店内に広がっていて驚いた。韓国の特産品だけを売っているショップなんかもそう。
この匂いへの感度も、世界各国でまだまったく統一されていかないこともまた非常におもしろいなあと思ってしまいます。すべてがIT化・SNS化・AI化していく世界の中で、ローカルが眠っているポイントは、意外にも匂いにもあるんだ、と。
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あと、最後に全体を振り返りながら強く思ったのは「もし、今回の万博が最初から日本国民がもっと歓迎ムードだったらどれだけ面白かったんだろう?」ということです。
これは完全に後の祭りのような話ではあるけれど、こんなにもおもしろいものになるのなら、もっともっと国民が協力的になっていたら、このさらに何倍もおもしろいものにできていたはず。
だとすれば、それはなんだかものすごくもったいないし、ちょっとその可能性を観てみたかったなあと思う気持ちもあります。
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またそういう意味では、企画だけではなく、現場で働かれている日本人の改善力も本当にすごかった。
開会当初、毎日のように運営のずさんな様子が、鬼の首を取ったかのように、ニュースで報道されていたけれど、そのせいもあってか、至る所から聞こえてくる「あれをこうしたら、もっとこうしたら」という現場スタッフさんの声が聞こえてきました。
ボランティアスタッフのみなさんも含めて至るところでとにかくたくさんの試行錯誤の声を聴きました。
開幕から数週間程度のこの短期間でも、ものすごいスピードで改善されていることが伝わってきたし、運営している人たちの顔つきも、全然ちがう。
そこに本当に胸が熱くなる思いがした。これは世界広しと言えども、日本だけだろうなあと思います。実際、メディアでみていたような事前情報に比べて、本当にスムーズな運営になっていて驚きました。
こういう改善力も、日本の誇らしさのひとつなんだろうなあと現場へ行ってみて強く思います。
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そんなこんなで、僕がこれから行く人に強くおすすめしたいのは、最初の注目度が高かったときだけの玉石混交の情報や否定的な意見がメインだけだった情報だけで、判断しないこと。
実際に自分が行こうとしているときには、実際に自らがが訪れて動画をつくっている個人のYouTuberさんたちがたくさんいるから、比較的再生回数が回っている最近訪れているYouTuberさんの意見なんかを信用したほうが良いと思います。
休憩スペースも、飲食も、平日の訪問であれば現地でどうにでもなる。
僕個人としては、夏の本格的に暑くなる前にもう一度、そして開催期間が終了する直前にもう一度ぐらい訪れてみたい。
最終的にはどこまで改善、最適化が進んだのかを確認したい気持ちも含めて、あと2回は行ってもいいかなあと思っているぐらいには、本当にものすごく楽しかったです。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。

2025/04/24 19:37