先週末、Podcast番組「なんでやってんねやろ?」とWasei Salonの関西忘年会が、京都と大阪で連日開催されました。
どちらのイベントも、本当にとっても楽しかったです。
Podcastに関しては、明日の月曜日から早速順次配信されていく予定です。(もんさん、編集本当にどうもありがとうございます!)
配信されたら、ぜひみなさんにも実際に聴いてみて欲しい内容となっています。
(追記:配信されました!)
で、今日はこのふたつのイベントを振り返りながら、両イベントに共通して感じたことを、このブログに書いてみたいなと思います。
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さて、どちらのイベントも、昨年の2024年に続き、今年が2回目の開催でした。
昨年もほとんど同じタイミングで開催されていて、本当に自然と「今年もやりましょう!」という話の展開になったんですよね。
まずは、それが個人的にはものすごく嬉しかったことです。
そして何よりも、もっともっと嬉しかったことは、どちらのイベントの終了間際にも、来年、つまり2026年のお話が自然と出ていたことです。
僕ら運営や企画側が「来年もやりましょう!」と宣言するのではなく、参加者の側から「来年も同じように開催されること」がまるで当たり前のように語られていたこと。
そのことに、なんだか深く感動してしまったんですよね。
気負いもなく、ほんとうに自然と「来年も必ず参加したいです!」そうやって言ってくださる方々がたくさんいてくれたことが、何よりも個人的には嬉しいことでした。
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これって、ほんとうに「関西圏の文化」だなあとしみじみ思います。
なによりもまず、「続くこと」に価値を見出してくれているということ。
「今年行われたことが、また来年も同じようにおこなわれている」それがいちばんの価値として捉えられていること。
また、そこに何か過度な期待が付与されていないことも純粋に嬉しい。言い換えると、規模拡大は、あまり重要な論点じゃないと思われている。
それよりも、そこに参加するひとたちの参加の満足度が優先されていること。そして「みんなで共にそんな場をつくり出そう」としてくれていること。
映画『日々是好日』で描かれているような、あの文化にものすごく近いものだなと思います。
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そして、とはいえ完全に閉じてしまうわけでもなく、常に開かれている状態も目指されている。
去っていく人や新しく参加する人もいて、去年とまったく同じ状態ではなくとも、諸行無常のように受け止める覚悟。
そこに携わる人々が、常に少しずつ入れ替わることが前提であって、昨年と同じイベントや忘年会自体が続くことが前提となっているんです。
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これが東京だと、なかなかそうはいかないなと思います。
来年行うための意味や価値、生産性や規模拡大が必ず求められる。
「今年は去年よりも大きく、来年は今年よりも更に盛大に!」と誰が言い出すわけでもなく、そのような昨年からの飛躍が間違いなく求められるはずです。
そして、その時には、チームの成因はまったく同じであることも求められやすいなと思います。アイドルグループとかは非常にわかりやすいですよね。
そんな東京的な期待も、ほんとうにありがたいことだけれど「でも果たしてほんとうにそうなんだっけ?」とも最近は強く思うんですよね。
逆に言うと、そういう右肩上がりの幻想を共有している、そういう物語こそが至高だと思われている状態が関東的価値観であり、脳化社会の帰結だなと思います。
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それが悪いとは思わないし、僕自身も、そんな東京的な文化も大好きです。
でも、その期待の裏返しで潰れてしまっているヒト・モノ・コトもたくさんあるなと思うのです。
それよりも、ほんとうに僕らが求めていた空間や時間、その共有というのはむしろ「続く」が続いている状態なんだろうなあと。
もちろん、続けるために、誰かが疲弊していたり搾取されていたりすることは違う。
でも、そうじゃないのであれば、もっともっと続けること自体に価値をおきたい。
これは、先日サロンの中に投稿した「チームとコミュニティの違い」の話にも通じるなと思っています。
https://wasei.salon/profile/1042f414530e?tab=myline&page=5&message_id=11030194
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そして、その継続する時間、同様に繰り返す季節のなかで、お互いに遡及的に気付いていくことを大切にする文化感。
それは、先日のプレミアム配信のなかで、おのじさんがおっしゃっていたことと見事につながります。
言い換えれば、すぐすぐにはわからないことだって、長く続いていくなかで「あの時のあの話はこういうことだったのか!」という発見がきっとある。
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Wasei Salonも丸7年が経過し、来年は8年目に突入します。
