先日、Wasei Salonの中で、新企画「お金の読書会」の事前説明会イベントが開催されました。
https://wasei.salon/events/582a8f556522
これは、以前おのじさんと一緒に収録したVoicyのプレミアム配信「お金にまつわるセミナーや学校の罠。」というタイトル回の内容から派生して生まれてきた、6ヶ月間連続の読書会企画になります。
いろいろと検討してみて、今回はWasei Salonメンバー限定の「少人数制の読書会」企画になりました。
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僕は、この読書会においても、最近常々語り続けている「裏の裏」を取りにいきたいと思っています。単純な表でもなく、その裏でもなく、裏の裏。
なぜならそこにこそ、煩悩即菩提の道があるというふうに思うからです。
今日は改めて、そんなことをこのブログの中でも丁寧に考えてみたいなと思います。
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まず「お金」の話なんて、現代における「煩悩」の代名詞だなと思っています。
この社会に生きている以上、お金に無関係なひとなんて存在しない。お金は、なさすぎても困るし、ありすぎても困る。いついかなる状態の人々であっても、必ず頭を悩ますもの、それが「お金」だと思います。
で、この場合において、表に振り切る人たちは、いま世の中には圧倒的に多い。特にこの半年ぐらいの急激なインフレ・株高の状況はそれを加速させているかと思います。
「お金さえあれば何でも手に入る」と認識し、とにかくお金を稼ぐことが、生の第一条件になっているような人々です。
そんな「表」側にド直球に振り切った、学びの場やコミュニティは既にたくさんある。
一方で、その姿を見て「みっともない」と見下し、見事に裏返して「人文教養」や「清貧」や「ローカル」といった「裏」に振り切る人たちもいます。
そうやって「裏」にド直球に振り切った学びの場やコミュニティもまた、たくさんある。
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でも、僕はどっちの態度も違うと思うのです。
というか、僕はどっちの立場にも与したくないし、自分にとっては腹落ち感が湧いてこない。
そうじゃなくて裏の裏、具体的には「裏」を一旦経由したうえでの、もう一度「表」に戻るということを大切にしていきたい。
それが「古い物語」を終わらせたうえでの「再出発」だと思うから、なんですよね。煩悩即菩提に至るための道筋でもあると信じている。
そして、そんな「裏の裏」を目指す場が存在しなければ、自分たちで本当につくりたい場を手づくりしていくしかない。
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この点、どうして僕らはこれほどまでにお金に対してて及び腰になり、うしろめたさを感じてしまうのか。
なおかつ、お金にまつわることについて学んだり、考えたりしようとするとすぐに思考停止してしまい、無気力感や気だるさ、倦怠感を感じてしまうのか。
「わかっているけれど、できないんだよ…!」となってしまうのか。それを似たような葛藤を抱える人同士で対話をしながら、真剣に考えてみたい。
しかも、それを各人の自己責任だと感じ取らせてしまうように仕向けられている世界や社会の構造に対しても、同時に自覚的でありたいなと。
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で、大抵の場合、この恐怖や不安から漠然と逃れたいがゆえに、人は「大きな物語」に同化していくのだと思います。
オルカン(全世界株式)への投資や、インフルエンサーの推奨する投資商品などに群がっていく。
でも、昨日のブログのなかでも書きましたが、それぞれの置かれているひとりひとりの小さな物語を、腹落ち感をもって語ることができるようになることが、本当に大事だと思います。
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ここで少し余談なのですが、僕が幼い頃に育った家庭の事情について少し書いてみたいです。
我が家は、祖父から続く自営業の家庭であったがゆえに、家のなかには、いつだって経済や経営の話が語られていました。
当然、家の本棚にも「経済・投資・経営」の本しか並んでいない。小説や人文系の本は一切存在しませんでした。
若い頃はそこに対して本当に強いコンプレックスがあった。
でも、そのような家の中で飛び交う会話や、そのような本棚に囲まれて養われてきた知識や能力も同時に備わっている。
今はそんな環境の中で育ててくれた親には本当に感謝しています。
この能力を「裏の裏」を探すという過程において役立たせることは、きっと可能だと思うのです。
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で、話をもとに戻すと、今の時代はこのような少人数制の読書会のような場所で、おたがいに「勇気づけ」し合うことこそが、一番の価値だと思うのです。
言い換えると、有益な情報や知識は、もはや価値の中心ではなくなった。いくらでも無料のコンテンツがネット上には溢れかえってくれるし、個別に指導してくれる家庭教師のようなAIも登場しています。
そうなってくれると、従来的な手取り足取り導いてくれるアドバイザーやコンサルタントも、もう本当の価値ではない。
