コミュニティづくりに邁進するなかで、日々強く実感するのが、コミュニティ内での経済圏づくりの重要性です。

具体的には、これまで何度も繰り返しお伝えしてきたような、ポイント経済圏やトークンエコノミーのような仕組みを導入することの意義が年々増してきているなと思います。

人々が暮らし、働く中で、共同体を作るとき経済圏というもの自体が切っても切り離せないものなのだと思います。

そして、これまでは、それを市場経済に任せきりで、その結果、世界規模の資本主義の暴走とも言えるような現象が今起きている。

それに対して新たな仕組みで完全に置き換えることは不可能でも、オルタナティブな選択肢、そうやって自分たちの理想に少しでも近づけるための経済圏を持っていることは、本当に大事になってきている時代に入ってきていると思います。

効率や利益ばかりを追求する風潮の中で失われてしまう人間性や、共同体による「つながり」がもたらす幸福感を置き去りにしないように、です。

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そんな中、新しい価値観によって集い合うコミュニティにおいては、従来の経済システムとは異なるアプローチが必要になってくることは必定です。

具体的には、メンバー同士での「やり取り」や「ものとものとの交換」を通じて、新しい価値観を実体験として味わってもらうことが極めて重要になると思うというのは、このブログでも何度もお伝えしてきたとおり。

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じゃあ、具体的には一体どうすればいいのか。

その答えは、やっぱり、メンバー同士でまずはグルグルと経済を回してみることだと思うのですよね。

そして、そこで大事になってくるのが、やはり「つくり手」の存在なのです。

ここが今日の本題部分にもなっていきます。

これまでの新しい経済圏や、いわゆる「意識高い系」のコミュニティ構想がうまくいかなかった理由というのは、間違いなく、理論先行型だったから。

バッキバキに優れた理論が構築されても、それを実践するひとたちがコミュニティ内にはいなかった。

鶏が先か、卵が先かのような議論になりがちですが、これは間違いなく「つくり手が先」だと僕は確信しています。

暮らしや日常を豊かにする上で、実際に物を作り出したり、リアルの場を運営している人たちの存在は欠かせない。

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例えば、Wasei Salonにおいては、革作家のあつこさんが最近、本当に素晴らしいブログを書いてくれました。


数年かけて、Wasei Salonメンバーに対して革小物を作り続けてくれて、その代価としてポイントを受け取って、せっせと10万ポイントまで達成してくれた。これは本当にありがたいことです。

ちなみに現状、僕が4万ポイント、コミュニティマネージャー・長田さんで7万ポイントなので、この数字がいかにすごいことか伝わるかと思います。

これが、ものづくりできる作品や商品を持ち合わせているひとたちの凄さであり、この数字に明確につくり手の重要性があらわれていると思います。

それ以外にも、僕が自腹を切ってポイント交換広場に出品しているイケウチオーガニックさんのタオルや、美容室らふるさんのヘアカット、群言堂さんの宿泊券などなど、日々の暮らしの中での必需品が揃っていることがコミュニティの中のポイント経済圏の肝の部分となってくる。


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にも関わらず、これまでのオルタナティブな経済圏構想のようなものは、そのようなつくり手たちを完全に無視してきたのではないかと思います。

それよりも、理論先行型で賢い人達だけで集まって、それっぽい構想の話は拡がるのだけれども、それが現場レベルで実践されていかない。小さな経済圏さえも生まれていかない。

現状の問題点をあぶり出し、高尚な議論というのは本当にいくらでも簡単に出てきてしまうんですよね。それを持ち寄って議論を戦わせることも可能。

でもそれはどこまでいっても空想の域を出ないんです。絵に描いた餅になってしまう。

また、それこそが現代を生きる僕らが一番わかりやすく直面している課題だと思います。

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この点、先日シラスで配信されていた東浩紀さんの有料動画の中で、今日のこの話のヒントになるようなことが語られていました。

有料配信なので詳しいことは控えますが、延長戦のラストに語られた内容はものすごく大事な指摘だなあと感じました。

ちなみに、この配信はインターネット上でコミュニティづくりに取り組んでいる人々にとって、大げさではなく本当に必見の動画だと思います。

東さんのこれまでの実践的な取り組み、アカデミックな世界に閉じこもることなく在野で実験を重ねてきた成果と、実践してきた方だからこそ語れる深みが山ほどありました。

この金額でこの話を聴かせてもらっていいのと思ってしまうほど、本当にありがたい配信だったので気になる方はぜひ観てみてください。


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どうしても今は、新しい貨幣システムのようなものが構想されたとしても、それを実際に流通させるモノも場もない。

