実物やデジタル問わず、ありとあらゆるものを簡単に生成できてししまう時代に、その中で、希少性をいかに生み出していくのか。
そんな「価値づくり」ゲームのような世界線に、完全に世の中の勝負が移り変わってきています。
そして、そのために必要なものが「コミュニティ」であると。
なぜなら、他者が夢中になっているもの欲しがる習性が、人間にはあるからです。
で、コミュニティ内で新たな「価値付け」を行うためには、各メンバーに思う存分活動してもらう必要があって、その報酬設計自体が変わってきてもいる。
それが最近の「トークン」まわりにおける議論なんだと僕は認識しています。
で、僕がそのような議論を見聞きしながら最近よく考えているのは、そうなってくると圧倒的に、発信することよりも受け取ることのほうに価値が生まれてくるのではないか、と。
つまり、報酬設計が変わると、その報酬を受け取るひとの性質自体も変わってくる。
今日はそんな話を少しだけ、このブログでも書いてみたいなと思います。
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従来の世の中において、ありがたい話をする側と受け取る側、両者がどのような位置関係だったのかといえば、発信する側が明らかに優位であり、多額の報酬を得られる立場にいました。
それは世の中に面白くてタメになるコンテンツが少なく、単純に希少だったからです。みんなそんなジブリ作品みたいなものに価値があると思うのだけれど、そんな作品は、宮崎駿さんと鈴木敏夫さんのタッグじゃないとつくれない。
でも、そのようなありがたい作品というのは、中長期的にみたらこれからは無限に生成できるようになる。
そうなると、それを生み出すこと自体に、そこまで価値はなくなってくるはずです。
それよりも、正しく受け取ってもらえることにこそ、価値が生まれてくる。
しかも、相手の立場に立ってちゃんと受け取ることができるひとが、非常に重要になってくると思います。
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ただ、ここで注意が必要なのは、何かを受け取ったフリをするのは本当に簡単で、一方で本当に相手の立場にたって、相手の物語の中からみた意味合いをちゃんと解釈するのは、至難の業です。
これは、何かありがたい話を発信するよりも、より一層高度なスキルだと思っています。自分勝手なひとばかりがいてもダメなんです。
しかも大切なことは、その受け取ったことを、人と人との「記憶」へと昇華させて「共にいた時間」という、AIには決してつくることができないものまでに、高められること。
それは、受け取る側ににしか実はつくることができないものだと思います。
逆にいうと、そういう受取上手な人たちが増えれば増えるほど、コミュニティにおける「価値づけ」という活動自体も活性化していくことになるわけですよね。
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で、ここで、話が少しズレるのですが、僕がトークンを用いて交換条件や取引条件を持ち出してはいけないと思う理由なんかも、地味にここにあります。
なぜなら、その報酬欲しさに受け取ったフリをしようとしてしまうひとたちが急増してしまうから。
たとえば「この投稿を読んで感想をシェアしてください、シェアしてくれた人にはもれなく全員に3トークンプレゼントします」みたいな流れは、一見人が動いているようで、それはただの取引や役務にすぎないのですよね。
Web2のキャンペーン時代においては功を奏していたのかもしれないけれど、それは完全に本末転倒な気がしていて、急がば回れのような気がしている。
ちゃんと受け取ろうと思う人は、そのようなキャンペーンめいた発信に嫌気がさしてどんどん離れていってしまって、一見するとギバーのふりしたテイカーばかりがコミュニティに集まってしまう。
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大切なことは、発信している側のひとが、本当の意味で受容されたという感覚自体を作り出せるかどうか。
その瞬間において、何者にも代えがたい価値や感覚みたいなものが生まれてくるはずで。
ただ、そのような効果効能をもたらしてくれているひとたちは、決して何か目立った活動をしているわけではないのす。だからこれまではあまり可視化されてこなかった。
僕らが受け取り上手な著名人をあまり知らないのと同じです。たぶん、河合隼雄さんぐらいじゃないでしょうか。
でも実は、受け取り上手な人はものすごく特殊なスキルを発揮してくれていて、縁の下の力持ちみたいな存在であって、彼らがいるおかげで、コミュニティは回っているはずなのです。
本来はなにかのクリエイティブをつくって発信しているひとと同じぐらい、しっかりと受け取って伴走していた人たちにも、還元されてしかるべきなはず。
なんだけれども、クリエイティブ至上主義みたいなところがあったので、あくまで消費者や受け手に位置づけられてしまっていた。
でもこれからは、そのような受け取る側、合気道の達人みたいなひとたちのほうが評価されやすい時代に入ってくると思います。
なぜなら、今日のタイトルにもある通り報酬設計自体が大きく変化してくるから。
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つまり、これからの報酬のひとつが「トークン」となるときに、この受取上手なひとが大きくスポットライトがあるんじゃないかというのが、今日の僕の主張です。
昨日Voicyで対談した、みずのけいすけさんの「パーソナル編集者」の話なんかもまさにそう。
みずのさんの話は、絵に描いたような「カリスマ受容者」の話だったなあと僕は思います。
みずのさんは、ニッチな需要を取りに行こうとして始められたとおっしゃっていましたが、みずのさんおひとりに対して100名以上の申込みが殺到していることにがその何よりの証しです。
日本円ですでに実現しているのだから、トークンで実現されないわけがない。
で、もしみずのさんのような「パーソナル編集者」がトークンコミュニティの中に存在していたら、たくさんのトークンを、感謝の印として集めてしまう存在になると思います。
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「そんなことあるか!」と思われるひともあるかもしれないですが、その中で実際にすでにトークンに触れたことがあるひとは、ぜひ思い出してみて欲しいです。
自分自身が一体どんなときに、トークンを贈りたくなるのか、を。
きっと、自分が何かしら投稿した内容に対して自分の心が満たされるような形で、ちゃんと受け取ってもらったときのほうが他者にトークンを渡したくなると思うのです。
Wasei Salonメンバーなら、どんなときに相手に対して100Pを贈りたくなるかを考えてみてください。
良いものを書いてくれたとき以上に、気持ちよく受け取ってもらったときにポイントを送っていませんか?
