このブログやVoicyの中で、何か見慣れない本を紹介するとき、明確に気をつけていることがあります。

それは「誰が書いた、どんな内容の本なのか」はもちろんのことなのですが、それ以上にその本の「表紙とタイトル」にも実はかなりこだわっています。

この点、先日サロンの中でご紹介した元日経新聞のジャーナリスト・後藤達也さんの経済にまつわる本『転換の時代を生き抜く投資の教科書』は、まさにその表紙とタイトルの雰囲気が紹介しやすかったから、紹介しました。

そうしたら、著者の後藤さんが、ご自身のTwitter上でこの書籍の表紙とタイトルを決める際の背景について投稿されていて、まさにそこにドンズバの内容が書かれてあった。

このお話が本当に素晴らしいなあと思いました。


「そうそう、これが今、中長期で人生をともに歩んでいきたいと思っていている人たちが集まっているコミュニティ内で紹介したいと思う本なんだよ!」と思ったので、

今日はこの後藤さんのお話をご紹介しつつ、これからの書籍に求められる表紙やタイトルについて考えてみたいと思います。

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この点、まず大前提として、経済のようなジャンルの話は、ある程度パッケージで理解してもらわないといけないなと思っています。

ウェブ記事や単発の動画などだけ観てわかった気になるのが一番危ない。それは逆に誤解を招くだけだと思っています。

そういう意味でも、後藤さんの本はひとつのパッケージとして、ものすごく中立的な内容によって成立していて本当に素晴らしい。

だから、僕も後藤さんのnoteのメンバーシップ会員となり、毎日配信される記事を拝読しています。

でも正直、もっとはっきりと明言してもいい部分もたくさんあるなあとは思うときもあります。

実際、そのあたりをはっきりと書いていて、みなさんにオススメしたい経済系の本も一方ではたくさんある。

ただ、それらは、これまで経済に触れてこなかった人々にとってもわかりやすい入門書のような体裁になればなるほど、どうしても表紙とタイトルがどぎつく、胡散臭くなっていくんですよね。

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じゃあ、なぜそうなってしまうのか?

書店ではそのような表紙が、人の目を引くことにつながり、売上に直結するからなのだと思います。

端的に言えば、そうすることによって売上という数字にわかりやすく反映されるからなのだろうなあと。

でも、このような内容の本を、自らが所属しているコミュニティ内でタイトルとサムネイルの画像付きでシェアした場合、それは逆にコミュニティメンバーのみなさんのことを脅かしてしまうことになりかねない。

個人的には、それというのはまったくもって本望じゃないんですよね。

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まずは、みなさんに経済に興味を持ってもらって、少しでも自分で考える力を身につけるためのその一助となればいいなあと思っているにも関わらず、それで驚いてしまって、引かれてしまったら、元も子もないわけですから。

だったら、僕が普段からメンバーのみなさんと構築している信頼、その信頼を担保にしたうえで、後藤さんの本のような中立的な立場の本を手にとってもらい、実際にまずは読んでみて欲しい。

その1つ目の壁を突破してもらうことが重要であって、そうすればさらに踏み込んだ話も一緒にできるようになるわけですからね。

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でも、現代はまだまだタイトルと表紙が、派手な書籍のほうが圧倒的に多いなと思います。

それは、マスメディアやSNS全盛期の戦略のようにも思います。端的に言ってちょっと古い。

書店で手に取ってもらう、SNSで目を留めてもらうというためには、どぎつい見た目である必要はあるのかもしれないですが、もう、そうじゃない気もしています。

現代のように徐々に、コミュニティベースで情報が伝播していく時代においては、それは逆効果であって、むしろ後藤さんの戦法がきっと正攻法だと思う。

特に後藤さんは、「できるかぎり誠実な雰囲気に」がカバーのコンセプトでした、ということを書かれていましたが、これが、本当に大事なことだなと思います。

ここが今日一番強く強調したいポイントです。

そうすることで、単発ではなく、中長期的な関係性を読者の方々とも継続的に築いていくこともできるようになるわけですから。

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逆に言うと、これまでの出版ビジネスにおいては、書籍は買ってもらうことがゴールだったのかも知れないけれど、現代における書籍は、買ってもらうことも大事ですが、それを読んでもらうことが最初のスタートであって、そこからの関係性の継続性のほうが、メインの取り組みになるはずなんです。

