僕は、メディア露出やSNSを過度にハックするということ自体には非常に懐疑的です。

だから、今日の話は例外的に語っていると思ってもらったほうがいいのですが、ローカルのマスメディア、具体的にはローカルラジオやローカル新聞、ローカルテレビは移住した若い方々こそ、しっかりとハックしたほうがいいと思っています。

僕がなぜそう思うのか、その結論を先出しすると、具体的には3つの理由があり「エンゲージメントの強さ、逆輸入につながる、技術力の高さがあるから」です。

今日はそんなお話をなるべくわかりやすく丁寧に書いてみようかなと思います。

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まず、大前提として、なぜ僕がメディア露出やSNSを過度にハックすることは避けたほうがいいと思うのかと言えば、気づかないうちにドンドンと発信が過激化していくからです。

これは、それぞれのメディアの編集方針が悪いとか出演者が悪いとか、そういう個別具体的な話ではなく、現代のマスメディアやSNS、You Tubeという仕組み自体がそういう構造にあることが一番の問題なんです。

ひとつのメディアを通して、数十万人〜数千万人という規模感で見てもらわないと成立しないビジネス構造に、そもそもの問題がある。

だから、番組をつくるほうも出演するほうも、そのビジネス構造を成立させるためにドンドン過激にならざるを得ないわけですよね。

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そのようなメディアの過激さが嫌で、メディア露出を嫌がるひとは多い。

特に地方移住したひとたちには、メディア嫌いを自称するひとは非常に多い。

でも、これは「メディア」そのものが悪なわけではない。

東京で運営されているメディアや、東京を中心にして成立しているSNSのビジネス構造が歪んでいいるだけです。

ここでは深く語りませんが、「メディア=悪」だとみなすのは、メディア(媒介物)の本質を誤解しているように思います。

そもそも、人から人へと何か情報を伝えるときに、メディアという存在はなくてはならないものなのですから。

で、この歪んだビジネス構造に比較的あまり強い影響を受けていないのが、ローカルラジオ、ローカルテレビ、ローカル新聞だと僕は思うのです。

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僕は、地方の行く先々のそのような媒体を観るというのが、癖というか趣味みたいなものがあるのですが、そこにはいつも驚くほど牧歌的な情報だけが並んでいます。

でもそれも本来は当たりまえで、ローカルに住んでいる方々が本当に求めている情報というのはきっとそのような情報でもあるわけです。

特にSNSの登場によって、社会の分断が広まった結果として、ローカルの人々の情報交換のメディアとして求められている機能というのは、以前よりも一層、そのような牧歌的な役割に回帰してきているようにも思います。

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そして、ここからが特に若い人たちに強く伝えたいポイントなのですが、ローカルメディアの記者やディレクターの方々は常にその地域の中だけで、次のネタを探しています。

隣の市や隣の県で、どれだけおもしろくて数字が取れそうなネタがあったとしても、根本的には取材しに行くことはできないのです。

その地域のことを、その地域の人々に伝えることが彼ら・彼女らの仕事だからです。

そうなると、若者の挑戦や、写真や映像映えする新しい空間というだけで格好のネタになる。

結果として、競合他社(他者)も圧倒的に少ない。そこで取り上げられているひとが全員が仲間というような状態にもなりやすいです。

そして、その地域内では最初からそれらのメディアが驚くほどの「エンゲージメント」を誇ってもいるから、結果にも繋がりやすい。これが1つ目の大きな理由です。

地元のひとびとがその記事や情報を見たり聴いたりして、お店やサービスにもワラワラと集まってきてくれる。

数百人〜数万人のひとが訪れなくても、数十人程度のひとが実際に行動を起こして認知をしてくれれば、ローカルの起業においては、御の字だったりしますからね。

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この点たとえば、いつもご紹介している発酵デザイナーの小倉ヒラクさんは、山梨に移住してすぐに、YBS山梨放送で『発酵兄妹のCOZY TALK』という番組をはじめましたし、

参照:発酵兄妹のCOZY TALK

Wasei Salonの初期メンバーのお一人でもある函館にUターンされたライターの阿部光平さんも、函館のFMラジオ、函館新聞などでご自身の連載を持っていたりします。

