昨日から、1泊2日でまた石見銀山・大森町に行ってきました。

今回は発酵デザイナーの小倉ヒラクさんや、十和田で活躍されている編集者・安藤巖乙さん、中野和香奈と一緒に、とある取材で訪れました。

今回の取材記事は、近日中にウェブ上に公開される予定なので、ぜひお楽しみに。

そして、今回は念願だった「他郷阿部家」にも初めて宿泊することができて、本当に嬉しかったです。
とっても素晴らしい宿泊体験をすることができて、この宿は、サロンメンバーのみなさんとも一緒にまた必ず泊まりに行きたい宿のひとつ。

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さて、今回4ヶ月ぶりにこの土地に再訪してみて、個人的に一番ビックリしたことがありました。

それは、前回訪れた際には、まだ姿や形もなかった新しいタイプの宿泊施設が突如、町の中に姿をあらわしていたことです。

また、前回訪れた際にはこちらもまだ工事中だった図書館やコワーキングスペースも、建物は完全に完成し、今年の上半期には完成予定と聞きました。

こんな短期間のうちに再訪したにも関わらず、たった4ヶ月のうちに町の様子がまた徐々に変わっていたんです。

日本の辺境にある土地で、こんなにも着々と進化しているエリアなんてまず存在しない。それが本当に驚きました。

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この点、東京の渋谷や虎ノ門エリアなども行くたびに進化しているエリアがありますが、大森町の場合には、着々と進化しつつも、本当に大切なものはしっかりと残っているなあとも感じさせてくれる。

この両立が本当に素晴らしいことだなと感じます。

思うに、東京という街は、常に新しいものを求めて、人間の「理想」や「観念」に合わせて「脳化社会」になっていっていくようなスクラップ・アンド・ビルドの都市です。

一方で、そのアンチテーゼのように存在する「京都」のような場所は、古い町並みを徹底的に保存し残していくタイプの都市。

どちらも、ものすごく価値があるとは思いますし、僕自身も好きな街ではあるけれども、東京は「人間の欲望」が中心となり文化が蔑ろにされているように感じますし、京都は「町の文化」のほうが中心で人間のほうが無理やりそれに合わせているようにも感じられる。

石見銀山・大森町は、このどちらでもなく、そこに「暮らす人々」が中心になっている感じがします。

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そして、その町づくりは誰かが勝手に決めたことではなく、町内でしっかりと「熟議」と「対話」が行われたうえで、合意形成がなされていることも、ちゃんとと伝わってくる。

「ミュニシパリズム(地域主義)」を一番に体現しているような町のように僕には見えます。

その結果、真の「一般意志」のようなものも、町の中で明確に共有されているように思います。

少しずつお互いに譲り合いつつも、誰も無理な我慢はせず、その結果として全員が最高の居心地を獲得していて、それが未来にもつながっているというような。
そして、だからこそ暮らすひと、訪れるひと、どちらにも多大なる安心感を与えてくれるような町になっているんだろうなあと。

実際、昨年Wasei Salonメンバーでも訪れた際にも、地方創生やローカルの文化に興味を持っているようなタイプのひとではなくとも、メンバーのみなさんがこの町を大絶賛してくれていました。

誰もが感じ取ることができる、根源的な「価値」が感じられるようになっているんだろうなあと。

住民であっても旅人であっても、自らが尊重してもらえていると感じられる「敬意」のようなものを、町のいたるところから感じ取ることができるのだと思います。

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これまで、一般的には「アンチ都会生活」のように見られてしまっていた石見銀山・大森町。

でも、2023年現在、都会と地方の分断を加速させるような場所ではなく、その地続きのような場所になってきていて、完全に「第3の道」示すための場になってきているなあと強く感じました。

常に「進化」も「保存」も同時に行いながら、決して分断はせずに「暮らす人々の意志」がちゃんと息づいている町なんて、他にはない。

そして、そのおかげで、僕のような「無拠点生活」をしているような人間にとっても、ドンドンと訪れやすい町になってきているように感じます。

ちなみに前述した新たな宿泊施設は、中期〜長期滞在に適した宿泊施設であり、今年の上半期には完成する予定とのことでした。

これまで少し距離を感じていて「秘境」のような場所だと思っていた大森町が、僕のような人間にとっても非常に訪れやすい場所になってきて、もうひとつの故郷のような場所となってきました。

本当に大好きな町です。

今年もどこかのタイミングで石見銀山をWasei Salonメンバーで一緒に訪れるツアーを開催したいと思っているので、ご興味がある方はぜひ一緒に行きましょう。

今日の個人的な旅の記録が、いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、何かしらの参考となったら幸いです。