どうしても僕らは、会社で働くことが当たり前の時代に生まれたことによって、会社という組織が「私たちに生きる意味を与えてくれる存在」だと思い込んでしまいがち。

社会的に大きな成功を果たした経営者の方々の過去を振り返るお話を聞いていると、なおさらそのように感じてしまいます。

でも人類の歴史を学び直しながら、僕がいま強く思うのは、会社という組織は、ある一時代において「制度」として都合が良かったに過ぎないのだということ。

今日は、そんなことを少しだけ書いてみようと思います。

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昨日のブログにも書いたように、会社が若手を育ててくれて、社会的な居場所も同時に提供してくれていた理由は、それが会社の目的に合致していて、会社にとって都合がよかったからです。


具体的には、そうすることにより会社が経済発展を遂げることが可能となり、自己増殖するスパイラルに入ることができた。

これが会社という組織が急速に発展し、世界的に多くの人々が同じ形式を採用するに至った理由です。

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この点、大切なことは、決して「個人の暮らし」や「共同体の論理」を最優先に配慮した結果ではないということです。

これは、とても重要な視点だと思います。

つまり、下記の3つの交差するところ、

1.時代の流れ(世界の潮流)
2.組織の目的(拡大の要因)
3.人間の根源的な欲求(充足感のある居場所)

これら3つの要素がうまく噛み合ったところが、勝手に自己増殖する連鎖に入り、次第に勢力を拡大し、一般化されていく。

「あるべき姿」から生み出されたものではなく、何かしらの強力な「正義(イデオロギー)」によって誕生したものでもないということが、最大のポイントです。

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言い換えると、いつの時代においても、何か「究極の真理」があるわけではなく、時代ごとに勝手に自己増殖するスパイラルに突入する「制度」が、たまたまそこに存在するだけ。

「会社」に限らず、「国家」や「家族」「宗教」だってそうです。

すべてはこれらの3つの点が交差するポイントにおいて、時代ごとに都合の良いフィクションだったに過ぎなかった。

でも、その「フィクション」が自己増殖するスパイラルに入ることによって、社会は大きく変化していく。

逆に言えば、社会はそのような形でしか変化していかないのだと思います。

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会社という組織も、株式会社の原点とされる「東インド会社」が、時代の潮流のなか、パッと登場してきたひとつの「可能性」に過ぎなかった。

それが、だんだん上述した3つの点と噛み合わさっていき、自己増殖するスパイラルに入り、次第に力をつけて主導的な役割を果たす組織へと変化していったわけです。

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そして、もちろんこの3つの交差する点はいくらでも変わりうる。

それ今回のコロナのような自然災害によって引き起こされる社会変化からかもしれないし、その時代における科学技術(テクノロジー)の進化からかもしれない。

社会の様相が大きく変わろうとしている今、人々の「正義」や「道徳」が世界を動かすのだと過信してしまいがちなタイミングだからこそ(それは方便に過ぎない)、

改めて肝に銘じておきたいことだったので今日のブログにも書いてみました。

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