毎年この時期になると、地味に楽しみにしているコンテンツがあります。

それがなにかといえば、「日経トレンディ」のPodcastで配信される「今年のヒット商品ベスト30」の発表会の様子です。


いつから聴き始めたのかはもう定かではないですが、年末になると、この配信だけは毎年欠かさずに聴いています。

これに関連して、日経トレンディの雑誌版も電子で読むようにしていて、それ以外の様々な雑誌も今年1年のトレンドを、それぞれの雑誌の特色から総括するように振り返ってくれるので、そちらも合わせて読んでいます。

最初は立ち読みが多かったですが、最近はKindle unlimitedや楽天マガジンのような読み放題サービスで、それらをザーッとザッピングできてしまうので、本当に気軽に行えて、僕の中で、毎年12月の恒例行事となりつつあります。

毎年、同じ媒体を定点観測しているからこそ、それでこの1年の変化が本当に手に取るように理解することができるんですよね。

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またさらに毎年、12月だけは「テレビ東京ビジネスオンデマンド」にも契約して、この1年間で放送された「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」など、ビジネス系の報道番組で気になった特集を、バーっと一通り倍速で目を通すようにもしています。

こちらもオンデマンド時代ならではの活用方法で、これを簡単に行えるようになったことを実感するたびに本当にいい時代になったなあと思います。

1月〜11月までは、自分の興味関心が赴くままに、旅や読書、そして現地取材をひたすらに繰り返しているなかで、このように12月は、現代社会と目一杯触れ合う月となっているんです。

ここで、現代社会の感覚と、自らの1年の変化や実感値などを一気にチューニング合わせるような感じです。喩えるなら、長い間、船旅に出ていて、1ヶ月だけ町に停泊するみたいなイメージにも近いのかもしれません。

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このようなコンテンツに触れる時期やタイミングを予め定めていて、一気にまとめてその間に見切ってしまうからこそ、そこに何か大きなトレンドのようなものを自然とハッキリと見てとれる。

1年中かかさず毎週追い続けるのとでは全く違う感覚が、そこにはあります。

地味に重要なことは、どれだけ見たいものが多かったとしても、12月の1ヶ月間だけにとどめて、1月に入った途端にこれをスパッと止めてしまいます。

そこからはまた、世間とは一定の距離を置くように、常に心がけている。

そうすることで、世間の感覚に引っ張られすぎずに済むなあと。

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あと、これはこのような毎年恒例の習慣を、数年間続けているからこそ思うことですが、いろいろと現地に赴いたり、古典なんかに触れているからこそ、この12月の取り組みで、現代社会のことが、これまで以上によくわかるというところはあるなあと思います。

というのも、僕は高校生のころから「経済」や「ビジネス」の分野が好きだったので、「ガイアの夜明け」なんかは当時から頻繁に見ていたのですが、今振り返ってみると、当時は何も見えていなかったなあと思います。

いや、もちろん学生時代の自分も、必死でかじりつくように番組を見ていたわけなのですが、それはメディア側が表現したいものしか見えていなかったと反省しています。

つまりもっと簡単に言うと、メディアの回し者になっていただけだなと。

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でも今は、自分でその取材されているような場所だったり、それに類似した場所に実際に足を運んだりしていて、そのような生業に日々取り組んでいるひとたちに実際に自分で取材をしながら直接話も聞いたことがある。だから、映像で表現されているものの意味合いも、自分の実感値と比較しながら、ちゃんと理解することができる。

そうなってくると、画面の中で描かれたものと同時に、あえて描かれなかったものにも対しても、自然と意識が向かうようになるんですよね。

具体的には、カメラが向けられなかったほう、もしくはカメラでは撮ったのに意図的に編集で入らなかった部分にも、同時に意識が向くようになる。

そこまで見られるようになると、プロのリサーチ能力を自らの知見においても思う存分活かせるようになってきて、本当にありがたいコンテンツだなあと毎年感じてしまいます。

自分が直接訪れたとき以上の気付きや発見を、40分にも満たない短い番組の中で、得ることができてしまう。(しかも倍速だから正味20分です。なんてタイパが良いのかなと、いつも感動してしまいます)


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そして、こうやって考えてくると、雑誌やテレビなど従来のマスメディアは、ものすごく効率の良いメディアだなあということにも、同時に気付かされます。

多くの人は、インターネットやSNSが発達した現代においては、雑誌やテレビなどはもう完全に不要だと思っているかもしれないですが、そんなことはなくて、実は素晴らしいメディアなんですよね。

問題は、その使い方や触れ方、その頻度の問題だったりする。

そして、僕の場合は、12月に入ったら一気にまとめて観るという付き合い方ぐらいがい、今のところは一番ちょうどよかったという話です。

そうやって1年に1回、まとめて眺める時間をつくるだけで、自分が訪れていない場所だったり、知らない業界であったりしても、大体こんなことが起きているんだろうなあということを、自らの経験から推論して、予測することができる。

そしてそこから、大きな時代のトレンドを理解できる。

もちろん、より詳しく調べてみたければ、年が明けた1月の段階から、その分野に関連した書籍にも触れてみたり、実際に現地を訪れてみたりして、直接現地の人々を取材をすればいいわけです。

もちろん、このようなことができるのも、1月〜11月は、旅や古典などに積極的に触れているからこそ得られる感覚でもあって、どちらかに偏ることはやっぱりよろしくない。

マスメディアだけに頼ると、それはそれで大局観を完全に見誤ってしまいます。

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最後にこれは完全に蛇足なのですが、僕はよくひとから「いつもそれだけ移動していて、本も読んでいたりするのに、よく毎日ブログを書く余裕がありますね!」みたいなことを言われることが非常に多いです。

でも、僕からしてみるとその逆で、旅をし、取材もし、本を読んでいるから、ブログが毎日書ける。

机の前にずっと座って、タイムラインやテレビに流れてくるメディアの情報だけに触れて、そこから何かを書こうか思ってみても、逆に全く何も浮かんでこない。

自分の場合は、8対2ぐらいの割合で実践とメディアの情報を使い分け、そうやって同時にアウトプットもするからこそ、本当の意味で、このようなマスメディアが役に立つようになるのだと思っています。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。