最近モヤモヤと考えている今後の個人ブログの方針について、結論だけではなく、その思考過程も含めて少し書き残しておきます。

僕は、以前書いていた「隠居系男子」というブログから含めると、もう気づけば10年以上、平日毎日無料で読めるブログを書き続けてきました。

内容は、自分が日々考えているが中心。です一昔前の言葉を使えば、考察系ブログや雑記ブログというジャンルのブログになります。

でも、いよいよその毎日更新を続けてきた無料ブログを、今年の4月から辞めてみようと思います。

じゃあ、これからはどうしていくのか。

まず、その結論からお伝えすると、これからは「有料コンテンツ」として、毎日Wasei Salon内に「限定公開ブログ」をあげつつ、同じ内容を「noteの有料マガジン」内に公開していきたいなあと思っています。

今日は、その理由について、その思考過程も含めて書いてみたいと思います。

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この宣言を読んだひとのなかには、「鳥井も、いよいよ本格的に金儲けを始めるのか」と思われている方もいるかもしれません。

でも、今回の決断の目的は決してそこではありません。

それよりも、これからの時代には、そうすることのほうが「自分が本当に書きたいと思うもの」を書けるようになるのかなあと考えたからです。

逆説的ではあるのですが、そのほうが届く人にちゃんと届くような気がするのです。

それはここ数年、特にコロナ以降、ブログで本当に自分が書きたいことをかけていないのではないかと思うような気持ちが強くなってきたことも、かなり大きな要因です。

で、僕が思うのは、これは「無料で誰でも読める」という環境要因も非常に大きいのではないかと。

そしてきっと、これは僕だけの問題じゃない。

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別の言い方で言い換えてみると、世間にリベラルやポリコレの意見があふれかえるようになったその根本的な理由は、時代の空気がまさにそうさせているのであって、その時代の空気というのは、間違いなく過去10年間に、一気に一般化したSNSにその原因があると思っています。

つまり、SNSをきっかけにして、世の中が1億総発信者社会となり、みんなが共感やバズを追い求める社会となり、その反面、副作用でもあるのが「炎上」でもあるわけですよね。

そんな社会背景のなか、なるべくそのノリに迎合したような記事や、衆愚化に向かわないような記事を書こうと気をつけて書いてはきましたが、でも明らかに自らの中に「掘っていない井戸」があるなあと思ったのです。

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この点、僕は、作家・村上春樹さんの「小説を書くとは、井戸掘りをする感覚に近い」というお話が非常に大好きなのですが、あの比喩をお借りすると、ブログを書こうと思ったときに、最初から明確に自分の中で掘ろうさえしていないエリアがあるなあと思ったのです。

言い換えると、無意識のうちにメンタルブロックが働いてしまっていたなあと、ハッとしたのです。

じゃあ、なぜそんなメンタルブロックが存在しているのか。

それは「どうせそっちで掘り当てた井戸というのは表で言えない可能性が高いから、最初から考えない。掘り進めても仕方ない」と思っていたのだと思います。

でも、文章を書いたことがある方は、よくよくご存知だと思うのですが、文章は書いてみないと本当に自分が書きたかったことが何なのかはわからない。

「まさか自分はこんなことを考えていたのか!」という発見や手触り感のある感触は、実際に筆をとって書き進めないと、絶対に立ち現れてはくれない。

つまり、掘り始めてみないと、そこから何が湧き出してくるのかわからないのです。

にもかかわらず、掘り始めようとさえしていないエリアが自分の中にあるという事実に、なんだか驚愕したのです。

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繰り返しますが、現代は、みんながSNSで公開できるような井戸しか掘ろうとはしません。

