最近、ネット上で頻繁に語られているweb3への進化の兆し。

このWasei Salon内でも、すでに何度か勉強会を開催してきました。

一般的な議論を聞いている中で、僕がよく思うことは、過去10年間でガラケーがすべてスマホに置き換わったように、これからはweb2がすべてweb3に置き換わってしまうという発想を抱いているひとが、あまりにも多いなあということです。

でも実際のところは、生物の進化論と同じで、その間のグラデーションや選択肢が増えるだけなのだと思います。

たとえば、約3億6千万年前から姿を変えずに生息しているシーラカンスのような生き物もいれば、10万年前に誕生したばかりの人間(ホモ・サピエンス)のような生き物もいる。

もちろん、その間に位置するような両生類や、チンパンジーやゴリラのような霊長類だって今も変わらずに生息しています。

ここに生物としての優劣などは一切存在せず、ただただ生物のバリエーションの話であり、多様性の問題です。

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Web3の話も、この生物の進化論と同様に、web2とweb3の間に新たなグラデーションが誕生するというだけなのだと思います。

そうすると、既存の社会の中で生きづらさを感じていたひとや、強い違和感を感じていたひとたちにとっては、これまでにはなかった新しい可能性が広がってくるわけだから、新たなフロンティアに移動するように、そちらにドンドンと移行してみればいい。

実際、過去10年間の「インフルエンサー」や「YouTuber」の誕生なんかもまさにそのような状況でした。

それまでのマスメディア一辺倒の社会の中で、明らかな生きづらさを抱えていた人たちが、自分の「得意」や「好き」を自ら発信することができるようになり、社会の中で自分たちの居場所をつくっていくことができた。そのような変化は、まだまだ記憶に新しいかと思います。

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もちろんその一方で、10年前と一切変わらずに、伝統工芸の職人さんや行政の職員さんのような従来型の職業だって相変わらず存在している。

ここに職業的な優劣は存在しません。

同様に、これからweb3の分野に大きな波がやってくることは間違いないのだけれども、だからといって、以前のweb2的な概念や職業が完全に消滅するわけではないです。

この点、以前NHKのドキュメンタリー番組に出演されていた養老孟司さんの言葉が、僕の中では強く印象に残っています。

「現在の地球上の生物は『生きるとはこういうことだ』という解答集。成るべくして成っている、この世の中は。」


これから新しい可能性がどれだけ出てきたとしても、成るべくして成ることは間違いない。だからこそ「変化に置いていかれる」と焦る必要もまったくないのだと思います。

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それよりも、本当に大切なことは、現状の社会で生きづらさを感じているひとたちが、新たなテクノロジーを正しく理解し、その恩恵を正しく受けることによって、より暮らしやすい社会が現実のものとなろうとしているという近未来に対して、ちゃんと自覚的になることです。

とはいえ、現状のweb3の多くの議論(特にNFTまわり)は、真逆の方向に進んでしまっているように感じます。web2的な世界観や中央集権的な発想のまま、その可能性だけが喧伝されて、より一層格差が広がる方向性へと向かっている。

こんなときこそ変化を正しく見据えて、ゆっくりと自らに問い続けることが大切です。繰り返しますが、慌てる必要なんて全くないと僕は思う。

本当に自分たちが求めている理想とは何かを一つずつ丁寧に言語化し、お互いにそれらを確認し合いながら、辛くて悲しい思いをする人がひとりでも減っていくように新たな可能性へと愚直に邁進することができたらいいなあと思っています。

そのためにも、このサロン内でweb3の勉強会をこれからも淡々と開催していきたい。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となったら幸いです。