「死生学」という学問をみなさんはご存知でしょうか?

あまり馴染みのない学問だと思うのでざっくりと説明すると、

「あらゆる側面から死について学んで、自分や他人が『死ぬ準備』をしましょう。そして健やかに生きましょう」

というものです。


「死」は、ともするとタブー視されがちなのですが、完全に不可避じゃないですか。万人に対して「絶対」なんて言い切れることが少ない世の中で、死は100%訪れるものなわけで。

だったら早いうちに死と向き合って、「死への恐怖」をコントロール出来るような心構えをしておきましょう、と。

まだまだマイナーな学問で、僕自身も最近存在を知って勉強をし始めたので、まだまだ知識は浅いのですが、今回は全く知らない方のためにさわりを紹介していきます。


■□■ 二種類の死 ■□■


「死」というものを大別すると、「自分の死」と「他人の死」の二つがありますよね。

その二つが完全に別物だということは想像に難くないわけで、それぞれで違った向き合い方をしなくてはなりません。


まず、「自分の死」については、体験談を語れる人がいません。当たり前ですが。

ただ一方で、「近いうちの死を宣告された人」というのは沢山います。重い病気を患ってしまった方や、死刑を宣告された方などがそれに該当しますね。

なので、「死の宣告を受けてから、どのように人の感情が変化していくのか」ということについては統計を取ることが出来るのです。それを知ることが、「自分の死」を受け入れるひとつのアプローチになります。


次に「他人の死」ですが、他人と言ってもホントに全く知らない地球の裏側の人の死とかは自分事として捉えづらいので、一旦は「身近な人の死」としておきましょう。

これは普通に生きているうえでは、ほとんどの人が経験することでしょう。なので、「身近な人が亡くなってから、どのような過程を経て立ち直っていくのか」ということを事前に知ることができます。


■□■ 「自分の死」を受け入れるステップ ■□■


ではまず「自分の死」について、死を宣告されたあとに具体的にどのような変化があるのかを見ていきましょう。これについては、下記の6段階のステージがあるとされています。

「①否認 ⇒ ②怒り ⇒ ③取引き ⇒ ④抑うつ ⇒ ⑤受容 ⇒ ⑥期待と希望」


それぞれざっと説明していきましょう。

①否認
「うそだ!自分が死ぬわけないじゃん!」という状態です。

②怒り
「なんで自分が死ななきゃいけないんだ!」というわだかまりのはけ口として、身近な人やお医者さんにぶちまけたりします。

③取引き
「せめて少しでも長く生きたい」と、お医者さんや神様/仏様などにすがります。

④抑うつ
「本当に自分は死ぬことになるんだ…」と自覚し、ひどく落ち込みます。

⑤受容
悟りをひらいたかのように、落ち込みから脱却し、おだやかになります。

⑥期待と希望(※死後の世界を信じる人のみ)
「天国で家族に会える」などのポジティブな期待を抱きます。


■□■ 「他人の死」を乗り越えるステップ ■□■


つぎに、「他人の死」についてですが、こちらは「自分の死」よりも多い12段階のステージがあります。

「①精神的打撃と麻痺状態 ⇒ ②否認 ⇒ ③パニック ⇒ ④怒り/不当感 ⇒ ⑤敵意/うらみ ⇒ ⑥罪意識 ⇒ ⑦空想形成/幻想 ⇒ ⑧孤独感/抑うつ ⇒ ⑨精神的混乱/無関心 ⇒ ⑩あきらめ ⇒ ⑪新しい希望 ⇒ ⑫立ち直り」


①精神的打撃と麻痺状態
ショックを和らげる本能が働き、ぼう然とします。

②否認
「死んだなんてウソだ」と感情的にも理性的にも受け入れられない状態です。

③パニック
「本当に死んでしまった」という恐怖が襲ってきて、極度のパニック状態に陥ります。

④怒り/不当感
被害者意識が生まれ、運命や加害者、自分自身に怒りの矛先が向きます。

⑤敵意/うらみ
やり場のない感情を、故人や周囲の人々に向けてぶつけます。

⑥罪意識
「生きているうちにもっとこうしてあげれば良かった」と自分を責めます。

⑦空想形成/幻想
空想の中で故人が生きていると思い込み、実生活に反映させます。(故人の部屋をそのままにする等)

⑧孤独感/抑うつ
葬儀などがひと段落したあと、ごまかせない寂しさに襲われます。

⑨精神的混乱/無関心
茫然自失の状態になります。

⑩受容
現実に向き合おうという努力がはじまります。

⑪新しい希望
少しずつ笑顔が戻っていき、新しい目標を探し始めます。

⑫立ち直り
ひとまわり成長し、より成熟した人間として歩み始めます。


■□■ おわりに ■□■


とりあえず「死生学」のさわりはこんなところです。

興味がある方はぜひ、日本における死生学の第一人者であるアルフォンス・デーケンさんの本を読んでみて下さい。

今後もちょこちょこ死生学のことについて書いていこうと思いますので、良かったら皆さんもいま一度、「死」について向き合ってみて下さい。