人との関係は、特別なイベントや長い会話によって築かれるものだと思われがちだけれど、実は、日々の何気ないやりとりの積み重ねこそが、その土台になっているとボクは思う。

たとえば、「おはよう」「ありがとう」「おつかれさま」といった、ほんの一言。それだけでも、相手の存在をちゃんと見ている、気にかけているということが伝わる。たとえそれが形式的に見えるような挨拶であっても、「言葉にする」という行為自体が、相手との距離を縮める。

スタンプも同じだ。文字を打つ余裕がないときでも、気持ちだけは届けたいというときに、あの小さなアイコンが活躍する。スタンプひとつで「いいね」「大丈夫だよ」「気にしてるよ」と、たくさんの意味を内包して伝えることができる。無理をしない範囲で、でも確かに「反応する」ことができる。そんな気軽な手段を持っていることは、現代の人間関係において、とてもありがたいことだと思う。

大事なのは、完璧な言葉を探すことでも、長文のメッセージを送ることでもない。ただ、ほんの少しでも「自分の気持ち」を相手に渡すこと。それが、信頼や親しみといったものの芽になる。そうした小さなやりとりの連なりが、やがて大きなつながりへと育っていく。だからこそ、忙しさに追われる日々のなかでも、ふと手を止めて、一言だけでも声をかけてみる。スタンプひとつでも送ってみる。それだけで、人との関係は、少しずつ、でも確かに豊かになっていく。

人間関係に魔法のような近道はない。けれど、ほんの少しの丁寧さを日々積み重ねることが、静かに、しかし確実に信頼の土台をつくっていく。だから今日も、短くてもいい、一言だけでもいい、ちゃんと「言葉にして」届けたい。