つまり、先に発信ありきなのですよね。だから、自然と内容もポリコレやリベラルな内容が中心になってしまう。

主従が、逆なんだと思います。

1億総発信者社会になったから、結果的にリベラルとポリコレの思想が世界を席巻した。でも、本来、個人が行うべき井戸掘りというのは、きっとそういうことじゃない。

自分自身、ここをちゃんと深めていかなければ、次の成長へと進めない気がしたのです。

このまま毎日無料ブログだけを書き続けていると、なんだか自分がテレビタレントやワイドショーのコメンテーターみたいになってしまうなあと思ったんですよね。

そのうち、それが「私」の考えそのものになってしまう。

そりゃあ当然ですよね、私なんて確固たるものは最初からそもそも存在していなくて、あくまで周囲との関係性の中で「私」というものは規定されているにすぎないのだから。

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また、こちらも非常に重要な点なのですが、最近話題のChatGPTの登場というのもも、ちろんかなり大きいです。

ポリコレとリベラルの源泉が湧き出してくる井戸を掘るのは、圧倒的にChatGPTのほうが得意であることは、もう完全に周知の事実だと思います。

そのエリアは、もうこれからは全自動で掘り続けられるというこは、はっきりしました。

この点、自分で考えることが面倒くさいと思うひとは、一ミリも自分で考えようとせず、そんなAIが吐き出してきた「正論」をあたかも自分のもののように切り貼りしていくのでしょう。

一方、ChatGPTが今の所まったく掘れない場所が明確にあることもわかりました。

それが、自分がこれまでに全く掘ろうとしてこなかったエリアだと、気づいたのです。

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さらに自分が読者や視聴者側のときの視点を付け加えてみると、もう自分が無料や広告付きのものを視聴者としてインターネット上でほとんど見ていないなあと。

テキストコンテンツにおいては、圧倒的に電子書籍が中心で、それに有料メルマガとnoteの有料マガジンを少し。

また、音声コンテンツは、Voicyとオーディオブックが中心です。

そして映像コンテンツは、NHKオンデマンドやシラスなど再生数には囚われていない骨太コンテンツが中心です。

あとは、You Tubeで養老孟司さんのメンバーシップコンテンツを観ているぐらい。

このように、ことごとく無料のものを、もうまったく自分が見ていないことに気がつきました。

なのに、自分が無料のコンテンツをつくりつづけているのも、なんだか違うなあと。

むしろ、有料にしたほうが、本当に自分が出会いたいと思うひと(それは僕の中にいる、別の他者も含む)と、本当に出会えるという逆転現象が生じてきているなあと思ったのです。

現代において、広く当たり障りのないことを発信するのは、もう逆効果になってきた。

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ということで、今年の4月からは、無料公開のブログは一旦やめてみようと思います。

今後は、引き続き平日毎日ブログ自体は今まで通り書き続けていきますが、それはWasei Salonの限定公開ブログで公開しつつ、全く同じ内容のものを、noteの有料マガジンの方にも合わせて公開していきたいと思います。

ブログだけを読み続けたいよという方には、noteの有料マガジンに登録していただきつつ、テキストだけではなくWasei Salonのイベント、具体的には「読書会や対話会も参加してみたいよ」という方は、Wasei Salonのほうに参加してもらえると嬉しいなと思っています。

また、音声でブログの内容を聴き続けてたいという方は、引き続きVoicyでお楽しみください。

今のところ、音声は炎上リスクが少ないと思っているので、Voicyは無料のまま配信してみようと思っています。

ただ、実際にブログの書き方をガラッと変えてみて、これは音声であっても、無料で公開するのはやっぱり違うなと思い始めた場合は、プレミアムリスナー制度の方にも果敢にチャレンジしていきたいなあと思います。

Wasei Salonへの入会ご希望の方は、毎月開催されている体験会イベントに必ず参加していただく必要がありますので、ぜひまずは、体験会イベントにご参加ください。

詳しくはWasei Salonの公式Twitterアカウントをご覧ください。


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本当は、4月になったら今後の方針を変更することだけをお伝えしようかと思っていたのですが、意外と似たような気運を直観的に感じ取っていて、悩んでいるひとは多そうだなあと思ったので、その思考過程もお話してみました。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても何かしらの参考となったら幸いです。