今年から始まったPodcast番組「なんでやってんねやろ?」の公開収録イベントがイケウチオーガニックさんの京都ストアで開催されました。
IKEUCHI ORGANICの池内代表、坂ノ途中の代表である小野さん、いつも番組の司会進行役をつとめてくださっている京都ストアの益田さんという番組のメンツが全員同じ空間に集まり、初めてのリアル収録となりました。
会場に集まってくださったリスナーのみなさんにもとても大きな反響があり、会場に集まったみなさん同士でのインタラクティブな交流なんかもうまれていて、大盛況のまま幕を閉じて本当に良かったです。
昨日の公開収録の様子は、5月から順次配信されていく予定で、こちらもぜひ楽しみにしていてもらえると嬉しいです。
今日はこのイベントを通して、改めて強く実感した「企業のオウンドPodcastの可能性について」ここでも語ってみたいなあと思います。
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この点、日々毎日触っているタオルも、日々毎日口に入れている野菜も、どちらも自然由来のものからできているのに、現代においては、これらの商品というのはまるで「工業製品」のように扱われていて、いつでも安価に手に入って当然のものとしてみなされているかと思います。
しかし、池内代表や小野さんのお話を聞いていると、そのことがいかに当たり前ではなく、おかしなことなのかを思い知らされます。
僕らが日々当たり前のように触ったり口に入れているものなのに僕らは全然タオルも野菜のことも知らないだけなのかもしれない。
そして、コットンが製造される裏側や、野菜が栽培されている裏側などを現場で長年実践されてきた方々の生の知見を持ち合わせているお二人に、その背景を時間をかけながら丁寧に語ってもらえることは、本当に貴重な機会だなあと感じています。
それを聞かせてもらうことで「あー、世の中ってそうなっているんだ!」と毎回ディレクターの立場である僕自身が驚かされるんですよね。
そして、そこに存在する問いや課題は、自分たちの暮らしにも直結していることが本当によくよく伝わってくる。自分たちが見落としてしまっているものに、ふと気付かされる感覚。これがなんだかものすごく新鮮で生きたリベラルアーツだなあと思います。
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たとえば、「なんでやってんねやろ?」の前々回の配信の中で、小野さんがおっしゃっていた「トマトの過剰な甘さ競争」が農家さんたちの中で行われている中で「一年中トマトが甘くて何か僕らにいいことがあるんですか?」というお話がありました。
あとは、前回の配信で池内代表が語られたていた今治タオルという産地ブランドと、IKEUCHI ORGANICのようなメーカーブランドの微妙な関係の話なんかもまさにそうです。
このあたりは、実際に直接おふたりの口から聞いてみて欲しいので、あえてこの場では詳しくは書きませんが、本来の共存共栄していくあり方のようなものを、とてもハッとさせられるような形で語ってくれています。
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ただし、いまの情報伝達の課題は、このような問いに大して果敢に取り組んでいる企業があっても、その生きた現場の視点みたいなものはほとんど語られず、僕らのような一般消費者が触れる機会もないんですよね。
そんな話をもっともっと知りたいと思ってみたところで、探すのもなかなかにむずかしいですし、仮にちゃんと特集記事などでまとめられていたとしても、日常に忙殺されてしまい、僕らは怠惰な生き物だから、テキストで存在したとしても、大して読まれない。
でも音声ぐらいであれば、日常の合間に「習慣」として入り込んでもらえる可能性があるわけですよね。
そして、それが定期更新されていれば、定期的に聞いてもらえることにつながっていくわけです。まさに「ながら聴き」のような形で自然と興味を持ってもらえるようになる。
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テキスト型のオウンドメディアで伝えられることの限界みたいなものは、もうある程度はっきりと認識されてきているかと思います。
もちろん、それがダメなわけではなく、検索なんかで引っかかる強みみたいなものは未だに健在なわけだから、企業が自らテキストで発信し続ける価値は、これからも変わらず存在し続けるはずです。
でも、企業の視座やスタンスのようなもの、立ち向かっている問や、そこから溢れ出てくるその企業の思想みたいな話というのは音声じゃないとなかなか伝わらない。