これも、まさに「投資目線」につながるんですよね。

つまり、1回だけでなんとか制作の費用をすべて賄おうとするから、より多くの読者に届けるためのてんこ盛りの見た目の本になってしまう。

そうじゃなくて、その1回目は、できるだけ誠実に出会うこと。

そのうえで、むしろ、自身のコミュニティに参加してもらって、末永くお付き合いできることにこそ価値があるんじゃないでしょうか。

もちろんそのために経済的な付加価値を生み出せる仕組み、具体的には後藤さんが使われているようなnoteのサブスク型のサービスなんかも、様々に登場している。

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さらに、そのような中長期的なつながりは経済的な面においてだけ、功を奏するわけではないと思っています。

なによりも、自らがひとりの人間として、そもそもその眼の前に集まっているひとたちを喜ばせていくこと、勝たせていくこと、それが何よりも自らの喜びに直結すると思うのです。

それこそが先日も書いた「余人を持って代えがたい存在」に目の前の人が変化していくわけだから。なによりも自分にとって価値のある関係性づくりにつながっていくはずです。


経済的な利益なんて、その多幸感に比べたら、本当におまけレベルに過ぎないはずです。

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きっと、今後の書籍に求められる表紙のイメージとタイトルの方向性は、まさにこっちなんだろうなあと思います。

こうやって後藤さんが有料会員メンバーとの関係性を丁寧に、そして誠実に継続しているからこそ、後藤さんのコミュニティに入っているようなサイレント会員のような僕でさえも、自分のコミュニティにソレを持ち帰って他のメンバーにも伝播させていく。

そのうえで、決して少なくないメンバーさんが、実際にこの本を新たに手に取ってくれたはずです。それは僕の信用貯金を担保にして、です。

そして繰り返しますが、僕がこのように安心して紹介できるのは、継続的に後藤さんのnoteの投稿を読んでいて、誠実に書かれていることをちゃんと理解しているから。

結果的に、僕は僕で、その本を紹介して得られる明確な実益があって、両者にとってWin-Winになっていくというようなイメージなんです。

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もちろん、このように普段からエンゲージメントが高い人達の口コミによって、第一波として売れることになれば、書店側でも、平積みせざるを得なくなる。

結果として、書店でたまたま偶然手に取った人々にもその本自体が広がっていく。

この循環のほうが今とても大事だなあと思います。最初から書店の平積みだけで売れることを想定したり、たくさんのフォロワーになんとか無理やり届けて、売ろうとしないこと。

1万人の目に触れたときに、1000人が手に取ってくれる本ではなくて、日常的に信頼を積み重ねている1000人のうち、100人がまた別の場所にいる100人に対して、オススメしたくなるような本であること、それが本当に大事だなあと思います。

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最後に、僕自身は雑食であって、古今東西様々な本を読みつつも、このような誠実な本を、これからも皆さんに丁寧に紹介していきたいなと思う。

それが僕が、みなさんと長期的な目線で付き合っていくうえで何よりも大事だと思うからです。

経済のような分野は、「はたらく」とより一層密接不可分になることは間違いなくて、もう「世界経済の流れ」を理解しなくてもいい、私には関係ないというひとはいなくなる。

そして、それぞれが、そのような経済の流れをちゃんとある程度は理解した上で、本当に自分がやりたい仕事、はたらきたい方法で働くのが、何よりも一番理想的だなあと思います。

そのためには、「時間」を味方につけるのが一番です。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。