Podcast番組「IKEUCHI ORGANICと坂ノ途中のなんでやってんねやろ?」の最新回。

またまた、とても良いお話がされていました。


それが今日のタイトルにもある通り「1年単位で見れば、徒労感があるようなことであっても、10年単位で一気に振り返れば、そこには大きな変化が存在している」というお話です。

これがあまりにもいいお話だったので、今日のブログの中でも、この話をみなさんにもご紹介しつつ、私見も合わせて書いてみたいなと思います。

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今回の配信では、坂ノ途中の社内のメンバーでもある、あっすーさんがゲストとして参加してくれていました。

そのあっすーさんが質問として掲げてくれたお話が、「両社それぞれが、オーガニック製品や環境に優しい有機農業の事業を取り組み始めるようになってから、今までの間で変わった風向きや周囲の変化はありましたか?」というような質問です。

IKEUCHI ORGANICの場合、オーガニックタオルを自社で作り始めてから、もう既に25年が経過をしているそうです。

昔は、オーガニックのタオルに対して「色がついていることは、オーガニック製品じゃない」と、それこそ色物として見られてしまい、後ろ指をさされていたと。

それぐらい当時のオーガニック製品には、染色も何もしていないことがオーガニック製品である、という原理主義的な人が多かったらしいんですよね。

でも、近年、特にこの10年間では、オーガニック製品に染色されていても誰も何も言わないようになったそうです。なんなら、当時、後ろ指を指してきた同業者たちも、自分たちの製品に染色をしているようになってきているとのことです。

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坂ノ途中さんの場合もそう。

今年で創業15周年が経過しているけれど、環境へ優しい負担の少ない農業というのが、当時はまだまだ変わった意見ですね、というような時代だったそうです。

新規就農者の方が、有機農業に取り組むなんて、10年前にはありえないことだった。

自治体の首長のようなひとでさえも、「農家は、家が代々農家のひとしかできない」そんな遺伝的な才能のように、当たり前のように語っているのを日々目にしていたそうです。

今考えると、ものすごく差別的だけど、昔はそのような意見が当たり前だったそうなんですよね。

でも今や、当たり前のように地域にU・I・Jターンをして新規就農を目指す若い世代も増えているわけです。

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このように両社ともに、最初は色物としてみられていたけれど、ちょっとずつではあるけれど、世界は着実に自分たちの目指していた方向に変わって来ていると語られていました。

で、そこで小野さんが仰っていたのが、「1年単位で見れば徒労感が強く、何も変わっていないように思えてしまうときもある。『おれ、この1年なにしていたんだろう…?』と思ってしまうような場合もある。でもその10年単位で一気に振り返ると、結構大きく変化している」という話です。

僕はこの表現を聴いたときに、本当に膝を打つような想いでした。

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昨日ご紹介したオーディオブックのオトバンクさんの話なんかも、まさにそうなんですよね。

20年前のオトバンクさんの創業当初は、まだiPhoneさえ登場していなかった時代です。

それぞれがパソコンにDLをして、各人のiPodに有線でつなげて、それぞれが1作品ずつ持ち歩いていたような時代。

それが今やiPhoneで当たり前のようにDLして、AirPodsのような無線イヤホンを使ってノイズキャンセリング機能が搭載されたイヤホンで、みんなが音声コンテンツを日々楽しんでいるような状況です。

亀のような遅々とした歩みに思えた当時の状況から考えると、本当に隔世の感があります。

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社会人経験を12年ぐらい経験すると、このような変化の実態がよく分かるようになるなと思います。逆に言うと、自分自身で事業を仕掛けてみて12年ぐらい、ちょうど干支が一周回るぐらいに世間の流れを経過してみないと、真の意味でこれは理解しにくいことだなあと。