動画全盛期の時代だからといっても動画だとこれはむずかしい。やっぱり、もっと刺激の強いアテンションがを惹きつけるものが勝ってしまう。
YouTubeやTikTokのようなショート動画で届けようと思うと、それこそどんどん刺激強めになって、デジタルドラッグのような形をとらざるを得なくて、本当に伝えたいことが全然うまく伝わっていかない。
もちろん、その反動で、過度に怖がらせるのもまた違うと思います。過激なヴィーガンの人たちのように「いいから、こっち向け!」みたいになってしまうのは、あれはただの脅迫みたいなものですから。
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「どうすればいいんだろうね?なんでやってんねやろ?」というような視点は、まさにオウンドPodcastならではだなあと本当に強く思います。
一見すると、業界に対して波風立てるような尖ったことだと思われてしまうことだったり、テキストなら編集段階で忖度でカットされるようなことだったりも、音声というコンテキストが共有しやすい媒体だと、そのまま残すことができてしまう素晴らしさ。
しかもそれが番組全体を通して正直・親切・愉快に、そして相互の信頼と敬意と礼儀がそこにちゃんと満ちていることによって、聞いている側に余計な負担感も与えないで済むようにもなる。
音声配信のような形で、リスナーひとりひとりの「習慣」のなかにそうやって自然と取り込まれて、無理のない形で問いの共有が可能となって、気づけば課題意識や問い自体が共有できているというような状態が、本当に理想的だなあと思います。
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変な話なんですが、僕は、まさにこの番組を通じて「小耳に挟んで」欲しいと思っているんですよね。
そして、その小耳に挟んだことがきっかけで、ちょっとずつでも、本当に少しずつでも構わないから、日々の暮らしの感じ方が変わっていくことに意義があると思っている。
気づけば、なぜか野菜の知識やタオルの知識が自分の中に蓄積していて、日々の暮らしはもちろんのこと、自分自身の仕事に対しての向き合い方もちょっとずつ変わってくる。
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いま、企業が音声配信を始めてみる理由は、まさにこんなところにあると思います。
そして、そこから自然発生的に「コミュニティ」が生まれてくるという、おまけ付き。
昨日のような公開収録のようなリアルの場面も、番組起点で生まれてくるわけですからね。そこで配信者とリスナーだったり、リスナー同士だったりがゆるやかにつながっていく機会にもなっていく。
これが単発のイベントだったりしたら、なかなかにむずかしいかと思います。
一度でもリアルイベントに足を直接運んだことがある番組というのは、とても印象的でその後も聞き続けてくれるものです。
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ウェブ記事がバズるように、毎回の配信がわかりやすく何千人、何万人と聞かれるようなことはほぼほぼありえないけれど、このコミュニティ形成及びそこから生まれてくるムーブメントやある種の思想運動はバズなんか比じゃないぐらい強い求心力やパワーを持っていると思っています。
数百人程度の人々が日々何気ない暮らしの中で、毎週「ながら聴き」をしながら、課題意識をやんわりと共有し、日々の暮らしが少しずつでも変化をしていく。
ウサギとカメで言えば、亀のような歩みであるようにも思えるけれど、同じ番組を楽しみにしている者同士が横でつながっていくことの力強さは今あらためて評価されるべき事柄だと思います。
その元祖は「コテンラジオ」や発酵デザイナーの小倉ヒラクさんたちが配信している『ただいま発酵中』なんかであり、すでにその成功の道筋もある程度は示してくれている。
そこにしっかりと連なり、新たな企業発信の情報媒体としてその可能性を模索していことがいま本当に大事なことだと思っています。
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これからは、さらにゲスト方々などもお迎えして、少しずつこの番組の価値観やスタンスを広げていきながら、ゆるやかに、でも着実に、中長期の視点を見据えたムーブメントのようなものが、この番組から巻き起こっていって欲しいなと思っています。
ぜひ似たような取り組みをしてみたいと考えている企業の広報やマーケティング担当の方々にも、ひとつの生きた事例として、「なんでやってんねやろ?」を聞いてみてもらえると嬉しいです。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。
2024/04/25 21:54