むしろ、いかに自分が当事者意識を持って、学びの場の促進を促す、そんな当事者となれるのか。物語を消費するのではなく、「物語る自分」になっていくこと。
これからの価値は、有益な情報やノウハウではなく、まさにこの「物語る自分」になることだと思っています。
決して他者の「大きな物語」の一部の登場人物になるわけでもなく、なんですよね。
お互いに敬意と配慮と親切心を持ちながら、「煩悩」や「執着」とただしく出会うことを励まし合えること。
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そのときに、お互いにマウントを取り合ったり、過度に崇拝したり、あるいは見下したりするわけでもなく、フラットに敬意を持ち合って、共に学び合う仲間がいる状態をつくり出したい。
説明会イベントの際に「Wasei Salonにいるひとには既に読書会でその体験してもらっていると思う」と言えたこと自体が本当に嬉しかったし、それだけを持ち合わせてくれていれば、それで完ぺきだと言えたことも、本当に嬉しかった。
ひどく感覚的なことだけれど、確かに僕らはそれに既に「触れた」という実感があるから、お互いに「わかります」とも言い合えるわけですよね。
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しっかりと再出発をしたいと覚悟を決めた者同士が、集うことの意義を再定義したい。そして、世間の「煩悩」にちゃんと立ち向かう。
現代は、その集い合うこと自体に価値があるし、そこに価値があると思って決して安くはない金額を支払ってでも、そのひとりに自分がなろうと決心して集まる場こそ、本当の価値となっていくはずです。
僕自身が、北海道出身だからこそ思うのは、これは昔の屯田兵のような「開拓者精神」みたいなものだと思うんですよね。
サービスの受益者としての対価を支払うのではなく、開拓者としての身銭を切る感覚。
その身銭を切る感覚や覚悟のほうに価値が宿る。その覚悟が定まって「ここから逃げない」と思えたら、もはや「勝ち」でもある。
その自分自身の内側から湧いてくる力に自覚的になれることが、Wasei Salonを運営する僕がみなさんに提供できる価値だとも感じています。
自分の腹の座った覚悟や働きかけが、こんなにも他者を励ますことができる、勇気づけすることができるんだ、その気付きから自分自身がまるっきり変わってしまう体験こそがこれからの唯一無二だし、プライスレスな体験になることは間違いないかと思います。
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もちろん、その先に、一体何が待っているかわからない。
でも、それでいいと思っています。というか、むしろそれがいい。
始める前から、想像がつく自分(たち)に変わっても何の意味がない。
そうじゃなくて、敬意を持ち合って学び合い、共に同じ本を読み、読書会という対話を通して、半年後には想像もつかなかった自分(たち)に出会うこと。
そのときには間違いなく、これまでとはまったく異なる「自分」がいる。
それこそが「再出発」だと思うし、そんな自分たちに一緒に出会いにいきませんか、という率直なお誘いです。
その境地に到達できたときには、誰に承認を求めるわけでもなく、世間のものさしによって自己を査定するわけでもなく、自分で自分のものさしをつくりだし自分の腹落ち感と納得感をもって、歩みだすことができると思うから。
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もちろん、その境地に到達したからといって、ゴールでもなんでもないし、そこからまた淡々と歩みだしていく日常が続いていくことも間違いない。
FIREなんてゴールは、まやかしであることも全部バレてしまったことがまさに今ですよね。金銭的な安定においても、精神的な安定においても、まったくゴールなんてものは存在しなかった。
「億り人」だろうが、「自由億」だろうが、どのフェーズに到達しても満たされるのはその日の一瞬だけで、そこからまた気持ちを新たに問い続けるしかない。もうそれはわかり切っていることですし、ひどく残酷なことでもある。
でも、それさえもお互いに勇気づけし合うことができるのが、僕らが耕してきたWasei Salonという空間の存在意義でもあると思うのです。
そうやって「ついてきてくれるなら、いきましょう」と、誰が誰によってではなく、場がもつ励ます力によって、自然に自発的に内側から実感が湧いてくることが、本当に唯一無二の価値だなと思っています。
きっと、その歩み続ける姿勢、問い続ける態度や姿勢が次世代にも伝わり、自然とバトンリレーとしても繋がっていく。
この循環を僕は実現していきたいし、目指していきたいひとつの運動や境地でもある。
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まずは、人間が生きている以上、絶対に避けては通ることができない「お金」の話から。
そして、他にも様々ある生きる中で避けては通ることができない「煩悩」が嫌でも掻き立てられてしまうような、「誰にも言えない」ジャンルにおいても、その「裏の裏」の「ほんとうのさいわい」とは何かをみなさんと一緒に探求していきたいなと思っています。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。
2025/11/20 15:39