そして広島の鞆の浦に移住されたWasei Salonのコミュニティマネージャーである長田さんも、ご自身のカフェスペースを最近オープンし、つい先日大きく中国新聞に取り上げられていました。

彼らは口を揃えて、「ローカルメディアで自分の番組を持ったり取材されたりすると、地元の中での声のかけられ方がまったく変わった」と語られていて、そのメディアが持つ底力に驚かれていました。

実際に本当にそのとおりなんだろうなあと思います。それらは元祖「コミュニティメディア」なんだから、当然と言えば当然のことなのでしょうね。

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そして、2つ目の理由として、結果的にそれが「逆輸入」にもつながっていくんです。

ローカルメディアで、連載や番組をもっていることが、全国区(東京やネット上)においても、それが功を奏する場面が非常に多い。

東京やネット上に全国から集まったときに、このひとは一体何者なんだという時に、名前を一度でも聴いたことがある地域のマスメディアで連載や番組を持っているというだけで、一目置かれる存在となるわけです。

ローカルの持つ歴史や権威性が、そのまま自己の権威性にも、ダイレクトに紐付くわけですよね。

地盤がそのまま自己の看板にもなるのです(つまりハロー効果が生まれる)

SNSのフォロワーが、なぜかやけに多いという何をやっているのかよくわからない若者よりも、僕らのような30代オーバーの人間からすると、そっちのほうが断然安心感や信頼感にもつながる。

つまり、ヒラクさんの言葉を借りると「地方豪族2.0」的な振る舞いもできるようになっていくわけです。

この点、今さらカッコいい空間、カッコいい写真、エモい文章で、SNS上でバズを狙おうとしても、SNS上には、もうそのような上っ面なものだけがひしめき合い、完全に飽和状態。

そこでなんとか勝とうとすると、一層大胆にリップサービスをしなくちゃいけなくなるし、そんなSNS上の過激な空中戦で疲弊する必要なんてまったくないかと思います。

また、お金や権力を持っているおじさんたちが集まっているFacebookにm太鼓持ちやパパ活的に参加するのも僕は違うと思います。

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あと、最後に3つ目の理由として、圧倒的なローカルメディアの技術力の高さも見逃せないなあと思います。

誤解を恐れずに言えば、「腐っても鯛」というような感じで、その長い歴史の中で培われた編集能力や機材の品質なんかは決して侮れません。

そのノウハウをうまく共有してもらいながら、地域に新しい価値を浸透させていくことのほうが、若い人にとっても、地域のメディアの人々にとってもWin-Winの関係性を作り出すことができる。

こんなにも、お互いのニーズがガチっとはまる瞬間は本当に数少ないと思います。

言い換えると、自分たちがつくっていきたい世界観をローカルメディアとともに創り上げていける相互補完関係をつくりだしていくことができるのです。

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ここから日本全国に知られていくという可能性は低くても、その費用対効果はかなり大きい。

さらに、過去にはローカルマスメディアで真剣に遊んでいるうちに、大化けしてしまった北海道のスター・大泉洋さんのような事例だってある。

何がどう化けるかなんて、本当にわからないんです。

現代は、ローカルで本当に自分たちがおもしろいと思っているものを予算度外視でつくっていることのほうが、意外と日本全国でおもしろがられる可能性は高い。

みんなが東京のマスメディアやSNS、You Tubeなんかで躍起になっている時代だからこそ、ローカルマスメディアは完全にブルー・オーシャンだと思います。

一方で、多少面倒くさいとよく耳にするのは、地元のつながりだけ。でも、注意して、なるべくそんな政治活動に巻き込まれなければいいだけの話です。

つまり、今こそローカルメディアのボーナスタイムを活用する時期でもあると思います。

ひとの本当の幸せは、自分の半径3メートル、150人程度のひとたちと本当の意味で良好な関係性を築くこと。だとすれば、ローカルメディアを通して、地方でその基盤を作り出すと、少なくともQOLはグンと上がる。

そこから改めて、全国に向けて一旗揚げることだって間違いなくできると思います。

Wasei Salonの中には、既にそれを実践してそうやって結果を出し始めたひとたちも多いので、いつかWasei Salonの中で「ローカルメディアとの健やかな関係性づくり」とかを題材とした連続企画なんかをやってみてもおもしろそう。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。