また、賢い者同士で集まると、そのような現場で手を動かしているひとたちを簡単に見下してしまう。「アイツらは何もわかっちゃいない」とバカにする。そして記者会見とデモばかりに終始することになる。

あとはひたすらに本を書いて、それで啓蒙した気になって、それが理解されないと読者のことをバカにするという悪循環。

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でもそれだけでは社会は何も変わらないということは、もう十二分にわかったはずです。

それよりも、どれだけ小さくてもいいから、これから必要だと思われる経済圏の現実のものにしてコミュニティをつくってみようとすることのほうが、必須だと僕は考えます。

そのときに、実際に手を動かし、ものづくりをしている職人さんたちの力は本当に偉大であり、必要不可欠。

コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」という言葉が注目されましたが、まさにそういった人々の存在が、日々の暮らしやコミュニティの根幹を支えているんだと思います。

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ここで大切なのは、主従関係が逆転するという形ではなく、どちらが偉いとか階級云々といった話とかではないということなんですよね。

ものづくりをしている人々と、思想や理論の立場から新しい価値観を提示する人たちが、お互いを尊敬をし合い、敬意を持ち合いながら、しっかりと一緒に手を組むこと。

それこそが、これからのコミュニティづくりに必要不可欠な関係性だと思っています。

例えば、あの親鸞が特権的な階級の貴族や寺院ではなく、当時は差別されていたような穢多非人のような人々に向けて教えを説いたのは、彼らこそがこの国の宝だと思ったからでしょう。

平安時代のあとにやってくる鎌倉仏教の時代だったということも、それを強く物語っているようにも思います。

平安時代という観念の世界、脳化社会が行き着くところまで行き着いて、空理空論ばかりを語る人々に対して嫌気がさして、親鸞は里におりたのだと僕は思う。

本来は、持ちつ持たれつ、そこに優劣なんて一切存在しないはずなのです。

現にローカルなコミュニティには、そういった文化が未だに根づいていますよね。だからこれだけ里山文化みたいなものはいつの時代にも存在し続けて、しなやかなレジリエンスがあるということなんだと思います。

農家さんや猟師さん、大工さんや日々の暮らしに必要なものを丁寧に作り続けている人たち、しっかりとものづくりをしているたちにもっと光を当てていきたい。

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じゃあ、それをオンライン上でも実現するためにはどうすれば良いのか。

そのときに両者に伝わる平易な言葉で語り続けること、それがとてつもなく大事なことだと思います。

ただし、それは議論のレベルを下げるということではありません。それだと、テレビやマスメディアの態度と同じになってしまい「視聴者は馬鹿なんだから」と見下す態度と同じになってしまう。

そうではなく、先日の「ハンターハンター」の話のように、丁寧に時間をかけて、信頼関係を構築すること。時間を欠けて、両者の間に橋をかけることが大切なのだと思います。


そうすれば多少複雑な話であっても、複雑なままついてきてくれる。

「読者をバカにするな」と本当に思う。敬意を持って誠心誠意、本心を伝えていくこと。

そして、このひとについていけば大丈夫だと、両方の立場から思ってもらえることが本当に何よりも大事であって、逆に言えば、資本主義の広がりと貨幣経済にまかせて、この信頼関係の架け橋を蔑ろにしてきたのが、現代社会なのだと思います。

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繰り返しになりますが、つくり手こそがコミュニティ、共同体における宝なのです。手に職がある人々の価値は、これからさらに見直されていく。

もちろん AIの登場もそこに拍車をかけるはずです。

ホワイトカラーの仕事がAIによってドンドンと代替されていけば、より一層そのようなものづくりをしているひとたちの価値は爆上がりしていくと思います。

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これからは、大きなグローバル資本主義経済と、その下に無数の小さなコミュニティの経済圏が共存する時代になることはもう間違いない。

貧富の格差も広がり、より一層分断が進んでいく中で、自分たちの手触り感のあるコミュニティ経済圏、心の豊かさを感じられるような空間を持つことは、必須になってくると思います。

だからこそ、ものづくりをしている方々にもしっかりと届く言葉で、お互いが相手の存在があることによって日々生かされていると思い合えること。

それが今、本当に大事な視点だと思うのです。

Wasei Salonは、このような世界観の実現を淡々と目指していきたいと考えています。

ぜひみなさんも、ご自身の何かしらのスキルや作品を、ポイント交換に出品してみてください。

いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても、今日のお話が何かしらの参考となっていたら幸いです。