本日発売された前澤友作さんの新刊『国民総株主』をさっそく読み終えました。
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前澤さんはカブアンドのプロジェクトをスタートさせてから、怒涛の勢いでメディア出演をされていて、そのインタビューや対談動画も一通り観ていましたが、本書の中で初めて語られていたお話などもあって、とってもおもしろかったです。
あと、Kindle版でも本当にサクッと株がもらえて、これはすごい。革新的だなと感じました。
この新しい体験をしてみるだけでも、実際に本を買ってみる価値があるなと思います。
さて今日は、この本を読んで感じた僕の感想と、来年以降、ますますカブアンドが見据えている世界観が広がっていくときに、一体僕らは何を意識しておけばいいのか、そんな私見みたいな話を書いてみたいなあと思います。
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まず、僕が本書を読み終えて全体を通して感じたことは、前澤さんはきっと、カブアンドを通じて「企業が株を配る」というスキームそれ自体を広げたいんだろうなあということでした。
言い換えると、カブアンドという会社だけでこのスキームを成功させたいわけではなく、カブアンドという会社で最初の成功事例をつくったうえで、それに続く企業が多数現われて欲しいと望まれている。
そして、それは上場できるような規模感の企業だけに限らず、街のなかのお店、具体的にはラーメン屋さんなんかでも実現されれば良いと本書には書かれてありました。
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ということは、カブアンドは「FiNANCiE」みたいなトークン発行プラットフォームをきっと目指すのだろうなと思います。
もちろん、本書の中にその内容が直接的に書かれていたわけではありません。
ただ、僕は読みながら直感的にそんな感じを受けたし、これは「そうなって欲しい」という僕の願望が多分に含まれている話でもあります。
たとえば、本書の中では、以下のような話が実際に語られてありました。少し引用してみたいと思います。
「今どきポイントも出してないの?」というのが「今どき株も出してないの?」という具合になっていく。こうなってくるといよいよ本当に「国民総株主」の世界が見えてくると思うんです。
「ビール1杯無料」みたいなノリで株を配ることができたら面白いですよね。
今は、そんなことをしようと思っても、あげるほうも、もらうほうも手段がない。特に、もらうほうは証券口座が必要とか面倒くさいことになる。ここも変えていきたい。
たとえば、そういう店内のポップでもなんでもいいんですが、「株あげますよ」の横にQRコードがついている。それを読み込んだ瞬間に、自分のアプリのどこかに株がピッと入ってきて勝手に貯まっていく、みたいな。で、売るときだけ証券口座が必要ですよ、みたいな。
株を始める人のハードルのひとつにもなっている証券口座の開設をしなくても、株が受
け取れるような仕組みができると面白いなと思っています。
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前澤さんはこれを「プレ証券口座」と本書の中で表現されていたのですが、それを実現させようとすれば、カブアンド自体がその「プレ証券口座プラットフォーム」を提供するのが一番手っ取り早いはず。
つまりカブアンドは、上場後には今のFiNANCiEのようになり、カブアンドの株式は、コインチェックに上場されている「FNCT」みたいになりそう。
実際にカブアンドの株式は、証券会社で取引できる上場株式になり、本当の証券口座で日本円に換金できるようになる(可能性がある)わけですからね。
逆に言うと、それ以外はカブアンドが提供するであろうプラットフォームの中のポイント(トークン)発行だけができればいい。
そして、それがそのままカブアンド本社の株式とも交換できるみたいな形になっていくんだろうなと思います。
その中でのレートの計算などは、いろいろと煩雑で難しくなるかもしれないですが、基本的には現状のように「カブアンドの株式との引換券」になれればいいわけだから。
きっと、カブアンドが提供するプラットフォーム内で擬似的な株式(トークン)発行を行う、そのためのアプリをつくっていくんじゃないかと思っています。
まさに、緩やかなトークンエコノミー経済圏づくりのようなことが始まっていくんだろうなと。
そしてその経済圏自体が、たぶん大きな派閥っぽくなっていくような気もします。それはちょうど今の楽天経済圏や、dポイント経済圏のように、です。
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で、僕が思うのは、自らが上場を目指す規模感の企業規模ではない限り、このプラットフォーム選びは、これからかなり重要になると思っています。