株式会社Waseiも、今年の9月で10周年を向かえていて、僕の文脈で言えば「コミュニティ」はそれぐらいの大きな変化したのを、実際に目の当たりにしてきました。

当時、「シナプス」という初期のオンラインサロンのプラットフォームを活用させてもらっていた時代から考えると、約10年近い期間が経過している。

1年毎に振り返ると、紆余曲折や失敗と成功が入り混じり、本当に徒労感のほうが圧倒的に大きかった。1年では、何も変わっていないように思えて、理想的な世界は思い描けるけれど、やっぱりダメだったじゃないか…と諦めたくなるような日も山程ありました。

でも今はもう、サブスク型のコミュニティも当たり前になっているような時代です。誰も、新興宗教とか「怪しい」とかは、ほとんど言わなくなった感覚があります。

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それは、コミュニティ側がドンドン企業的になっていき、一方で会社がドンドンとコミュニティ側に寄ってきているというような変化も、かなり大きいと思います。

このあと、団塊の世代が引退し、さらに若い世代の働き方の価値観が一般的になってくれば、出戻り自由な会社も当たり前になっていくだろうし、そうなってくると自然と企業はもっともっと「コミュニティ型」に向かうはず。

一方で、既存のオンラインコミュニティも「居場所要件」が満たされれば、次はそこに所属する者同士での創作活動に向かうことも間違いなくて、その中で結果的に生産活動や「はたらく」が生まれてくる。

さらにそこに、web3やDAOのような価値観も合流してくることは時間の問題だと思います。

もちろん、一年単位で振り返ると「三歩進んで、二歩下がる」というような状況は続いているのですが、でもそれもきっと10年経てば、間違いなく大きく変化はしている。

そう考えると、これからの10年は本当にとても楽しみだなあと思います。

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で、これは逆に言うと、それぐらいの長期の視点で眺めないと、本当の意味で常識や世界観、人々の生活様式をガラッと変えてしまうような事業を立ち上げることはできないということだと思うんですよね。

短期での成果ばかりを観てしまうと「何の役にも立たない。事業としても、黒字化できないから今はやめておこう」という判断になる。

そして、その判断というのは決して何も間違っていない。実際にその通りなんです。1〜3年の単位で考えてしまえば、その通りで、ぐうの音もでないほどの正論なわけです。

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実際に、イケウチさんのような事業も、坂ノ途中さんのような事業も、オトバンクさんのよう事業も、僕らのようなコミュニティのような取り組みも、1〜3年で成果を出そうと思えば、本当にやる価値なし。

ただただ徒労感だけを感じ取って終えるだけ。

だから、多くのひとは始めようとさえしないわけです。でも、ここに一番大きな落とし穴があると僕は思っています。

なぜなら、そうやって、可能性を感じても、普通の企業やビジネスマンなら合理的な判断のもと、一切手を出さないからです。

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でも、そこに自分が可能性を感じるのであれば、中長期視点で取り組んでみる価値がある。

短期視点の人々は、あまりにも賢すぎるがゆえに、誰もそんな面倒くさいことはやらない。だからこそ、なんですよね。

そして実際に、亀のような歩みで1年単位で徒労感を感じつつも、10年一気に振り返って見れば、驚くほど大きな変化が起きていて、そこでは埋められない経験値や、壁が存在してくれている。

そのときにはもう、唯一無二の状態にあるかと思います。

それは、今からIKEUCHI ORGANICさんを超えるタオルメーカーや坂ノ途中さんのような会社をつくろうとしてみても、一朝一夕では決して到達できないように、です。

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3〜5年ぐらいのスパンで眺められたら「なんでそんな儲からないことを、やってんの…?」とバカにされてしまうような事業こそ、10年先の大きな変化を見据えて、淡々と取り組んでいきたいものです。

5年も続けば、その先にある10年後の未来は本当に驚くほど、大きく世界は変わっているはずですから。

また、それがもし30年も経過すれば、今度は群言堂さんのような町と確固たるひとつの揺るぎない「文化」が完成している。

その大きな変化を見据えて、淡々と取り組むことができるかどうかが、いま僕らには試されていると思います。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。