Podcast「なんでやってんねやろ?」も、毎週月曜日に欠かさず配信を続けてきて、配信回数も100回を超えていて、来年の1月からは、ついに3年目に突入します。
どちらも、急速な拡大が行われているわけではない。
いわゆるな東京のベンチャーやスタートアップみたいに、倍々ゲームで成長するとか、社員や関わる人達、ユーザー数が一気に増えるというわけでもない。
そもそも、参加者同士の利害関係さえ深くはない。
でも、そうやって、長い期間を通じて淡々と続いていくことで、そして過度なコミットをお互いに求めていないからこそ、共有できるものがあるんだろうなあと思うんですよね。
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うまく言えないですが、去年と変わらずに続くことにで着実に何かが耕されていると感じているし、何かが育っている感覚はものすごく大きいです。
それはやっぱり奈良ご出身で、京都でベンチャー企業を立ち上げて日々、野菜という植物に触れている坂ノ途中の代表・小野さんから学んでいるところも、非常に大きい。
どうしても僕が、都市文化的な視点を持ち込み、猪突猛進になってしまうときに、良い意味でブレーキをかけてくれるというか、直接僕宛ではない形で、言葉の中にヒントをたくさん散りばめてくれている。
それがほんとうにありがたいなあと感じています。
勝手に僕がそう受け取っているだけかもしれないけれど、日々たくさんのことを小野さんの言葉から自分宛てだと思い込んで学ばせてもらっています。
当然、イケウチオーガニックの池内代表や益田さんもそう。もっともっと、オーガニックに成長していく価値を、おふたりも望んでくれていることも節々から伝わってくる。
そして、僕が自らの人生の「はたらく」を通じて、ほんとうに耕したかったことはこれだったんだ!と毎回ハッとさせてもらえるのです。
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Wasei Salonも同様です。
メンバーのみなさんが、下手に過度な期待をせずに、今年の延長として、今年と同じような安らかな時間が続き、変わらず存在してくれていること自体を望んでくれていることが、本当にありがたい。
僕ら運営としては、どうしても「拡大しなきゃ、もっと大きな風呂敷を広げて、もっと大きな物語を共有しないと満足してもらえないんじゃないか」という不安やプレッシャーに押しつぶされそうになる瞬間も正直あります。
それはどこの会社の経営者も、コミュニティオーナーも同じプレッシャーを抱えているはず。
でも、関西に行くたびに、そんなものは主たる目的や価値ではないと、頭をガツンと殴られる瞬間があるんですよね。
しかも、批判的な声としてではなく、みなさんの笑顔やその携わり方において一期一会を大事にする姿勢を肌で実感させてもらいながら、感じる部分が非常に大きい。
関西の文化の中で生まれ育ち、その感覚をネイティブとして備えてくれているメンバーがいてくれていることは本当にめちゃくちゃ大きいなと思っています。
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とはいえ、最後に完全にすべてをひっくり返すようなことを書くのだけれど、自分自身への戒めとして、同時に書いておきたいことは、
また、来年があると甘んじるわけでもなく、たった一回であり、今回がほんとうに最後の最後だと思って臨むこと。
そのような覚悟で企画したいし、自らも携わっていきたい。
たとえ今回がラストで、今生の別れ、最後の機会となってしまったとしても、それでも決して悔いが残らないように、後悔がないように、と全身全霊で取り組みたい。
これからも長く続いてくだろうと期待できるものに携わるときこそ、先日もご紹介した、詠み人知らずのあの言葉を思い出したいなあと思うのです。
「私はこの世界を一度きり通り過ぎるだけだ。
だから、誰かにしてあげられる善いことや親切があるなら、今すぐしよう。
先延ばしにしたり、ないがしろにしたりしないように。
なぜなら、私は二度と同じ道を通ることはないのだから。」
明日死んでも後悔がないように、他者に対して親切にしたいし、来年もまた必ず同じイベントや企画が訪れることを信じて永遠に生きるように問い続けたいし、歩み続けたい。
これが、きっと本当の意味での一期一会なんだろうなあと思うのです。
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また来年も同じように行われるということは、決して当たり前のことなんかじゃない。それはむしろ奇跡に近い。
東京のようにお金のつながり、利害関係があるほうが、強制的に来年も必ず実行できる。
逆に言えば、だからこそ東京は、利害関係や資本で繋がろうとするのかもしれない。
でも、直接的な利害関係が存在しなければ、ひととひととの深いつながり、そんな貨幣では決して換算することができない信頼を担保にする以外ないんだろうなあと思います。
だとしたら、その信頼をまたここから1年、淡々と丁寧に耕していきたい。
来年も同じ時期に、こうやって今日という同じ豊かさを迎えられるように、です。
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僕が、関西のみなさんから直接交流する中で日々学ばせていただいていていることを書き残しておきました。
年末特有のこの時期に、ほんとうに唯一無二のありがたい体験をさせてもらっているなあと感じます。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら、幸いです。
