昨日はWasei Salonでは久しぶりの外部参加者ありのリアルイベントが開催されました。

今回は「転職ばっかりうまくなる。はたらくを考えるリアル読書会」ということで、東京渋谷にあるオシロさんのオフィスをお借りして開催しました。

https://wasei.salon/events/37fe5809f200

読書会の一冊として選んだ本は、作家・ひらいめぐみさんの新刊『転職ばっかりうまくなる。』という本になります。

ひらいめぐみさんご本人をゲストにお迎えし、Wasei Salonメンバーでもあり、ひらいさんの旦那さんでもあるライター・三浦希さんに、公開取材のような形で夫婦対談を行ってもらいました。

このイベントが本当に良かった!

今日は、このイベントを終えてみた僕の個人的な感想を書いておきたいなと思います。

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まず、今回のリアルイベントの特殊性は、登壇者と運営メンバーで相談した結果「人数の規模感に強くこだわりましょう」ということで、お互いの顔の見える距離感を一番に重視してみました。

そのため、少人数限定のイベントにしてしまい、イベントの1週間以上前にはチケットが完売してしまっていたため、参加したいと思っていた方々にはもしかしたらご迷惑をおかけしてしまったかもしれないです。

がしかし、そうやって人数をギュッと絞ることで、普段Wasei Salon内で開催しているような全員の距離感が非常に近い空間を、リアルの場でも作り出すことができました。

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昨日は、全体で15名の人間が同じ会場に参加していて、更なる特殊性は、そこにいる参加者全員が同じ本を実際にすでに読了していたこと。

これは三浦さんも、以前どこかのタイミングでおっしゃっていましたが「特定の日に、東京・渋谷という場所で、この本をすでに読んだというひとが一斉に集まっていることのすごさ」です。

つくり出したくても、なかなかそんな状況は作り出せない。ひらいめぐみさんが読者のみなさんから強く愛されている感じが本当に強く伝わってきました。

そして、参加しているうちの半数以上の方々が、自分が読み終えた書籍を実際に手に持ってきてくれていて、みなさんの手元には、たくさんの付箋がついている状態の本があって、その様子からも参加者のみなさんの熱量の高さが伺えました。

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さらに、全員が書籍を読み終えた状態であることによって、一体何が起きるかと言えば、登壇者おふたりの言い淀みみたいなものだったり、多少の沈黙だったりもむしろ、それ自体が非常に強いメッセージとしてみなさんに受け止められていたなあと思います。

1冊の本という凝縮されたパッケージを通して、そのコンテキストを参加者全員が共有してるからこそ起きる現象だなあと。

この本を読み終えて、この内容に共感しているひとたちが今ここに集まっているんだという安心感も同時に生まれていて、その安心感を担保に、会場のみなさんの中で自然な対話が生まれていました。

特に今回の本に関して言えば、書籍のタイトルと表紙からは良い意味で完全に予想を裏切られる読後感で、一気に読み終えてしまうような不思議な魅力もそこに存在するため、その文脈を理解しているかどうかによって、話の聞こえ方もまったく変わってくる。

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昨日は、お互いに「はじめまして」のひとたちもすごく多かったにもかかわらず、誰一人としてお話をする際に過度に緊張することもなく、ものすごく自然体でお話されていたのが、非常に印象的だったんですよね。

東京でも、このような場をつくることができるんだなあと、僕自身が一番驚いてしまった。

僕は、過去に数え切れないぐらい出版記念イベント系の対談イベントには参加してきましたが、やっぱりどこか物見遊山的に参加しているひとは、必ず一定数存在しています。

そうすると、会場の雰囲気はガラッと変わる。その中には批判的に眺めているひとも必ずいますからね。そこに、変な緊張感が生まれてきてしまう。

しかし、昨日はそんな緊張感はまったくなかったのが、本当に素晴らしかったなあと。

もちろん、その緊張感が必要なタイプの本の出版記念イベントも世の中にはあるとは思いつつ、昨日のひらいめぐみさんの本に関しては、そのような緊張感は完全に不要だったなと思うので、本当に良い座組だったなあと思いました。

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実際、昨日のイベントを終えた直後、最後にひらいめぐみさんが、みなさんとの距離が近かったことを喜んでくれていて開催した側としても、本当に嬉しかったです。

どれだけ目の前に多数の聴衆が集まってくれていたとしても、そこで自分のほんとうの真意が目の前の聴衆に伝わっていないと感じてしまえば、それは逆にますます孤独感を深めるだけ。

だったら、少人数でもしっかりと自分の伝えたい部分が伝わっているかを実感できることのほうが、書き手としては間違いなく喜ばしいことだろうなあと、同じ書き手として強く思います。

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もちろん、言うまでもなく、聞き手として一緒に登壇してくれた三浦さんが、本当にいい仕事をしてくれていたなあと思いますし、昨日語られた内容は間違いなく三浦さんしか聞けないような内容だったと思います。

正直、最初にこの座組が決まったときに僕は、「もうお二人で散々話してきているだろうから、改めて話すことなんてあるのかな…?ハイコンテクストすぎて、聞いているひとたちが置いてけぼりにならないかな?」って若干不安だったんですが、そんなことはまったくの杞憂でした。

ちゃんとお客さんのこと考えてくれていて、まさに三方よしのイベントで、さすがプロのライターです。それができることが、本当に三浦さんの素晴らしいところだなあと感じました。

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最後に、少しだけ本書の内容の個人的な感想も書いておくと、サロン内には何度か投稿しましたが、この本は本当にすごい本だなと思います。

三浦希さんの奥さんであることなんてまったく関係なく、本当に素晴らしい本だなあと思います。

なんというか、言葉を選ばずにド直球に言うと、いい意味で現代の暴露本というか、告発本みたいな内容なんですよね。

もちろん、内容自体がそんなオドロオドロしいものというわけではないのだけれど、冷静に考えると、よく書けたなあと本当に驚かされることばかり。

赤裸々という言葉が、これほどまでに当てはまる本も、なかなかない。

実際に、今も存在しているいろんな人たちの素性を明かしてしまうような暴露本になっているわけですから。

正直、僕ももしこの本の続編があれば「のぞむくんのお友達のTさん」という形で何かしら書かれてしまう可能性があるんだろうなあという、ちょっとした怖さを感じるぐらい。

ある意味で「ペンは剣よりも強し」をまさに体現しているような内容でもあります。

ただ、それでもまったく嫌味や怖れがなく読めてしまうのは、そこに闇がないというか、決してそれが「復讐」じゃないことが良いんだろうなあと。

まさに、以前書いた「反」ではなく、「脱」の思想。


そして、昨日もご紹介した映画『夜明けのすべて』も、まさにそんな映画でした。

両者は、とても似通っている思想や表現方法だなあと個人的には思います。

だからなのか、僕は真剣に、この本は映画化して欲しいと思っています。というか、必ず映画化されます、間違いない。

それぐらい現代性を帯びていると感じますし、世間の空気や、そこに存在するなんとも言えない違和感や今日性を見事に描写しているように思います。

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最後に、改めて三浦希さん、ひらいめぐみさん、本当にどうもありがとうございました!

ぜひ、これを読んでいるみなさんにも、実際に手にとってみて欲しい一冊です。

後日、サロン内にはレポート記事や動画・音声なども配信される予定なので、ぜひ楽しみにしていてもらえると嬉しいです。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。