それは、たとえブログのようなアウトプットの形であったとしても、そのアウトプットは間違いなく、先に受け取ってもらったからこそ、書けているものになっているときじゃないですか。
たとえば、タオさんのブログなどは、毎回そのようなタイプのブログになっていて、本当に受け取り上手な方だなあと、僕は毎回感動してしまいます。
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実際、僕は毎日Voicyを配信していて、けんすうさんのスローストークンコミュニティ内において、「みんなの学び」のトークチャンネルの中で、僕のVoicyの内容から受けとったものを丁寧に言語化しながら書いてくれているひとには、何かしらのお礼をしたくなって、日々トークンを送っています。
このように、発信した側が受け取ってくれたひととのつながりを感じ、ふつふつと感謝の念みたいなものが湧いてくる。
そのときにトークンという対価や価値を、内包したものは非常に便利。
よくよく考えるとこれも当然で、発信する人間は、前提条件として何かを「伝えたい」という目的があって発信をしているのであって、その需要を理解ししっかりと受け取る、という意味で、ちゃんと需要と供給がマッチしている。
この受け取る循環が健全に機能している場所が、これからは価値のあるコミュニティになると思います。
言い換えると、私のこの想いを確かに受け取ってくれる相手が、ここに存在していると信じれる空間が、これからは非常に重要になるんだろうなあと。
なぜなら、繰り返しますが、これからは面白くてタメになるコンテンツは誰でも簡単につくることができるようになるからです。
受け取られ方のほうが、圧倒的に希少価値が高まっていくのは間違いない。
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この点に関連し、いつも不思議なのは、web3やDAOの話になると、すぐにインセンティブ設計やリワード設計の話になりがちなところです。
でも今日語ってきたような理由から、それは半分正解で半分嘘だと僕は思っていて。
リワードが結果的にあってもいいけれど、リワード自体をメインの目的にしちゃいけない。
結果的にそこで食っていける人が自然発生的に生まれてくるだけであって、それで食えることを目的とする人を集めちゃいけない。
儲かることを目的にすると、それはその瞬間に商取引や役務の遂行になってしまうからです。
それだと、今日書いているような両者の心が満たされるような関係性や体験は生まれてこない。
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最後に、これは僕がWasei Salonを対話の空間としてつくっていこうと思ったときに、強く実感したことでもあるのですが、
僕は最初、上手に意見表明したり上手に話せたりすることができるひとを集めることが大切だと思っていたんですよね。
でもそれは、完全に間違っていました。
そうではなくて、上手に聞けるひとが集まっている空間や場であることのほうが圧倒的に重要。
喩えるなら、優秀なピッチャーではなく、優秀なキャッチャーが集っているコミュニティが一番いいコミュニティだなあという確信が、いま僕の中に強い実体験を伴って存在しています。
ただし、そのようなひとたちを集めるのは、本当に至難の業。だからこそ、その心地よい循環に惹きつけられて、自然とコミュニティの中に人も増えていく。
このWasei Salonの現状も、奇跡のような空間だと思っています。もう一度同じものをつくれと言われても、まず不可能。
さらに今ここで、トークンが登場し、そんなふうに丁寧に受け取ってくれる方々に対して価値がしっかりと還元される構造を、生み出していくことができるようになったわけです。
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何はともあれ、これからは「プロ受容者」みたいなひとたちが生まれてくる。
相手を喜ばせる形で受容しているひとが報われる世界線の誕生です。いよいよ、ここに明確な目に見える形で価値が生まれてきた。
みずのさんとの対談の中でも話題になりましたが、河合隼雄さんみたいなひとが、一番わかりやすく評価をされる時代に、突入していくんだろうなと思います。
今日のような話は意外と誰も語っていないけれど実はトークンエコノミー革命の大本命の部分だと、僕は密かに思っています。
もちろん、口だけではなくて、これから自分自身も、丁寧に受け取ってくれるひとたちに対してしっかりと価値が還元される仕組みを構築していきたい。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。
2024/03/28 20:53