企業や個人が何か商品を売ったり、サービスを売ったりするとき、一番簡単な方法は消費者を囲い込み、思考停止にさせてしまうことです。
余計なことはできるだけ考えさせずに、脳内に都合の良いイメージだけをさせて、それを実行させたがるように仕向ける。
そうやって「効果効能」や「ストーリー」を想起させたあと、「スターターパック」のようなものを売ろうとします。
その後は、ガイドブックや攻略本のようなものを組み合わせながら、「順路はこちらです」と案内標識を至るところに置きながら、ロイヤルカスタマーに育てあげていこうとする。
このようなの手法が、本来の「カスタマージャーニー」という異意味合いとは全く異なった形で、広く用いられているのが現代です。
ーーー
しかし、そんな世の中で僕は、ひとりひとりが壁にぶち当たり「あれ、どうすればいいんだろう…?」と迷い、自分の力で考え始められるようになって欲しいなと強く願います。
今の自分の持ち合わせているものではどうしようもないという絶望的な状態に陥って、その場に落ちているものを組み合わせながらブリコラージュし、自分の発想力によってその場を切り抜けられる力を身につけて欲しい。
僕がつくり続けてきた「場」はすべて、そんな願いを込めてつくり続けてきた気がします。
「隠居系男子」というブログも「灯台もと暮らし」というウェブメディアも「Wasei Salon」というオンライコミュニティもすべて、この祈りと共につくってきたといっても過言ではありません。
ーーー
壁にぶつかったときに、ひとは初めてハッとするはずです。「あれ、全然答えがわかんないや」と。
そんなことを繰り返していると「そもそも、答えなんてないんだ」ということにも自然と気づけるようになると思うのです。
逆説的ですが、この「わからなさ」が腑に落ちたときに、人は初めて自分の力でどんなところへでもいけるようになる。
それは「必要なものがすべて揃い、準備が整ったから」ではありません。
「必要なものは絶対に揃わなくて、準備なんて一生整わない」ということに実体験を通して気づくことができるからです。
ーーー
どうしても僕らは、この世界に圧倒的に遅れてきてしまった存在であるがゆえに、すべてが「商品化」されている世界に生まれてきてしまいました。
「あなたがこれからチャレンジする『人生』という旅には、これが必要ですよ、あれが必要ですよ」と、ありとあらゆる商品が既に市場で売られている状態です。
同時に、さまざまな人生という旅の「成功事例」と「失敗事例」も嫌というほど聞かされ続けている。
だからこそ、必要な商品を全て買い揃えた「準備万端の状態」があるのだと錯覚してしまうのでしょう。
でも、必ず準備したことの外側にある「不測の事態」が起きてしまう、それに戸惑ってしまうのが人生です。
そのときに、手元に足りない商品に絶望し、思考停止に陥ってしまうのか。
ないならないなりに、楽しみながらその課題に全力で取り組むことができるのか。
この「準備は一生整わない」ことに気づき自覚するためには、逆説的ですが「環境」や「場」の力で間違いなく解決できると思っています。
だとすれば、その環境や場を整えて、一人ひとりに自らの力で発見してもらうことが、僕らの役割だと思っています。
つまり、迷いの中で歩み出してもらうこと。
あとは、その経験の中で、本人の内側から自然と溢れ出てくるものを待てばいい。そのときに本当に人生に必要な「勇気」も一緒に湧き上がってくるはずだから。
だいぶ抽象的な話になってしまい申し訳ないですが、そんな願いを込めながら毎日このブログを書いたり、Wasei Salonを運営したりしています。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。
ーーー
4月に開催されるWasei Salonの体験会はこちら。
2022/04/14 11:40