通販を始める際に、楽天なのかAmazonなのか、はたまたZOZOなのか、みたいな話だったり、クラファンで言えば、CAMPFIREなのか、Makuakeなのか、READYFORなのか、みたいな話。
このトークンエコノミー自体が、今のポイント経済圏のように一般的になってくれば、最終的にはすべてが似たようなところに収斂していくとは思いつつも、その勃興期においては、それぞれのプラットフォームごとに大きな文化の差が出てくると思います。
また、経済圏の場合は、それぞれの小さなコミュニティごとの連携も非常に重要になるわけですからね。
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で、だとしたら、FiNANCiEで無理やりトークン発行をせずに、自分たちに合った世界観を重視していくほうが大切だと思います。
そして、どのプラットフォームに乗っかっていくかを選ぶタイミングも必ずやってくる。つまり、それまでに、自分たちが理想とする経済圏や世界観を同時に構想・構築しておくことが各コミュニティや会社ごとに重要になってくるんじゃないでしょうか。
この点、少なくとも僕は、今のFiNANCiEには正直ほとんど魅力を感じなくなってしまいました。
確かにトークン単価を上げていくうえで行うべき施策としては、一切何も間違っていないのだろうけれど、それゆえに、あまりにも資本の論理に振り切りすぎている気がします。
その結果として、ここ数ヶ月のFiNANCiEは、なんだか殺伐としすぎている印象を受ける。個人的にはこのような世界観があまり得意ではありません。
もう何度も繰り返し書いてきましたが、僕がトークンエコノミーに希望をいだいている点は、自分自身の資産が増えていくことではありません。その経済圏に参加している人々のトークンが循環していくこと、資本がグルグルと巡ることにこそ価値があると思っています。
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このあたりは直接的にお金が絡む話だから、より一層プラットフォーム選びは重要になる気がします。
たとえば、今の「Xとmixi2」の関係性ではないですが、資本主義と社会主義、右と左ではないですが、このあたりはわかりやすくそれぞれの色が如実に出てくるのだと思います。
というか、いくつかのトークン発行プラットフォームが乱立してくれば、そうならざるを得ないのは必定であるはずです。
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で、僕自身は、前澤さんにはこのあたりのプラットフォームにおける温度感やノリ、リズムや世界観づくりに強く期待してしまいます。
なぜなら、ファッションECプラットフォームが乱立してきたときも、ZOZOは独自の色を出していて、一時代を明らかにつくり出したから。
そして、今でこそECサイトをやっていないアパレルブランドはほとんどなくなりましたが、僕がまだ中高生だったゼロ年代半ばごろは、インターネットの通販で服を売るのはニッセンとかフェリシモとか、そういうカタログ通販みたいな会社だけだった。
当時の裏原ブランドを筆頭にイケてるブランドほど、インターネット通販には手を出さないという暗黙の了解がありました。
公式のInstagramどころか、そもそもブランドの公式サイトさえなかった時代ですからね。
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そんな中、ZOZOはその暗黙の了解を打ち破り、様々な新しい試みに果敢にチャレンジをし、「ZOZOだから出店した」というハイブランドも多かった。
で、たぶん、あのゼロ年代後半と似たようなことがこれから起きると思います。
そしてそのときに「怪しい」「詐欺師っぽい」というトークンや未公開株など、投機勢が絡むイメージを見事に払拭しながら、一番出店しやすいクリーンでクールな形を整えてくるのが、カブアンドなんじゃないでしょうか。
もちろん、それがアプリ化されれば、その分ネットワーク効果も効きやすいわけですからね。
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今後、間違いなく向かう先はこちらの方向性であって、メルカリやPayPay、楽天やDMMなど、様々な会社もここに参入してくるはずです。
そのときに各社は会社が大きくなりすぎていて、サラリーマン社員が横並びでつくったプラットフォームを提供する中で、
創業者自らが旗振り役を務めて、さらに作り出したい世界観やビジョンも明確にある、そんな前澤さんが頭一つ抜きん出ることは間違いないだろうなあと感じています。
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最後は、完全に妄想だらけの話にはなってしまいましたが、書籍『国民総株主』を読みながら、僕はそんな未来を勝手に想像してしまいました。
なにはともあれ、来年以降もカブアンドの新しい取り組みには期待しています。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。